クリスマスのプレゼント

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
ルーカス
アマンダ
キース

■台本

ルーカス(N)「世の中、一番大事なのはなんだと思う? 顔? 金? 運動神経? 血筋? どれも違う。もちろん、それもあった方がいいけど、一番大事なものと言えば、これだ。……そう。頭だ。つまり、考えることが一番大事ということを僕は知っている」

場面転換。
ルーカス、アマンダ、キースが並んで歩いている。
ビューと風が吹く。

キース「うう……寒いよぉ」
アマンダ「冬なのに、そんなに薄着してるからよ」
キース「だって。上着持ってくるの面倒くさかったんだもん」
ルーカス「……」

ルーカスが上着を脱いで、キースに渡す。

ルーカス「はい。僕の着なよ」
アマンダ「ええー! そんなことしたら、ルーカス君が寒いんじゃない?」
ルーカス「大丈夫だよ。僕はこの下にいっぱい重ね着してるんだ」
キース「サンキューな。……うわー、暖かい」
ルーカス「ふふ。よかった。……あ、ゴミだ」

ルーカスがゴミを拾う。

アマンダ「ルーカス君って偉いよねー。落ちてるゴミを拾うなんてなかなかできないよ」
ルーカス「こんなのは慣れだよ、慣れ」
キース「確か、ルーカスはボランティアにも参加してるんだよな?」
ルーカス「あー、うん。休みの日だけだけどね」
アマンダ「それでも十分凄いよ」
ルーカス「そんなことないよ」
キース「ルーカスは良い子だよなー。……って、そういえば、もうすぐクリスマスだな」
アマンダ「そういえばそうだね。今年、2人は今年はどんなプレゼントをサンタさんからもらうの?」
キース「んー。俺、スゲー迷ってるんだよね。ゲームも欲しいし、スケボーも欲しいし、ガンセイバーの銃も欲しいんだよ」
アマンダ「あははは。わかるわかる。私も色々迷ってるもん。……ルーカス君は?」
ルーカス「僕もまだ迷ってるんだ」
アマンダ「へー。ルーカス君が迷ってるなんて珍しいね」
キース「確かになー。ルーカスって、何でも決めるの早いイメージあるよ」
ルーカス「はははは。僕だってたまには迷うよ。あ、じゃあ、僕、家こっちだから。じゃあね」
キース「おう」
アマンダ「バイバイ」

ルーカスが分かれて歩き出す。

ルーカス(N)「迷っているというのは真実じゃない。実はもう決まっている。というより、1年間、考えに考えたのだ。まさしく、頭を使って。去年までは普通に、そのとき欲しい物を貰っていた。だけど、それがベストの選択じゃないことに気づいた。欲しい物なんて変わっていくものだ。下手をしたら、手に入った瞬間、興味を失うなんてこともある。だから、僕は考えた。そして、ベストのプレゼントを導き出したのだ」

場面転換。
紙にマジックで文字を書いているルーカス。

ルーカス「ふう。サンタに何が欲しいかの希望も書いたし。準備はOK」

ルーカス(N)「あとは寝て、朝を待つだけ。良い子じゃないとプレゼントを貰えないなんていうオチにもならないように、半年前からボランティアに参加したり、思いつく限りの良い行いをしてきた。僕で良い子じゃなかったら、おそらく、世界中の子供たちは、今年はプレゼントを貰えないはずだ。ふう。明日になれば、僕は全てを手に入れることになる。本当に明日が楽しみだ」

布団に入って目を瞑るルーカス。

場面転換。
朝。

ルーカス「う、うーん。朝か。……そうだ! プレゼント!」

ルーカスが起き上がって、プレゼントの袋を漁る。

ルーカス「……やった! やったぞ! うおー!」

ルーカス(N)「僕の作戦は見事に成功した。……そう。僕がサンタに希望したプレゼントは――サンタの袋だ。願えば、どんな物も出てくる魔法の袋。これさえあれば、欲しい物をなんでも取り出せる。一つだけじゃなくて、何個でも。……これが頭を使った結果だ。やっぱり、世の中で一番大切なことは考えることだと証明された」

そのとき、近くにあるメモの紙がカサッと音を立てる。

ルーカス「あ、取扱書だ。えーっと、なになに? サンタの袋の使い方。なになに? 欲しい物をイメージしながら袋に手を入れると、プレゼントが出てくる……か。よし、さっそく、ゲームでも出してみるか!」

ガサガサと袋を漁る、ルーカス。

ルーカス「……あれ? 出て来ない? あれ? あれ? おかしいなぁ。書いてある通りにやったんだけど……」

もう一度紙を見るルーカス。

ルーカス「あ、最後になんか注釈が書いてある。えーっと、注意。この袋はサンタにしか使えません。……って、これじゃ意味ないじゃん!」

ルーカス(N)「僕の計画は見事に失敗した……かに思えたが。だが、起死回生の方法を考え出した。――そう。それは僕自身がサンタになることだ。こうして、僕はサンタを目指して努力を始めたのだった」

終わり。

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