ポジティブシンキング

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■概要
人数:3人
時間:3分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
順平(じゅんぺい)
佳子(かこ)
雅(みやび)

■台本

放課後の教室。

順平「雅さん、好きです!」

雅「……ごめんなさい」

順平「がーーん!」

場面転換。

教室内で一人。机に突っ伏している順平。

順平「……あー。くそ。なんで、告白なんてしちまったんだろ」

そのとき、勢いよくドアが開く。

佳子「落ち込むな、少年!」

順平「うわあ!」

佳子「おっと、驚かせてしまったようだ。ごめんごめん」

順平「……なんなんですか? あなたは?」

佳子「一部始終、見させてもらったよ」

順平「え? 人がフラれるところを見てたってことですか?」

佳子「ナイス、ガッツだった!」

順平「……喧嘩売ってるんですか?」

佳子「なにをそんなにガッカリしてるんだ?」

順平「フラれたんですから、当たり前じゃないですか」

佳子「いいかい、少年。人生は常にポジティブであるべきだよ」

順平「いやいや。無理ですよ、さすがに。フラれたばっかりなんですよ?」

佳子「じゃあ、なにかね? 告白しなかった方がよかったと?」

順平「……ええ。まあ。フラれるくらいなら、その方がよくないですか?」

佳子「なるほどなるほど。では、少年はこの先、2年間、自分の思いを打ち明けることなく、悶々と過ごしたかったと?」

順平「うっ! そ、それは……」

佳子「あの女生徒が男と一緒に歩いているだけで、眠れない日々を過ごしたかったと?」

順平「い、いや、それは……」

佳子「だろう? 確かに、少年の恋は実らなかった。だが、告白することで、結果が出た。これで前に進めるのではないかね?」

順平「……まあ、確かに」

佳子「もし、告白しないで、あの女生徒が他の男と付き合い始めたらどう思う?」

順平「……」

佳子「やっぱり、あのとき、告白しておけばよかったと思うのではないだろうか?」

順平「そ、それは……否定できません」

佳子「あの女生徒のことが好きだったのだから、すぐには忘れられないだろう。だが、忘れる努力はできるはずだ」

順平「……」

佳子「大丈夫。少年に似合う女生徒なら、きっと見つかるさ。この学校に、何人の女性がいると思う?」

順平「ありがとうございます。なんだか、前向きな気持ちになれました」

佳子「だろう? 例え、物事の結果が悪かったとしても、前向きに考えることで、俯瞰的に良い結果にする。これがポジティブシンキングだ」

順平「へー。面白い考え方ですね」

佳子「ふっふっふ。そうだろう、そうだろう。ということで、少年。一つ、頼みがあるのだが」

順平「なんですか?」

佳子「我が、ポジティブ同好会に入ってくれないか? 会員は私しかいないが、今入ると、副会長になれるぞ」

順平「いや、いいです」

佳子「がーーん! ……うう。そんな。ああ、もうダメだ。終わりだ。同好会が潰れてしまう」

順平「なんで、そこは、ポジティブシンキングじゃねーんだよ!」

終わり。

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