オオカミ少年

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■概要
人数:5人
時間:15分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
大和(やまと)
千早(ちはや)
朋美(ともみ)
佳苗(かなえ)
女子

■台本

学校の校門前。

朝から、色んな女の子に声をかけている大和。

大和「おはよー、真奈美ちゃん。今日も可愛いねー。あ、坂下さん。今日も美人だね。聖子ちゃんは、素敵過ぎて、太陽よりも目がくらむよ」

周りからは、ふふふ、と笑われている。

※失笑ではなく、クラスのお調子者を見るような親しみを持った感じ。

千早「あのさ、大和。いい加減、そういうのやめたら?」

大和「なんだよ、千早。朝から突然」

千早「女の子に手あたり次第、声をかけるのってよくないと思うけど」

大和「女の子ってさ、褒めれば褒めるほど、磨かれるんだよ。日本の男子は褒めなさすぎ。だから、俺が褒めてるの」

千早「確かに褒められるのは嬉しいけど、誰でもいいわけじゃないと思うよ」

大和「なんだよ、そりゃ」

千早「あんたみたいな、尻軽に褒められてもうれしくないって、言ってんの!」

大和「いや、尻軽って……」

千早「いつもヘラヘラと不真面目にしてたら、いざって時に信じてもらえなくなるよ」

大和「何言ってるんだよ。俺はいつも真面目だっつーの!」

千早「はあ……もういいわ」

大和「なんだよ? ……あ、わかった。お前、妬いてるんだろ?」

千早「何言ってんの、あんた」

大和「大丈夫だって。ちゃんとお前のことだって、褒めてやるからさ」

千早「……」

大和「……えーっと」

千早「……」

大和「……あー、えっと……今日も、おっぱいデカいな」

千早「バカ!」

頬を叩く音が響く。

場面転換。

休み時間の教室内。

朋美「……で、3位は山本くんでいい?」

佳苗「うーん。清田くんじゃない?」

そこに大和がやってくる。

大和「え? なになに? なにしてんの? クラスの男子の名前なんか書いちゃって」

朋美「わっ! 大和君!」

佳苗「見ちゃダメ!」

大和「なんだよなんだよー。可愛い女の子ふたりが秘密ごとしてるなんて、気になって、授業中、寝れないよ」

朋美「ぷっ! あははははは」

佳苗「まあ、大和君ならいいか」

大和「ラッキー、教えてくれるの?」

朋美「じゃじゃーん! ずばり、クラスの良い男ランキングを決めてたの」

大和「へー。もちろん、俺が一位でしょ?」

佳苗「あははは。大和君は5位だよ」

大和「5位! んー。なんか、微妙な順位だなー。もう少し上げられない?」

朋美「えー、どうしようかなぁー」

大和「頼むよー。クラス一美人の朋美ちゃん」

佳苗「えー! 私は―?」

大和「佳苗ちゃんは……ほら、クラス一可愛いから」

佳苗「あははは。適当過ぎ―」

朋美「じゃあ、大和君は3位に昇格で」

大和「1位じゃないのかよー!」

佳苗・朋美「あはははははは」

朋美「それより、大和君、大丈夫なの?」

大和「ん? なにが?」

佳苗「千早ちゃん、告白されたって噂だよ」

大和「……え?」

佳苗「やっぱり、聞いてなかったんだ? 早めに止めてあげた方がいいよ」

大和「……えー。なんで?」

朋美「なんでって、二人は付き合ってるんじゃないの?」

大和「あはは……。んなわけないじゃん。俺は、みんなの、大和君だよ?」

朋美「……まあ、大和君らしいっちゃらしいけど」

佳苗「真面目に考えないと、後悔するよ」

大和「……」

場面転換。

廊下を歩く千早。

後ろから大和が走って来る。

大和「千早!」

千早「あ、大和。どうしたの?」

大和「えーっと、ほら、俺に何か言うことないか?」

千早「……ん? 別に」

大和「ホントに?」

千早「うん。別に」

大和「あるだろー。なんていうか男関係のこと」

千早「……あったとしても、あんたには関係ないでしょ」

大和「やっぱり、噂は本当だったんだな?」

千早「だからなに?」

大和「……断るんだよな?」

千早「なんで?」

大和「受ける気かよ!?」

千早「だーかーら、なんで、あんたにどうするかを言わないといけないのよ」

大和「そりゃ、お前、あれだよ」

千早「どれ?」

大和「……千早」

千早「なに?」

大和「好きだ」

千早「……は?」

大和「お前のことが好きだ。だから、そんな告白、断っちまえ」

千早「……」

大和「……」

千早「……ぷっ!」

大和「へ?」

千早「あはははははははは!」

大和「お、おい?」

千早「ついに、私にも言ってきたかー。誰でもいいってホントだったんだ」

大和「違うって! これは本気なの!」

千早「はいはい。わかったわかった」

大和「真面目に聞けって!」

千早「あのね、大和。こういうのはしつこいと返って萎えるから」

大和「……そうじゃなくて」

千早「あー、もう。わかったわよ。断ればいいんでしょ、断れば。まあ、元々受ける気なかったけどね」

大和「そうなのか……」

千早「ったく。先に恋人作られるのが嫌だからって、自爆テロみたいなことする? あんたの尻の軽さは筋金入りだね」

大和「……」

千早「さてと。帰りに、アイス食べて行かない? 新しいお店できたんだって」

大和「あ、ああ……」

千早と大和が並んで歩く。

大和「なあ、千早」

千早「ん?」

大和「俺、少し真面目になるわ」

千早「ぷっ! なにそれ? ネタ?」

大和「違うって!」

千早が笑い、大和が頭を抱えて歩いていく。

終わり。

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