喧嘩するほど仲が良い?

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
吾郎(ごろう)
美夜子(みやこ)
卓(たく)
成実(なみ)

■台本

休み時間の教室内。
吾郎「あーあ、学園祭ダルイなー」
美夜子「そうねー」

前の方から言い争う声が聞こえる。

卓「だーかーら! それだと客数が読めないから材料の準備が難しいだろ!」
成実「そんなの多めに用意しておけばいいでしょ! 百人とかくるわけじゃないんだからさ」
卓「百人分用意して、大量に余ったらどうするんだよ!」
成実「そうなったら、クラスのみんなで食べればいいでしょ!」

そんな卓と成実を教室の端から見る吾郎と美夜子。

吾郎「何を言い争ってるんだ?」
美夜子「クラスの出し物についてじゃない?」
吾郎「……この前もそれで喧嘩してただろ。ホント、あいつらって仲悪いよな」
美夜子「小学校の頃から一緒のクラスだって言ってたよ」
吾郎「ふーん。仲が悪いのに、一緒のクラスって大変だな」
美夜子「そうだねー」

場面転換。
放課後の教室内。

成実「卓ぅ~。これどうする?」
卓「ああ、俺、帰りに買ってくるよ」
成実「えー、悪いよ」
卓「いいって、このくらい」
成実「じゃあ、私も一緒に行く」
卓「それなら、帰りに……」

そんな成実と卓のやり取りを見ている吾郎と美夜子。

吾郎「……あいつら、先週、喧嘩してたよな?」
美夜子「……なんで、あんなにイチャつけるんだろうね」
吾郎「あれか? 喧嘩するほど仲が良いってやつか?」
美夜子「あー、なるほどね。結局、仲が良いってわけか」

場面転換。
休み時間の教室内。

卓「おい! さっきから呼んでるだろ!」
成実「話しかけないでって言ってるでしょ!」
卓「おう、わかったよ! てめえなんか、一生口きかねえ」
成実「ホント!? あー、よかった。清々したわ」
卓「こっちの台詞だっての!」

その様子を教室の端で見ている吾郎と美夜子。

吾郎「……あいつら、先週、めちゃくちゃいちゃついてたよな」
美夜子「私、思うんだけどさ、喧嘩するほど仲が良いっていうけど、喧嘩する時点で、仲悪いんじゃないかって思うんだよね」
吾郎「あー、確かに。仲が良かったら喧嘩なんかしないもんな」
美夜子「結局、あの二人は仲が悪いんだよ」
吾郎「そうだな」

場面転換。
放課後の教室内。

成実「ねえねえ、卓―。手が冷たいー。温めて―」
卓「しょうがねえな。ほら、こうすれば暖かいだろ」
成実「うん、暖かい……。でも……キスしてくれたら、もっと温かくなると思う」
卓「ちょ、バカ……。学校でできるわけねーだろ」
成実「……学校じゃなったらいいの?」
卓「え? いや、まあ……」

そんな二人を見ている美夜子と吾郎。

吾郎「もう何が何だかわかんねえな」
美夜子「そうだね……」
吾郎「結局、あいつら、仲がいいのか、悪いのか?」
美夜子「……さあ?」

場面転換。
休み時間の教室内。

成実「死ねー!」

成実が卓にジャンプ蹴りをする。

卓「うわーーー!」

蹴りがもろに入り、吹っ飛ぶ卓。

卓「いってぇな! ぶっ殺すぞ、てめえ!」
成実「いいわよ、相手になってあげる。外に出なさい!」
卓「女だからって容赦しねえからな」
成実「ふん、あんたみたいな雑魚が私に勝てるわけないでしょ!」

そんな二人の様子を教室の端から見ている吾郎と美夜子。

吾郎「……もう、なんていうか、面倒くさいな、あの二人」
美夜子「そうね」
吾郎「結局、仲がいいのか悪いのか、どうでもいいと思う」
美夜子「……私もそう思う」

卓と成実の言い争う声が響いている。

終わり。

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