太陽と影
- 2024.03.13
- ボイスドラマ(10分) 退避

■概要
人数:1人
時間:3分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
許山
■台本
許山(N)「俺にとって、君はまさに太陽だった。まわりは俺のことをいない方がいい人間だと陰口を叩く。……いや、まだ陰口を叩くのはいいと思えるくらいだ。中には俺はいないものだと、無視する人間だっていた。確かに、俺は決して褒められる人間ではない。数々の暴力や犯罪行為は、虐げられていたからという理由でやっていいものではないだろう。ただ、俺はそうすることでしか、心を保てなかった。人の道から外れるようなことをしてでも、その視線が悪意や憎しみに満ちていたとしても、俺のことを見て欲しかったんだ。けど、今はそんな気持ちは全くない。なぜなら、君に出会えたからだ。君はどうしようもない俺に一人の人間として、真っすぐに見てくれた。俺を褒めてくれて、そして、叱ってくれた。君にさえ見てもらえれば、他の人間からは見られなくてもいい。……いや、見られない方が都合がいいくらいだ。君は俺を照らし、凍った心を溶かしてくれた太陽で、俺は君という太陽に照らされ、地に映る影なのだ。君がいなければ、俺は存在できない。だからこそ、君という存在は絶対に守る。たとえ、どんなことをしても。もし、君が、自分のために俺がこんなことをしているとしれば、絶望し、嘆くかもしれない。罪悪感に苛まれるかもしれない。だが、それでも俺は生き方を変えるつもりはない。君に嫌われ、侮蔑されたとしても。俺は心に誓う。君を死なせることはしない。たとえ、君自身がそう望んだとしても。俺は君の死を決して受け入れることはない。未来永劫。絶対に」
終わり。