家に帰ると子供が殺そうとしてきます
- 2023.04.04
- 映像系（10分～30分）
■概要
人数：5人
時間：10分
■ジャンル
舞台・漫画原作・ドラマ、現代、コメディ
■キャスト
竜太郎（りゅうたろう） ３６歳 占い師
幸喜（こうき） ３４歳 会社員
真緒（まお） ３４歳 主婦
蓮（れん） 5歳 幸喜と真央の子供
郁美（いくみ） ３３歳 主婦
■台本
占いの館。
ぽつぽつと人が入って行く。
〇部屋の中
竜太郎が座っていると、幸喜が入ってくる。
竜太郎「占いの館にようこそ。何を占って欲しいんですか？」
幸喜「……あの、その……。私の死期についてです」
竜太郎「死期？ ご病気か何かですか？」
幸喜「いえ……。命を……狙われているんです」
竜太郎「え？ ……あの。失礼ですが、それでしたら私のところよりも、警察に行った方が……」
幸喜「それが出来ないんです」
竜太郎「なぜですか？」
幸喜「息子だからです」
竜太郎「え？」
幸喜「私を殺そうとしているのは、５歳の息子なんです」
〇幸喜の家の玄関 ※幸喜の回想
幸喜がドアを開けて入ってくる。
幸喜「ただいまー」
靴を脱いで玄関に上がろうとすると、バナナの皮があり、踏んで転ぶ。
幸喜「うわああ！ ……いてて。なんで、バナナの皮が……」
そこに蓮が手にハンマーを持って走ってくる。
倒れた幸喜に向って、ハンマーを振り下ろす。
蓮「ああー、滑ったぁ」
幸喜「滑ったのはパパだよ！」
ギリギリでハンマーを躱す幸喜。
〇リビング
ドアを開けて幸喜が入ってくる。
真緒「あら、お帰りなさい」
幸喜「……おい、蓮に危ないもの持たせるなよ」
真緒「危ないもの？」
幸喜「あー、いいや。それよりお腹減ったな」
真緒「ご飯の用意は出来てるわよ」
幸喜「すぐ着替えてくるよ」
〇リビング
幸喜、真緒、蓮でテーブルを囲んでいる。
テーブルの上には色々な料理が並んでいる。
幸喜「いただきます！」
幸喜が自分の分のみそ汁を飲む。
幸喜「っ！？」
真緒「え？ なに？ どうしたの？」
幸喜「……」
幸喜がチラリと蓮を見ると、蓮がニヤリと笑っている。
幸喜「っ！？」
慌ててキッチンで口の中の物を吐く。
赤いものが広がる。
幸喜「……え？ 血？ まさか、あいつ……毒を？」
〇リビング
風呂上がりの幸喜がパジャマ姿でやってくる。
幸喜「ふう、いい湯だった……」
そこに蓮がナイフを持って走ってくる。
蓮「あぶなーい！」
幸喜「いや、ホントに危ないって！」
間一髪で避ける幸喜。
〇占いの館の部屋 ※回想終わり。
幸喜「……というわけなんです」
竜太郎「なるほど……。多分、お疲れなんでしょう」
幸喜「え？」
竜太郎「少し働き過ぎです。ゆっくり休んでください」
幸喜「ですが！」
竜太郎「大丈夫です。あなたの死期は全く近づいてませんから」
幸喜「そうですか……。よかった」
〇同
女性が竜太郎に頭を下げて部屋を出ていく。
竜太郎「次の方、どうぞ」
真緒が入ってくる。
竜太郎「何を占ってほしいのですか？」
真緒「夫の寿命なんですが……」
竜太郎「ご病気か何かですか？」
真緒「その……最近、神経過敏で、５歳の息子にまで怖がるんです。もしかしたら、病気かもしれないと思うんですけど、そんなことで病院に行くのも……」
竜太郎「怖がるというのは、どういった感じですか？」
真緒「それが……」
〇真緒の家の玄関 ※真緒の回想
バナナの皮で滑って転んでいる幸喜。
倒れた幸喜に向って、ハンマーを振り下ろす。
蓮「ああー、滑ったぁ」
幸喜「滑ったのはパパだよ！」
ギリギリでハンマーを躱す幸喜。
床に当たったハンマーはピコっと音を立てる。
〇リビング
幸喜「……」
口にみそ汁を含んだ幸喜がチラリと蓮を見ると、蓮がニヤリと笑っている。
慌ててキッチンへと走っていく幸喜。
蓮の後ろ手にはケチャップと唐辛子の瓶を持っている。
〇リビング
蓮がナイフを持って走ってくる。
蓮「あぶなーい！」
幸喜「いや、ホントに危ないって！」
間一髪で避ける幸喜。
そして、床に落ちたナイフがぐにゃりと曲がる。
〇占いの館の部屋 ※回想終わり。
真緒「……というわけなんです」
竜太郎「なるほど……。あの、こうなった原因とかはありませんか？」
真緒「いえ、特に？」
竜太郎「その日の夕方、一緒に出掛けたとかありませんでした？」
真緒「……いえ、その日は一緒にテレビを……」
〇リビング ※真緒の回想
真緒と蓮が一緒にテレビを見ている。
テレビに結婚式のコマーシャルが流れる。
真緒「あー、いいなー。もう一回、ウェディングドレス着たいなぁ」
蓮「じゃあ、僕と結婚しようよ！」
真緒「あははは。パパがいるから、ダーメ」
蓮「パパがいるから？」
真緒「あ、いけない。もうこんな時間。ご飯支度しないと……」
〇占いの館の部屋 ※回想終わり。
真緒「なんてこと言うんですよ。可愛いですよね」
竜太郎「あの……帰ったら、息子さんにお母さんとは結婚できないことを教えてあげてください」
真緒「え？」
竜太郎「それで全てが解決します」
真緒「……よくわかりませんけど、わかりました」
真緒が頭を下げて、部屋を出ていく。
竜太郎「……ふう」
〇竜太郎の家の玄関
ドアを開けて、竜太郎が入ってくる。
竜太郎「ただいまー！」
すると家の奥から悲鳴が聞こえてくる。
郁美「きゃーーー！ あなた！ 助けて―！」
竜太郎「っ！？」
慌てて靴を脱いでリビングへと走る竜太郎。
竜太郎「恵麻―！ お母さんを殺しても、お父さんと結婚は出来ないって、言っただろー！」
終わり。
