三匹の豚

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
一郎(いちろう)
二郎(じろう)
三郎(さぶろう)
オオカミ
ナレーション

■台本

ナレーション「昔々。あるところに一郎、二郎、三郎という3匹の豚がおりました。その豚たちは家でニートをしていたのですが、ついに母親から家を追い出されてしまったのです」

一郎「急に出てけなんて、ひでーよな」

二郎「まあ、家に三匹も大食らいのニートがいれば当然かも」

三郎「それに母さん、三年前くらいから、働けって怒ってたしね」

一郎「で、どうする?」

二郎「んー。とにかく住む家が必要だよね」

一郎「だな。よし、三郎、頼んだ!」

三郎「嫌だよ! なんでいつも僕ばっかりに押し付けるんだよ」

二郎「まあまあ。俺たちもう大人なんだし、自分のことは自分でするってことでいいんじゃない?」

一郎「……さっきまでこどおじだった俺たちに、ハードル高すぎねーか?」

二郎「そんなこと言っても仕方ないって。戻っても絶対、母さん家に入れてくれないだろうし、下手したらトンカツにされるよ」

一郎「はー。しゃーない。俺は段ボール集めて家作るわ」

二郎「じゃあ、俺は頑張って木で作ろうっと」

三郎「僕はレンガの家を悪い奴から奪い取るよ」

ナレーション「こうして、三匹の豚はそれぞれ自分たちで家を建てました」

場面転換。

ビューという風の音。

一郎「うお。寒ぃ。やっぱ、段ボールの家はレベルが高すぎたか? 下手したら凍死するな」

そこにオオカミの足音が近づいてくる。

オオカミ「豚くん、豚くん。俺を中に入れておくれ」

一郎「うおっ! オオカミじゃん! 無理無理。絶対開けねーよ」

オオカミ「そうかいそうかい。ま、開けてもらわなくても……ていっ!」

オオカミが段ボールの家を蹴り壊す。

一郎「うわっ! 俺の家が!」

オオカミ「段ボールごときで俺から身を守れるとでも思ったのか? じゃあ、いただきまーす」

一郎「うわー! 助けてくれー!」

オオカミ「あっ! 待てこら!」

一郎が走って逃げるのを追うオオカミ。

場面転換。

ドンドンドンと扉をたたく音。

一郎「二郎! 開けてくれ! マジやべえ!」

ガチャリと扉を開ける二郎。

二郎「なに? やっぱり段ボールの家は無理があったの?」

一郎「ある意味正解だけど、とにかく入れてくれ」

二郎「まあ、いいけど」

一郎が家に入る。

一郎「すぐにドア閉めて、鍵を掛けろ」

二郎「え?」

一郎「早く!」

二郎「よくわからないけど、わかった」

ガチャンと鍵が掛けられる音。

一郎「ふう。助かった」

二郎「なにがあったの?」

するとすぐにドンドンドンと扉がノックされる。

オオカミ「豚くん豚くん。俺を中に入れておくれ」

二郎「うわ。この声ってオオカミじゃん」

一郎「俺、危なく食われるところだったよ」

二郎「まあ、段ボールの家なら防衛にはならないよね。てか、逆に火をつけられたら豚の丸焼きが完成だよ」

オオカミ「あ、その手があったか」

一郎「……あいつが馬鹿でよかった」

二郎「……一郎兄さんも人のこと言えないと思うけどね」

オオカミ「豚くん豚くん。入れておくれよー」

二郎「いや、入れるわけないし」

オオカミ「開けてくれたら、フィギュアあげるよ」

二郎「え? マジで!?」

一郎「嘘に決まってんだろ!」

二郎「なんだと! くそ、卑怯な奴め!」

オオカミ「ちっ! ひっかからなかったか」

スタスタとオオカミが去っていく音。

一郎「お? 諦めて帰ったか」

二郎「そうみたいだね」

するとパチパチという音が聞こえる。

一郎「え? 何の音だ?」

二郎「さあ?」

一郎「なんか熱くないか?」

二郎「確かに」

一郎「煙だ……」

二郎「まさか……」

オオカミ「ひひひ。豚の丸焼き完成ってか」

一郎「くそ、家に火を付けやがった!」

二郎「なんて頭の良い奴だ!」

一郎「いや、お前が気づかせたんだけどな」

二郎「とにかく裏口から逃げよう」

一郎「そうだな」

場面転換。

三郎「なるほど。それで僕の家に逃げ込んだと」

二郎「裏口作ってなかったらヤバかった」

一郎「多分、この後、オオカミが来るから絶対に開けるなよ」

三郎「あははは。オオカミだってわかってるのに開けないよ」

ドアがノックされる音。

オオカミ「豚くん豚くん。俺を中に入れておくれ」

二郎「来た!」

オオカミ「入れてくれたら、同人誌あげるよ」

三郎「え? マジで!?」

一郎・二郎「嘘に決まってるだろ! 開けるなよ」

三郎「嘘だったの!? なんて卑怯な奴なんだ!」

オオカミ「ちっ! 引っかからなかったか」

スタスタと歩き去る音がする。

一郎「今度こそ、諦めたか?」

二郎「レンガの家なら火も付けられないし、壊せないし、大丈夫だと思う」

三郎「って、思うでしょ?」

一郎「なんだ?」

三郎「きっと、煙突から中に入ってくるよ」

二郎「なるほど。じゃあ、どうするんだ?」

三郎「ふふふ。煙突の下の暖炉のところにお湯を沸かした鍋を置いておくんだよ。そしたら、そこに落ちて大やけどってわけ」

一郎「おお。三郎、頭いいな」

三郎「じゃあ、さっそく用意するね」

場面転換。

ぐつぐつとお湯が煮たる音。

三郎「これで準備オッケー。あとはオオカミが落ちてくるのを待つだけだね」

するとヒューっとオオカミが落ちてくる音。

オオカミ「うわーーーー!」

三郎「あ、落ちてきた!」

ばっしゃんと鍋の中に落ちるオオカミ。

オオカミ「うぎゃー! 熱いーー!」

二郎「やったぁ! 大成功!」

オオカミ「というと思ったか?」

一郎「へ?」

オオカミ「ばばーん! 平気でしたー!」

三郎「あ、耐熱スーツ!」

一郎「おい! ズルいぞ! そこは火傷して逃げていくところだろ!」

オオカミ「ふふ。いつから自分たちは食べられないと思い込んでたんだ?」

二郎「く、くそ!」

オオカミ「いただきまーす!」

三郎「ふんっ!」

オオカミ「ぐあっ!」

三郎に殴られ吹き飛ぶオオカミ。

オオカミ「な、なんだと!? 強い……」

三郎「いつから豚がオオカミよりも弱いと思い込んでたんだ?」

オオカミ「いや、それはちょっとズルいと思うぞ」

三郎「問答無用」

オオカミ「ぎゃあああーーーー!」

場面転換。

バンと扉が開いて、オオカミが逃げていく。

オオカミ「いつか絶対に食ってやるー! 覚えてろー」

三郎「ふう。これで一件落着かな」

グウと、三匹のお腹が鳴る。

三郎「……家問題は解決したけど」

二郎「食べ物問題は解決してない」

一郎「……しょうがないな」

一郎・二郎・三郎「働くか」

ナレーション「こうして三匹の豚は職安に行き、働くことになりましたとさ。めでたしめでたし」

終わり。

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