秋の相合傘

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
達郎(たつろう)
沙雪(さゆき)

■台本

ヒューと冷たい風が吹く。

達郎「……うっ」
沙雪「達郎さん、大丈夫ですか?」
達郎「え? ああ、いや。全然、寒くないですよ」
沙雪「風邪ひかないでくださいね」
達郎「はい。それより、沙雪さんは暑くないですか?」
沙雪「はい。達郎さんのおかげで。とても快適です」
達郎「そうですか、よかったです」
沙雪「……でも、その……すみません」
達郎「え? なにがですか?」
沙雪「今時、相合傘なんて恥ずかしくないですか?」
達郎「そんなことないですよ! ……そ、その……俺は……嬉しいです」
沙雪「うふふっ。ありがとうございます。……私もですよ」
達郎「……沙雪さん」
沙雪「でも、もう少し、人通りの少ない場所を通りましょうか」
達郎「え?」
沙雪「その……目立っているようなので」
達郎「……そうですかね?」
沙雪「やっぱり、晴天とはいえ、秋に日傘で相合傘は目立ってしまっているようです」
達郎「……でも、少しですよ、少し」
沙雪「ふふ。そんなに気を使わないでください。変ですよ」
達郎「……」
沙雪「ごめんなさい。私がこんな時期に外を歩きたいなんて我がまま言ったから……」
達郎「そんなことありません! ……俺も、沙雪さんとこうして冬以外に歩けるの、すごく嬉しいんです」
沙雪「ありがとうございます。……私、すごく幸せです」
達郎「……」
沙雪「こうして、達郎さんと出会って外を歩ける。それだけで十分です」
達郎「もっと……」
沙雪「え?」
達郎「歩くだけじゃなくて、もっともっと、沙雪さんには色々、経験してもらいたいです」
沙雪「……達郎さん」
達郎「そうえば、沙雪さん」
沙雪「なんですか?」
達郎「その、胸に抱えてるのはなんですか?」
沙雪「ふふ、これはですね……」

そのとき、パラパラと雨が降ってくる。

達郎「あ、雨、降ってきましたね」
沙雪「これなら日傘はもう、必要ないですね」
達郎「……そ、そうですね」

達郎が日傘を閉じる。

達郎「……ちょっと、残念です。相合傘、終わっちゃうのは」
沙雪「そうですね。……では」

沙雪が抱えていた袋から傘を出して、広げる。

達郎「沙雪さん、それって……」
沙雪「はい、普通の傘です」
達郎「でも、どうして……?」
沙雪「これなら、雨が降っても相合傘ができるので」
達郎「沙雪さん……」
沙雪「……あ、見てください。雨が雪に変わってきました」
達郎「……もうすぐ、冬ですね」
沙雪「はい、私の……雪女の季節です」

終わり。

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