君が喜んでくれるから

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
海(かい)
陸(りく)
和佳奈(わかな)

■台本

海(N)「俺と陸は双子だ。一卵性双生児というやつ。だから、周りからは見分けがつかない。俺と陸はそれを利用して、うまくやっている」

陸「なあ、海。今日、算数のテストがあるんだけど」
海「おっけー。じゃあ、入れ替わるか。国語のテストの時は頼むな」
陸「りょうかいー」

海(N)「こういうふうに、入れ替わってピンチを切り抜けたりしている。でも、今、俺たちの中で一番ハマっていることは、和佳奈を驚かせることだ」

場面転換。
体育館用具室。

和佳奈「ねえ、海くん。用事ってなーに?」
海「ふっふっふ。和佳奈、よく来たな。今日はすごいものを見せてやるよ」
和佳奈「え? ホント? 楽しみだなぁ」
海「へへへ」
和佳奈「どんなすごいものなの?」
海「脱出トリックだ」
和佳奈「脱出トリック?」
海「まずは用具室のドアを閉めてっと」

海がドアを閉める。

海「じゃあ、いくぞ。和佳奈、3秒目を閉じてくれ」
和佳奈「ん? わかった。いーち、にーい、さーん!」

海が物陰に隠れる。

海「目を開けていいぞ」
和佳奈「……あれ? 海くん、どこ?」

ガラガラと外からドアが開く音。

陸「じゃじゃーん! どうだ? ドアを開けずに用具室の外に出たんだ」
和佳奈「わー! すごーい!」
陸「へへへ」

場面転換。
海と和佳奈が話しながら歩いている。

和佳奈「あはは。そうなんだ?」
海「うん。それで、先生が……って、あっ!」
和佳奈「どうしたの?」
海「猫だ」
和佳奈「え? どこどこ?」
海「ちょっと捕まえてくる」

海が路地裏に走っていく。

和佳奈「あ、ちょっと待ってよ」

和佳奈が追う。

和佳奈「……あれ? いない? 海くーん?」
陸「わっ!」
和佳奈「きゃっ!」
陸「びっくりした?」
和佳奈「えー! いつの間に後ろにまわったの?」
陸「へへへ。凄いだろ?」
和佳奈「うん。すごいすごい!」

海(N)「こうやって、俺と陸で入れ替わることで和佳奈を驚かせるのだ。全然気づいていない。本当に和佳奈を驚かせるのは面白くて止められない。悪戯のし甲斐があるってやつだ」

場面転換。

和佳奈(N)「私には海くんと陸くんっていう、双子のお友達がいる。二人は本当にそっくりなんだけど、ある癖があるんだよね」

場面転換。
体育館用具室。

和佳奈「ねえ、海くん。用事ってなーに?」
海「ふっふっふ。和佳奈、よく来たな。今日はすごいものを見せてやるよ」
和佳奈「え? ホント? 楽しみだなぁ」
海「へへへ」

和佳奈(N)「二人の癖というのは笑ったときに、海くんは右手でほっぺたを掻くのだ」

和佳奈「どんなすごいものなの?」
海「脱出トリックだ」
和佳奈「脱出トリック?」
海「まずは用具室のドアを閉めてっと」

海がドアを閉める。

海「じゃあ、いくぞ。和佳奈、3秒目を閉じてくれ」
和佳奈「ん? わかった。いーち、にーい、さーん!」
海「目を開けていいぞ」
和佳奈「……あれ? 海くん、どこ?」

ガラガラと外からドアが開く音。

陸「じゃじゃーん! どうだ? ドアを開けずに用具室の外に出たんだ」
和佳奈「わー! すごーい!」
陸「へへへ」

和佳奈(N)「……あ、笑ったとき、右手で鼻を掻いてる。ということは陸くんだ。……わかった。用具室で海くんが隠れてて、陸くんが最初から外で待ってたってことか」

場面転換。
海と和佳奈が話しながら歩いている。

和佳奈「あはは。そうなんだ?」
海「うん。それで、先生が……って、あっ!」
和佳奈「どうしたの?」
海「猫だ」
和佳奈「え? どこどこ?」
海「ちょっと捕まえてくる」

海が路地裏に走っていく。

和佳奈「あ、ちょっと待ってよ」

和佳奈が追う。

和佳奈「……あれ? いない? 海くーん?」
陸「わっ!」
和佳奈「きゃっ!」
陸「びっくりした?」
和佳奈「えー! いつの間に後ろにまわったの?」
陸「へへへ。凄いだろ?」

和佳奈(N)「あ、右手で鼻を掻いてるってことは陸くんかぁ」

和佳奈「うん。すごいすごい!」

和佳奈(N)「海くんと陸くんは、いつも私を驚かせてくる。私がビックリしたフリをすると、二人は凄く嬉しそうな顔をする。だから、私はいつも気づかないフリをして驚いてみせるの。だって、二人は本当に嬉しそうに笑うから、私もなんだか嬉しくなってくるんだよね」

終わり。

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