隣のビッチのお姉さん

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
晃(あきら)
美加(みか)
亜貴(あき)

■台本

晃が6歳。美加が10歳。

美加「もう、晃くんは泣き虫ね。男の子でしょ? 泣かないの」
晃「……でも」
美加「ふふ。それじゃ……」

チュッと額に美加がキスをする。

晃「あ……」
美加「どう? 痛いの飛んでった?」
晃「う、うん……」
美加「もう泣かない?」
晃「大丈夫」
美加「偉い偉い。それじゃね、晃くん」

場面転換。
12年後。

晃(N)「月並みだけど、俺の初恋の相手は、隣に住む美加さんだ。4つ年上の美加さんは俺にとって、優しくて、大人で、素敵なお姉さんで……そして、エロかった」

学校の教室内。

亜貴「あー、いいよなぁ、晃は」
晃「何の話だ?」
亜貴「あんな、エロいお隣さんがいて」
晃「はは。まーな。けど、俺の運はあそこに住んでるってところですべてを使い切った気がするけどな」
亜貴「でも、それだけの価値はあると思うぞ」
晃「まあ、それは否定しないけど」
亜貴「で? ホントのところ、どうなんだ?」
晃「何が?」
亜貴「やらせてもらったのか?」
晃「んなわけねーだろ」
亜貴「あれ? そうなの?」
晃「ただの仲のいいお隣さんだぞ。そんなことになるわけねーじゃん。どこのエロ漫画だよ」
亜貴「そうなの? けど、美加さんビッチだから、頼めばやらせてくれるんじゃね?」
晃「え? マジで?」
亜貴「知らねえの?」
晃「……知らんかった」
亜貴「まあ、あのボディでエロい雰囲気は、ビッチじゃないと出せないだろ」
晃「否定はできないけど……」
亜貴「大学でも人気らしいぞ。俺の兄貴が狙ってるんだってさ」
晃「うーん。そういう話は、知り合いの口からは聞きたくないなぁ」
亜貴「けど、どうするんだよ? このまま、単にお隣さんでいいのか?」
晃「……なんだろうなぁ。小さい頃から知ってるせいかな。そういう感じじゃないんだよな」
亜貴「どういうことだ?」
晃「確かに美加さんはエロいよ。会って、話した日は興奮するけど……。お願いしてやらせてもらうっていうのは違うんだよな」
亜貴「……ふーん」
晃「きっと、なんだかんだ言って、好きなんだと思うって言うか、ずっと好きだからさ、美加さんのこと」
亜貴「……お前って、時々、そういう恥ずかしいこと、サラッというところあるよな」
晃「え? 俺、恥ずかしいこと言った?」
亜貴「今の、美加さんの部分をクラスの女子に置き換えてみ?」
晃「……すまん。さっきの言葉は忘れてくれ」
亜貴「だろ?」
晃「ヤバいくらい、臭い台詞だった」
亜貴「けど、好きだったとしても何かしら、ケリは付けた方がいいんじゃね?」
晃「ケリって?」
亜貴「俺たち、今年で高校卒業だろ?」
晃「ああ」
亜貴「そして、美加さんも大学卒業だ」
晃「……そうだな」
亜貴「どっちも大きく、環境が変わるだろ。お前だって、地元の大学じゃないし、美加さんだって、就職したら家を出るだろ」
晃「……そっか」

場面転換。
ガチャリとドアを開けて、家に入ってくる晃。

晃「ただいまー」
美加「おかえりー。じゃなかった、お邪魔してます、かな?」
晃「あ、美加さん、どうしたの?」
美加「この前の旅行のお土産持ってきたんだけど、おばさん出かけちゃって、留守番してるの」
晃「ふーん」
美加「……へー」
晃「ん? なに?」
美加「晃くん、大きくなったね」
晃「そっかな?」
美加「うん。大人っぽくなった。昔の泣き虫だったころの晃くんとは思えない」
晃「もう、いつの話してるんだよ」
美加「あははは。そりゃそうだね」
晃「ねえ、美加さん」
美加「ん?」
晃「俺、美加さんのこと、好きだ」
美加「……な、なに急に?」
晃「……」
美加「あー、わかった。やらせてほしいとか? もう、ダメだぞ。そういうのは好きな人のために取っておきなさい」
晃「いや、そういうんじゃなくて。純粋に、好きって話」
美加「……」
晃「あー、いや、違うな。好きっていうより、ずっと好きだったって話かな。小さい頃からずっと」
美加「……いやいや、一発やりたいからって、そこまで真剣な顔しなくても」
晃「だから、違うって。なんだろ。この好きって気持ちは、結婚したいって方向の好き、なのかな」
美加「……ちょ、やめてよ。は、恥ずかしい……」
晃「へ?」
美加「私、ドストレートには弱いのよー」
晃「そうなの? 意外」
美加「ま、まあ、私はよく勘違いされるんだけど、そういうのには慣れてないんだよ」

晃(N)「美加さんは見た目とサバサバした性格のせいでビッチだと噂されていただけで、実は一度も付き合ったことすらなかったのだという。まあ、たとえ、美加さんがビッチだったとしても、俺の気持ちは変わらないだろうけど」

終わり。

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