写真に写る姿
- 2022.12.16
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
真(まこと)
巧(たくみ)
浅川(あさかわ)
正司(しょうじ)
正美(まさみ)
徳郁(のりふみ)
■台本
休み時間の教室内。
真「ふっふっふ。巧、俺は凄いカメラを手に入れたぞ! どんなカメラか知りたいか?」
巧「おっ! SSR出たっ!」
真「興味持てよ、俺に!」
巧「んだよっ! 外れ枠じゃん。……そっか、それは大変だったな、真」
真「微塵も話聞いてねえっ!」
巧「はいはい。で? なんだっけ?」
真「カメラだよ、カメラ」
巧「……盗撮でもすんのか?」
真「するかっ!」
巧「大体、スマホあるのに、カメラなんか買ってどうするつもりなんだよ。撮り鉄にでもなるつもりか?」
真「違う違う。このカメラは普通のカメラじゃないんだ。すげーんだぞ。気になるだろ?」
巧「お! 真、ワールドカップ、日本勝ったぞ」
真「マジで!? どれどれ……。じゃなくて! 聞けよ、俺の話」
巧「ごめんごめん。普通じゃないって、じゃあ、どんなカメラなんだ?」
真「聞いて驚け! なんと、人物を撮ると怪物に変化して写るんだ!」
巧「ああ、よくあるアプリだな」
真「……いや、カメラだって。スマホのアプリじゃなくて、普通のカ、メ、ラ」
巧「……ふーん。言われてみるとかなり古そうなカメラだもんな。アプリみたいな機能なんか付いてなさそうだ」
真「だろ? で、これ、昨日、街で撮った写真」
写真を取り出して見せる真。
巧「おおー! すげー! 思ったよりも10倍すげー」
真「……最初にそのリアクションが欲しかった」
巧「クラスのやつらは撮ってみたのか?」
真「いや、まだ」
巧「撮ろうぜ! まずは斎藤だ!」
パシャっと写真を撮ると、ジーっと音を立てて写真が出てくる。
巧「どれどれ……。おお! ちゃんと化け物になってる」
真「だろ? これの面白いのはさ、まったく別の化け物に写るんじゃなくて、ちゃんと元の顔を反映して化け物に写るんだよ」
巧「へー、面白いなー。じゃあ、あの浅川さんはどうなるんだろうな?」
真「浅川さんかぁ。あんな美少女が化け物になるなんて、全然、想像つかないな」
巧「よし、さっそく……」
パシャと写真を撮る。
浅川「え? なに? 写真撮ったの? 見せて見せてー」
巧「あ、いや、ちょっと待って……」
浅川「なによ、これ! ひどい!」
パチンと浅川に頬を叩かれる巧。
スタスタと行ってしまう浅川。
巧「……撮るときには注意が必要だな」
真「だな」
巧「ちなみに、俺はどう写るんだろうな」
真「じゃあ、撮ってやるよ」
パシャっとシャッターを切る。そして、写真が出てくる。
真「あははははは」
巧「……なんだよ、このゴリラの化け物は」
真「いやー、似てる似てる」
巧「……お前は自分の撮ったのか?」
真「あ、そういえば撮ってねーな」
巧「撮ってやるよ」
パシャっとシャッターを切る。そして、写真が出てくる。
巧「……」
真「どう? どう? どんな感じ?」
巧「あー……いや、止めよう」
ビリビリトと写真を破る巧。
真「ちょっ! なにしてんだよ!」
巧「すげーヤバかった。これ、トラウマ級だよ」
真「……そんなにか?」
巧「そんなにだ」
真「そっか……」
場面転換。
放課後の教室内。
正司「へー、面白いカメラだな。それにしても、俺の化け物化したやつ、いいな。この写真貰っていい?」
真「いいよ」
正司「……お前、自分のは撮ったのか?」
真「いや、巧みに、ホントにヤバいからって、写真破られた」
正司「……そう言われると見たくなるな。撮っていいか?」
真「いいけど」
正司がパシャっと真を撮る。
正司「……」
真「どうだ?」
正司「ああー。うん。これはヤバいな。ホント、ヤバい」
ビリビリと写真を破る正司。
真「……」
場面転換。
放課後の教室内。
正美「……うん。これは見ない方がいいと思うよ」
真「……」
ビリビリと写真を破る正美。
場面転換。
放課後の教室。
真「……」
隆「……これは夢に出てきそうだな。見なきゃよかったよ」
ビリビリと写真を破る隆。
場面転換。
放課後の教室。
徳郁「……真。一つ、忠告しておく。絶対に、自分で自分を撮ろうとするなよ」
真「……」
徳郁「これはお前のために言ってるんだからな」
場面転換。
真の部屋。
真「んなこと言われたら、めちゃくちゃ気になるじゃん! ……よーし、こうやって、鏡に写った俺を……」
パシャとシャッターを切ると、写真が出てくる。
それを見る真。
真「……こ、これはっ!?」
少しの沈黙。
真「……普通だ。てか、そのまま写ってる」
写真を握る手がプルプルと震える。
真「なんでだよ!?」
終わり。