オオカミ少年
- 2023.10.13
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:15分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
大和(やまと)
千早(ちはや)
朋美(ともみ)
佳苗(かなえ)
女子
■台本
学校の校門前。
朝から、色んな女の子に声をかけている大和。
大和「おはよー、真奈美ちゃん。今日も可愛いねー。あ、坂下さん。今日も美人だね。聖子ちゃんは、素敵過ぎて、太陽よりも目がくらむよ」
周りからは、ふふふ、と笑われている。
※失笑ではなく、クラスのお調子者を見るような親しみを持った感じ。
千早「あのさ、大和。いい加減、そういうのやめたら?」
大和「なんだよ、千早。朝から突然」
千早「女の子に手あたり次第、声をかけるのってよくないと思うけど」
大和「女の子ってさ、褒めれば褒めるほど、磨かれるんだよ。日本の男子は褒めなさすぎ。だから、俺が褒めてるの」
千早「確かに褒められるのは嬉しいけど、誰でもいいわけじゃないと思うよ」
大和「なんだよ、そりゃ」
千早「あんたみたいな、尻軽に褒められてもうれしくないって、言ってんの!」
大和「いや、尻軽って……」
千早「いつもヘラヘラと不真面目にしてたら、いざって時に信じてもらえなくなるよ」
大和「何言ってるんだよ。俺はいつも真面目だっつーの!」
千早「はあ……もういいわ」
大和「なんだよ? ……あ、わかった。お前、妬いてるんだろ?」
千早「何言ってんの、あんた」
大和「大丈夫だって。ちゃんとお前のことだって、褒めてやるからさ」
千早「……」
大和「……えーっと」
千早「……」
大和「……あー、えっと……今日も、おっぱいデカいな」
千早「バカ!」
頬を叩く音が響く。
場面転換。
休み時間の教室内。
朋美「……で、3位は山本くんでいい?」
佳苗「うーん。清田くんじゃない?」
そこに大和がやってくる。
大和「え? なになに? なにしてんの? クラスの男子の名前なんか書いちゃって」
朋美「わっ! 大和君!」
佳苗「見ちゃダメ!」
大和「なんだよなんだよー。可愛い女の子ふたりが秘密ごとしてるなんて、気になって、授業中、寝れないよ」
朋美「ぷっ! あははははは」
佳苗「まあ、大和君ならいいか」
大和「ラッキー、教えてくれるの?」
朋美「じゃじゃーん! ずばり、クラスの良い男ランキングを決めてたの」
大和「へー。もちろん、俺が一位でしょ?」
佳苗「あははは。大和君は5位だよ」
大和「5位! んー。なんか、微妙な順位だなー。もう少し上げられない?」
朋美「えー、どうしようかなぁー」
大和「頼むよー。クラス一美人の朋美ちゃん」
佳苗「えー! 私は―?」
大和「佳苗ちゃんは……ほら、クラス一可愛いから」
佳苗「あははは。適当過ぎ―」
朋美「じゃあ、大和君は3位に昇格で」
大和「1位じゃないのかよー!」
佳苗・朋美「あはははははは」
朋美「それより、大和君、大丈夫なの?」
大和「ん? なにが?」
佳苗「千早ちゃん、告白されたって噂だよ」
大和「……え?」
佳苗「やっぱり、聞いてなかったんだ? 早めに止めてあげた方がいいよ」
大和「……えー。なんで?」
朋美「なんでって、二人は付き合ってるんじゃないの?」
大和「あはは……。んなわけないじゃん。俺は、みんなの、大和君だよ?」
朋美「……まあ、大和君らしいっちゃらしいけど」
佳苗「真面目に考えないと、後悔するよ」
大和「……」
場面転換。
廊下を歩く千早。
後ろから大和が走って来る。
大和「千早!」
千早「あ、大和。どうしたの?」
大和「えーっと、ほら、俺に何か言うことないか?」
千早「……ん? 別に」
大和「ホントに?」
千早「うん。別に」
大和「あるだろー。なんていうか男関係のこと」
千早「……あったとしても、あんたには関係ないでしょ」
大和「やっぱり、噂は本当だったんだな?」
千早「だからなに?」
大和「……断るんだよな?」
千早「なんで?」
大和「受ける気かよ!?」
千早「だーかーら、なんで、あんたにどうするかを言わないといけないのよ」
大和「そりゃ、お前、あれだよ」
千早「どれ?」
大和「……千早」
千早「なに?」
大和「好きだ」
千早「……は?」
大和「お前のことが好きだ。だから、そんな告白、断っちまえ」
千早「……」
大和「……」
千早「……ぷっ!」
大和「へ?」
千早「あはははははははは!」
大和「お、おい?」
千早「ついに、私にも言ってきたかー。誰でもいいってホントだったんだ」
大和「違うって! これは本気なの!」
千早「はいはい。わかったわかった」
大和「真面目に聞けって!」
千早「あのね、大和。こういうのはしつこいと返って萎えるから」
大和「……そうじゃなくて」
千早「あー、もう。わかったわよ。断ればいいんでしょ、断れば。まあ、元々受ける気なかったけどね」
大和「そうなのか……」
千早「ったく。先に恋人作られるのが嫌だからって、自爆テロみたいなことする? あんたの尻の軽さは筋金入りだね」
大和「……」
千早「さてと。帰りに、アイス食べて行かない? 新しいお店できたんだって」
大和「あ、ああ……」
千早と大和が並んで歩く。
大和「なあ、千早」
千早「ん?」
大和「俺、少し真面目になるわ」
千早「ぷっ! なにそれ? ネタ?」
大和「違うって!」
千早が笑い、大和が頭を抱えて歩いていく。
終わり。
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