クラスの嫌われ者
- 2023.04.12
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ
■キャスト
シーラ 17歳
アスマ 17歳 シーラのクラスメイト
女子1~3 17歳 シーラのクラスメイト
男 17歳
■台本
シーラ(N)「私と同じクラスに、学園内で物凄く嫌われている男の子がいる。名前はアスマ。その名前は同学年はもちろん、下級生や上級生たちにも知れ渡っている。主に、女子に。……その理由はというと……」
場面転換。
更衣室。
女子1「あれ? シーラ、また胸大きくなったんじゃない?」
シーラ「え? そ、そんなことないよ」
女子2「いやいや、育ってる育ってる」
女子3「ねえ、ちょっと触らしてよ」
女子1「あ、私も触りたい―」
シーラ「ちょ、ちょっと~!」
ポタっと何かが落ちる音。
女子2「ん? なにこれ? ……血?」
女子3「あ、見て! 天井にアスマが張り付いてる!」
アスマ「げっ! バレた!」
女子2「逃げた!」
女子3「捕まえて、今度こそ憲兵に引き渡してやるわよ!」
アスマ「わははははは! 俺に追いつけるかな」
女子たち「待て―!」
シーラ「ちょっと、みんな! 下着のままだよ……って、あーあ、行っちゃった」
アスマが走って行って、女子たちが追いかけていく。
シーラ(N)「そう。アスマは覗きの常習犯なのである。どんなに対策を練っても、潜り抜けて覗きをしてくるのだ。男子の中ではアスマを覗きの天才と言って、崇める人もいるそうだ」
男「……」
シーラ「ん? ……あれ? 気のせいかな? 誰かいたような気がしたんだけど」
場面転換。
縛られたアスマを取り囲む女子たち。
アスマの顔はボコボコ。
アスマ「すびばぜん(すみません)。もぶしばせん(もうしません)」
女子2「その台詞、もう325回目なんだけど」
女子1「もう、玉潰しちゃった方がいいんじゃない? 世界中の女の子のために」
アスマ「やめてー!」
シーラ「……」
女子3「ん? シーラ、どうかしたの? 後ろなんて見て」
シーラ「え? ううん……なんでもない」
女子2「竿も折っちゃえばいいよ」
アスマ「ホント、それだけは勘弁して! ……あ、でも、ちょっと興味あるかも。優しくして」
女子1「この変態がー!」
アスマ「うげーー!」
ボコボコにされているアスマ。
シーラ(N)「うーん。アスマはなんで、ここまでされて懲りないんだろ。ある意味、凄いと思う」
場面転換。
通学路。夕方(やや日が沈み始めた頃)。
女子2「ホンッと、最悪」
シーラ「あははは。いいじゃない。見られた分は仕返しできたんでしょ?」
女子2「そういうことじゃないの」
シーラ「まあ、そうだよね」
女子2「……ねえ、シーラ」
シーラ「なに?」
女子2「あいつのこと、どう思う?」
シーラ「アスマのこと? んー。どうって言われても、スケベな変態?」
女子2「ぷっ! まあ、普通ならそうなるか」
シーラ「普通ならって?」
女子2「あー、いや。その……」
シーラ「ん?」
女子2「あのさ。もし、もしもだけどさ。あいつのこと好きな奴がいるってなったらどう思う?」
シーラ「あははははは! いないって、そんな人。よっぽどの変わり者だよ」
女子2「そ、そうだよね。いくら、変なやつが多い学校でも、あいつを好きになる変わり者なんていないか」
シーラ「うん。いないいない」
女子2「……実はあいつ、女子に人気っていう噂があるんだけど、知らない?」
シーラ「ええー? それ、アスマが自分で流してるんじゃないの?」
女子2「ああ……。そっか。そういうこともあるか」
シーラ「絶対そうだよ」
女子2「そっか。安心した。じゃあ、私、こっちだから」
シーラ「うん。じゃあ、また明日ね」
女子2と別れるシーラ。
シーラ一人で歩く。
シーラ「……安心したって、なんだったんだろ? って、もうこんな時間。ちょっと教室でおしゃべりしすぎたかな」
小走りになるシーラ。
が、ピタリと立ち止まる。
シーラ「……どうしよう? もう暗くなってるけど……」
シーラ(N)「街灯の無い路地裏。特に日が沈んでからはここを通る女の人は少ない。でも、ここを通れば近道なのだ」
シーラ「……大丈夫だよね。ちょっと通るくらいだし」
シーラが小走りで路地裏に入って行く。
場面転換。
小走りするシーラ。
シーラ「ほっ。もう少しで大通りだ」
そこに男が現れる。
男「シーラさん!」
シーラ「きゃっ!」
男「ぼ、僕と結婚してください!」
シーラ「え? えっと……。その、急に言われても」
男「……じゃあ、とりあえず、一緒に住もうよ。そしたら、僕の魅力もわかるからさぁ」
男がナイフを出して構える。
シーラ「あ、あの……」
男「お、大声出したら刺すからな!」
シーラ「きゃああああ!」
男「っ! このお!」
男がシーラを刺そうと走ってくる。
アスマ「おらああ!」
男「うわああ!」
アスマが男にタックルを仕掛ける。
男とアスマがゴロゴロと転がる。
アスマ「ぎゃあーー! ナイフが刺さったー」
男「ぼ、僕のせいじゃないぞ! 僕は関係ないからなっ!」
男が逃げていく。
アスマ「……ふう」
シーラ「あ、あの……」
アスマ「ん? ああ、怪我はなかった? シーラさん」
シーラ「え? あ、うん。大丈夫」
アスマ「あいつ、2組のやつだな。前々からシーラさんのこと付け回してたんだよ」
シーラ「そ、そうなの?」
アスマ「ああ。今日だって、着替えの時とか、教室でも視線感じてただろ?」
シーラ「あ……」
アスマ「さてと。じゃあ、行こうか」
シーラ「え?」
アスマ「憲兵のとこ。あいつ、捕まえて貰わなくっちゃ。証拠のナイフもこっちにあるしね」
シーラ「あ、でも怪我してるんじゃ?」
アスマ「ん? ああ、こんなのかすり傷だよ」
シーラ「でも、血が出てるよ」
アスマ「はははは。今日、教室で女子にやられたことを考えれば、全然大した来ないって」
シーラ「ぷっ! あはははは! そうだね」
アスマ「だろ? じゃ、行こうぜ」
シーラ「うん」
場面転換。
早朝の教室。
ガラガラとドアを開けてシーラが入ってくる。
アスマ「おはよー。昨日は眠れた?」
シーラ「ありがとう。うん、大丈夫」
アスマ「なんにしても、学園から1人、変態を排除できてよかったよ。これでシーラさんも安心だね」
シーラ「目の前に学園で一番の変態がいるけどね」
アスマ「ひどっ!」
シーラ「あははは。……ねえ、アスマ」
アスマ「ん?」
シーラ「なにか、お礼させてくれない? 助けて貰っちゃったし……」
アスマ「ああー。いいよ、別に」
シーラ「でも……」
アスマ「もう貰ってるし」
シーラ「え?」
アスマ「昨日、たっぷりシーラさんのおっぱい拝ませてもらったし」
シーラ「も、もう!」
アスマ「ご馳走様でした」
シーラ「バカ!」
アスマ「あはははは」
そのとき、ドアが開く。
女子2「おはよー。って、シーラ早いね」
シーラ「おはよう。うん。ちょっとね」
アスマ「あれー? 俺におはようは?」
女子2「死ね!」
アスマ「ひどっ!
女子2「ふん」
女子2が席に座る。
女子2「(小声で)ねえ、アスマと何話してたの?」
シーラ「あ、うん。ちょっとね」
女子2「……」
シーラ「そうだ、昨日言ってた件なんだけど」
女子2「昨日?」
シーラ「アスマがモテてるって話」
女子2「それがどうしたの?」
シーラ「案外ホントかも」
女子2「え?」
シーラ(N)「私と同じクラスに、学園内で物凄く嫌われている男の子がいる。名前はアスマ。でも、私はそんなアスマのことが好きになってしまったかもしれない」
終わり。