伝説の木の下で告白すると2人は結ばれる

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
煌良 (あきら)
彩夢(あやめ)
女性生徒
男子生徒

■台本

放課後の教室。

彩夢「ねえ、煌良。伝説の木の下で告白すると2人は結ばれるって噂、知ってる?」
煌良「ああ。なんかのゲームで一時期流行ったらしいな。それがきっかけで、どこの学校でもそういう噂が逸ったらしいな」
彩夢「違うわよ。うちの学校での噂」
煌良「……なんだよ。あまりにも流行り過ぎて、学校の七不思議の一角に昇格したのか?」
彩夢「うちの学校の噂は本物なんだって」
煌良「嘘くせぇ」
彩夢「ってわけで、伝説の木の下で告白するわよ大作戦を発動するわ」
煌良「俺の話聞いてたか? そういうの、真に受けても徒労に終わるだけだって」
彩夢「やるだけタダなんだから、いいじゃない」
煌良「手伝わされる俺は労働力と時間を盗られるんだが?」
彩夢「まずは、手紙で呼び出し作戦よ」
煌良「聞けよ、人の話」

場面転換。
木の陰に隠れて見ている煌良。
伝説の木の下には彩夢が立っている。

彩夢「……来ない」

スタスタと歩き出し、彩夢のところまでやってくる煌良。

煌良「誰を呼び出したんだ?」
彩夢「サッカー部の吉良くん」
煌良「おおう。いきなり学校トップ行くか。すげー、肝が太いな」
彩夢「だって、万が一成功したとしたら、トップの方がいいじゃない」
煌良「万が一ってお前……。やっぱりあんまり信じてねーじゃねーか」
彩夢「よし、次、行ってみよー」
煌良「はあ……」

場面転換。
伝説の木の下には彩夢が立っている。
その横に煌良が立っている。

彩夢「……おかしいわ。10人全滅なんてあり得る?」
煌良「そんなに爆撃したのかよ。……全然、誠意ないな。来なくて当然だよ」
彩夢「えー。だって、女の子からの呼び出しよ? しかも私から。絶対来るでしょ」
煌良「そんな自信はどっから来るんだよ。てか、どんな文面で送ったんだ?」
彩夢「長々書くのって面倒じゃない?」
煌良「ん? んー。そこはせめて時間かけろよ。大事なとこだぞ」
彩夢「だから、一言に思いを込めたわ。伝説の木の下で待つ! ってね」
煌良「……それだと果たし状じゃねーか」

場面転換。
学校のグラウンド裏。

女生徒「ふふふふーん」

女生徒が歩いている。

女生徒「きゃあっ!?」

落とし穴に落ちる女生徒。

彩夢「かかったっ!」

彩夢が走ってきて穴の中を覗く。

女生徒「え? え? え? なに? 落とし穴?」
彩夢「……ちっ! 外れか……」
煌良「お前は一体、何をやってるんだよ」
彩夢「……私、思ったのよ。来ないなら、捕まえればいいって」
煌良「……」

場面転換。
学校の裏庭を歩いている男子生徒。

男子生徒「ふわー。眠いな。早く帰って寝るかー」

そのとき上から網が落ちてくる。

男子生徒「へ? な、なに? うわー!」
彩夢「よし!」
男子生徒「ちょ、なんだよ、この網!」
彩夢「へっへっへ。私と一緒にちょっと来てもらうわよ」
男子生徒「え?」
煌良「……やめろ」

場面転換。
伝説の木の下で地団太踏む彩夢。

彩夢「あー、もう! なんで上手くいかないのよー!」
煌良「……上手くいったら、犯罪になるものばっかりだぞ」
彩夢「はあ……。ねえ、ホントにこの木の下で告白したら結ばれるのかなぁ?」
煌良「単なる噂だろ。う、わ、さ」
彩夢「そうだよね。ただの噂よね。本気になって損したわ」
煌良「……なあ」
彩夢「なに?」
煌良「もう、俺と付き合っちまえば?」
彩夢「ん? んー。そうねぇ。まあ、めんどくさくなってきたし、あんたで手を打つかー」
煌良「随分と上から目線だな」
彩夢「けど、卒業までだからね。あんたはあくまで、繋ぎだから。つ、な、ぎ」
煌良「はいはい」

煌良(N)「10年後。俺たちは結婚することになる。伝説の木の下で告白すると2人は結ばれる。……案外、本当だったのかもしれない」

終わり。

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