人間関係を上手くやり過ごす方法

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■概要
人数：3人
時間：5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
雅樹（まさき）
未希（みき）
隆司（たかし）

■台本

部室内。

雅樹「なるほど。隆司くんが苛められているので、何とかしてほしいと？」
未希「あー、いえ。苛められてるって程じゃないんですけど……。無視というか、気づかれないというか……。とにかく、全然友達もいなくて、いつも寂しそうなんです」
雅樹「ふふ。少なくても、一人には恋心を抱かれている時点で、うらやましい限りだけどね」
未希「ちょ、そ、そういうんじゃありません」
雅樹「ん？　未希くんだと言ったつもりはないが？」
未希「……先輩、意地悪ですね」
雅樹「はっはっは。冗談だ、冗談。罪作りな男にちょっと、嫉妬してしまってね。とにかく、その隆司くんに会わせてくれないか？」
未希「わかりました」

場面転換。
学校の教室。隆司「えっと……その。僕、友達なんて必要ありません」
未希「ちょっと、隆司！　そういうこと言わないの！」
雅樹「まあまあ。友達はいらないにしても、人間関係でトラブルよりも、無難にやり過ごせる方法を知っておいて、損はないだろう？」
隆司「ま、まあ……そうですけど」
雅樹「実は君の一日を遠くから見せてもらった」
未希「え？　いつの間に」
雅樹「いつもの状態を見てみないことには、どうしたらいいかわからないからね」
未希「なるほど……」
雅樹「最初に、出た結論を言おう。ずばり、君に足りないのは笑顔だ」
隆司「笑顔……ですか？」
雅樹「そうだ。君は一日、一度も笑顔を浮かべていなかった」
隆司「……別に楽しいこと、なかったので」
雅樹「チッチッチ。それは違うな。楽しいことがあるから笑顔になるのではない。笑顔になることで、楽しいことがやってくるのだ」
未希「……そう……ですかね？」
雅樹「まあ、考え方だよ。とにかく、君に足りないのは笑顔だ。それだけで、今の状態から劇的に良くなるはずだ」
隆司「そう言われても……」
雅樹「だまされたと思って、やってみるといい。ほら、笑顔を浮かべてみるんだ」
隆司「……」
雅樹「……どうした？　ほら、早く！」
隆司「……やってます」
雅樹「ん？」
隆司「笑顔……浮かべてます」
雅樹「どこがだ？」
未希「ほら、先輩。口の端が０．２ミリ上がってますよ」
雅樹「そんな差を見分けられるのは、君だけだ、未希くん」
未希「そうですかね？」
雅樹「なるほど。長い間、ずっと無表情だったから、顔の筋肉が衰えてしまったのかもしれん」
未希「どうすればいいんですか？」
雅樹「衰えたなら、鍛えればいい」
隆司「鍛える……ですか？」
雅樹「ふふ。まあ、心配するな。特訓の方法も考えている」

場面転換。
部室内。

隆司「いたいいたいいたい」
雅樹「頑張れ、隆司くん！」
未希「えっと、先輩。これって、何してるんですか？　洗濯ばさみに重りをつけて……」
雅樹「見た通り、筋トレだよ。顔のね」
未希「こんな方法で大丈夫なんですか？」
雅樹「大丈夫、大丈夫。大船に乗ったつもりでいればいい。さあ、隆司くん。次は口の上げ下げ１００回セットをやるぞ」
未希「……」
隆司「顔が……つりそう……」

場面転換。
部室。

未希「……あれから３ヶ月が経ちますが、どうですか？」
雅樹「ふっふっふ。完璧だよ。今、隆司くんの顔面の力は学校一と言って過言ではない」
未希「……そこまで鍛えなくてもいいんじゃ……」
雅樹「さあ、では特訓の成果を見せてやろう。入ってきたまえ、隆司くん」

ドアが開いて隆司が入ってくる。

未希「あれ？　あんまり変わってないような」
雅樹「ふふふ。さあ、笑顔を浮かべてみたまえ！」
隆司「にやっ！」
未希「……」
雅樹「……」
未希「先輩……」
雅樹「なんだね？」
未希「なんか、キモイ笑顔なんですけど」
雅樹「ふふふ。人間、自然体が一番だ。無表情でも受け入れてくれる人を探そう」
未希「おい！」

終わり。

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