初夢

NO IMAGE

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ドラマ、舞台、現代、コメディ

■キャスト
俊太(しゅんた)
愛美(まなみ)
老人

■台本

〇神社

大勢の人で賑わっている。

そんな中、俊太と愛美が初詣をしている。

〇同

参道を歩く俊太と愛美。

愛美「俊太は、何をお願いしたの?」

俊太「んー。先が読める男になれますように、かな」

愛美「なにそれ?」

俊太「今、世間の流れは早いんだぞ。未来を見通す目がないと、時代に取り残されちまう」

愛美「はは。高校生が何言ってんだか」

俊太「そういう愛美は、どんなことお願いしたんだよ?」

愛美「……秘密」

俊太「なんだ、そりゃ」

愛美「あ、そういえば、今日は初夢だね。どんな夢見れるかな。楽しみ」

俊太「初夢ねぇ。くだらない。所詮は夢だろ」

愛美「なにさ。別にいいじゃない。楽しみにするくらいさ」

俊太「ま、俺は興味ないけどな」

〇俊太の部屋(朝)

ベッドで寝ている俊太。

ガバっと上半身を起こす。

俊太「……っ!」

目を見開いている俊太。

そして、ガッツポーズをする。

〇駅前

愛美がスマホを見ながら、キョロキョロしている。

そこに俊太が走って来る。

俊太「おーい、愛美!」

愛美「ちょっと! 遅い! 15分の遅刻!」

俊太「それより聞いてくれ!」

愛美「……人を待たせておいて、そんなことより?」

俊太「俺、すげー、初夢みたんだ!」

愛美「へ?」

俊太「富士山の看板のところにナスビが落ちてて、それを拾っていたら、鷹に襲われる夢だ」

愛美「……」

俊太「ほら、言うだろ? 一富士二鷹三茄子って! それが全部だぜ! 全部! 今年はもう貰ったようなもんだろ!」

愛美「あんた、昨日は初夢なんてくだらないって言ってたじゃない」

俊太「それはそれ、これはこれだ。幸先良いことには変わりないだろ」

愛美「はいはい。じゃあ、遅刻した罰として、ケーキセット奢ってね」

俊太「……幸先悪ぃ」

〇街中

俊太と愛美が並んで歩いている。

前の方では工事をやっていて、富士山がかかれた看板をクレーンで持ち上げようとしている。

俊太「宝くじと、TОTО、どっちがいいと思う?」

愛美「そういうところがダメだと思う」

前から紙袋を持った老人が歩いてくる。

すると俊太と愛美の前で躓き、紙袋を落としてしまう。

老人「ああっ!」

紙袋の中から大量の茄子が飛び出す。

愛美「大丈夫ですか?」

老人「ああ、はい。すみません」

愛美「ほら、俊太。ボーっとしてないで、拾って拾って」

俊太「はいはい」

俊太が茄子を拾い集めていると、どこからか鷹が飛んでくる。

そして、俊太の頭に一撃を入れる。

俊太「いてえ!」

そして、鷹が飛び去っていく。

俊太「なんなんだよ、一体!」

頭を抑えながらも、茄子を老人の紙袋に入れる。

愛美がその紙袋を老人に渡す。

老人「ありがとうございました」

老人が行ってしまう。

俊太「くそうっ! 新年早々ついてない! なんでだよ! 一富士二鷹三茄子だっただろ! 大体、なんで、こんなところに鷹がいるんだ!」

愛美「……あ!」

愛美が横を向くと、ちょうど富士山が描かれた看板がある。

俊太「どうした?」

愛美「俊太の夢、初夢じゃなくて予知夢だったみたいね」

俊太「は?」

愛美「お願いが叶ってよかったじゃない。先が見える男になれたんだし」

俊太「……」

考え込む仕草。

俊太「納得いかねえ!」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉