俺は最強の勇者だが一つだけ大きな秘密がある
- 2022.11.28
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
ショウ
リンダ
シーザー
魔王
町人1~2
町娘1~3
■台本
魔人の咆哮。
魔人「うおおおおおお!」
リンダ「くっ! なんて魔力なの!?」
シーザー「このままでは全滅だ」
リンダ「……助けて、ショウ」
ザっとショウが現れる。
ショウ「呼んだか?」
リンダ「ショウ!」
魔人「……なんだ、貴様は?」
ショウ「へえ、こいつが噂の魔人か。なかなか骨のありそうなやつだな」
魔人「……ほう。なるほど。そうか。貴様が人間の間で噂の、勇者だな?」
ショウ「そういうこと。ま、相手が悪かったと思って、諦めるんだな」
魔人「ふん。貴様が今まで屠ってきたやつらは、魔族の中でも雑魚の分類のやつよ。この俺は違うぞ」
ショウ「はは。この前倒したやつも、まんま、同じ台詞を言ってたよ」
魔人「くうう! 俺を怒らせたな!」
シーザー「油断するな、ショウ! こいつは本当に強いぞ!」
ショウ「まあ、慌てんなって」
魔人「うおおおおお!」
ショウ「いくぞ! 『俺様は最強(エンペラーワールド』!)
魔人「……」
ショウ(N)「……あれ? まさか、効いてない?」
魔人「ぐっ! くそ……」
前のめりに魔人が倒れる。
ショウ「ふう。焦ったぜ」
リンダ「すごい! ショウ! 今回も一撃で決めるなんて!」
ショウ「ははは……」
シーザー「見事な一太刀だった。まさに一閃だったな」
ショウ「まあな」
ショウ(N)「くそ。反応が遅かったから、効かなかったかと思って、焦ったじゃねーか」
場面転換。
街の中を歩くショウ。
町人1「あ、ショウさん、こんちには」
ショウ「ああ」
町娘1「きゃー、ショウさん格好いい」
ショウ「ははは……。どうも」
町娘2「ねえ、ショウさん、少し寄ってかない?」
ショウ「ごめん。また今度ね」
町人2「いやあ、いつ見ても、ショウさんの貫禄はすげーな」
ショウ「……」
ショウ(N)「はあ……。本当の僕のヒョロヒョロの姿を見たら、みんなガッカリするんだろうな……」
スタスタと歩くショウ。
ショウ(N)「僕がこの世界に召喚される際に女神から、ギフトの内容を聞かれた。そこで僕が考え出した最強のギフトが『俺様は最強(エンペラーワールド)』だ」
スタスタと歩くショウ。
ショウ(N)「どんな能力かと言うと……。あれだよ。えっと、赤ん坊に冷えた火鉢を熱いって言って当てたら、本当に火傷したっていう話を知ってるかな? つまりはあれ」
スタスタと歩くショウ。
ショウ(N)「そう。僕の能力は相手に、僕の思った通りのイメージを思い込ませるってものなんだ。それは、なんと、人間だけじゃなく、魔物や昨日戦った魔人にさえも効く。昨日も、実は、僕は魔人に指一本触れてない。だけど、やられたってイメージで魔人は倒れたってわけ」
町娘3「ショウ様、格好いい!」
ショウ(N)「町の人たちもそう。僕が格好良くて、強そうって見えるようにイメージを飛ばしてるだけなんだ。だから、実際の僕は超弱いけど、最強の勇者と呼ばれているんだ」
場面転換。
魔王の城の前。
リンダ「……ごくり。ようやく、魔王との対決ね」
シーザー「さすがにショウがいても、厳しい戦いになるだろうな」
ショウ「……」
リンダ「ショウ、勝てるよね?」
ショウ「……ここからは俺一人で行く」
リンダ「え?」
シーザー「ちょっと待ってくれ。さすがに一人では無理だ」
ショウ「……ごめん。二人とも。俺一人でやらせて欲しいんだ」
リンダ「……どうして?」
シーザー「俺達は……足手まといってことか?」
ショウ「……」
リンダ「そんな……」
ショウ「勘違いしないでくれ。せっかく魔王と戦うんだ。少しは楽しませてくれよ」
リンダ「……ぷっ!」
シーザー「あははははは」
リンダ「もう。ショウらしいね。……いいわ。一人で行かせてあげる。だけど、一つ約束して」
ショウ「なんだ?」
リンダ「楽勝で戻ってきて」
ショウ「任せろ」
場面転換。
魔王の城の中をスタスタと歩くショウ。
ショウ(N)「……とは言ったものの、正直自信がない。もし、僕の『俺様は最強(エンペラーワールド』)が効かなかったら、終わりだ。僕なんか秒殺される。もし、効かないってわかったら、速攻逃げないといけない。だから、二人とは別れたんだ」
ギイと扉をあけ放つショウ。
魔王「……来たか、勇者よ」
ショウ「……戦う前に提案したい。降参してくれないか?」
魔王「……私からも一つ提案したい。世界の半分を分けるから、私に付け」
ショウ「……戦うしかないのか」
魔王「……そうらしいな」
ショウ「いくぞ! 『俺様は最強(エンペラーワールド』)!」
魔王「来い! 『最強伝説(ゴールデンラッシュ)』!」
ショウ「うおおおお!」
魔王「はあああああ!」
ショウ(N)「くそ、なんだ? 体が重い。こんな攻撃は初めてだ」
ショウ「うおおおおお!」
魔王「はああああ!」
ショウ(N)「なんだ? 精神が削られていく感覚は……? くそ、負けるか」
ショウ「くそおおお!」
魔王「いい加減、倒れろ―――!」
ショウ(N)「だ、ダメだ……。もう限界……」
ドサッと、ショウと魔王が同時に膝をつく。
ショウ「はあ、はあ、はあ……」
魔王「はあ、はあ、はあ……」
ショウ「ん?」
魔王「……あれ?」
ショウ「もしかして……」
魔王「……同じ能力?」
ショウ「……ぷっ!」
魔王「あはははははは!」
ショウ「ははははは!」
魔王「いやあ、まさか、僕と同じ能力を思いつく人がいるなんてねー」
ショウ「いやいや、僕もだよ。気が合うね」
魔王「……けど、どうしよっか?」
ショウ「んー。お互い、立場があるからね」
魔王「だよね」
ショウ「あ、そうだ」
魔王「ん? なに?」
ショウ(N)「僕は魔王と、世界を半分にすることにした。つまり、僕は魔王から世界の半分を取り返したって感じにすることで落ち着いた。みんなからは大いに喜んでもらえたし、よかったのかもしれない。……魔王とは今でも友達で、時々、遊びに行っている」
終わり。