本当に好きだから

本当に好きだから

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■概要
人数:4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
大我(たいが)
姫奈(ひな)
母親
店員

■台本

母親「大我―、コーヒー淹れたわよ」

大我「はーい」

ドタドタと大我がやってくる。

大我「母さん。これって……」

母親「言われた通り、インスタントじゃなくて、ドリップよ」

大我「ありがと」

大我がコーヒーを啜る。

大我「うっ!」

母親「どう? 美味しい?」

大我「……砂糖と牛乳ある?」

母親「(ため息)無理して飲むことないのに」

大我「べ、別に無理なんかしてないって! 俺は本当にコーヒーが好きなんだから!」

母親「はいはい。次はインスタントに戻すからね。ドリップだと高上りなんだから」

大我「うーん。ドリップならいけると思ったんだけどなぁ」

場面転換。

コーヒーショップ。

自動ドアが開き、大我が入って来る。

店内は割と賑わっている。

大我「えーっと……。あ、いた。……よし」

大我が受付の方へ行く。

店員「いらっしゃいませ」

大我「えーっと、ホットコーヒー。Sサイズで」

店員「ありがとうございます」

場面転換。

店員「お待たせしました。コーヒーSサイズです」

大我「どうも……」

コーヒーを持って歩く大我。

大我「えーっと、よし! ちょうど席が空いたぞ」

大我が駆け足気味に、席に向かい、座る。

大我「……(コーヒーを啜る)ふう」

姫奈「あれ? また会ったね」

大我「あ、う、うん! 奇遇だね(棒読み気味)」

姫奈「あ、またコーヒーなんだ?」

大我「コーヒー好きなんだ」

姫奈「へー。私と一緒だね。ここのコーヒー美味しいよね」

大我「うん。だから、つい、通っちゃうんだよね」

姫奈「同じだね。周りじゃあんまり、コーヒー好きって人がいなくて……」

大我「俺もそうだよ。高校生でコーヒー好きなんて言ったら、カッコつけだなんて言われちゃってさ」

姫奈「わかるー。コーヒーって、なんか大人の飲み物って感じがするもんね」

大我「うん」

姫奈「でも、お小遣いが足りないから、あんまり来られないんだよね」

大我「お、俺もだよ」

姫奈「あ、そういえば……」

女性客「あのー。飲み終わったなら、席、譲ってくれませんか……?」

姫奈「え? あ、すみません」

大我「あっ……」

姫奈が立ち上がる。

姫奈「それじゃね」

姫奈が歩き去っていく。

大我「……」

女性客「……なんですか?」

大我「いや、別に……」

大我が残ったコーヒーを飲み干す。

大我「にがっ……」

場面転換。

大我の家。

大我がやってくる。

大我「母さん、なんか手伝うことある?」

母親「はあ……。あんた、最近、ちょっと無駄遣い多いんじゃない?」

大我「い、いいじゃん。別に。母さんには関係ないだろ」

母親「ふーん。じゃあ、買い物行ってくれる?」

大我「いくらくれる?」

母親「たまにはタダで手伝ってくれてもいいじゃない?」

大我「それじゃ、意味ないじゃん」

母親「じゃあ、自分で行くからいいわよ」

大我「えー! お願い! 300円でいいから」

母親「だーかーら、無駄遣いし過ぎだってば」

大我「……お願い」

母親「何に使うの?」

大我「……コーヒー」

母親「……そこまでして格好つけたいの?」

大我「違う! ……本当に好きだから」

母親「はあ……。買い物と肩もみ」

大我「サンキュー!」

場面転換。

コーヒーショップ。

自動ドアが開き、大我が入って来る。

大我「えーっと……あ、いた」

大我が足早に姫奈の方へ向かう。

大我「あ、あの……偶然だね」

姫奈「あっ! よかった。今日は来ないかと思った……」

大我「え?」

姫奈「う、ううん。何でもない」

店員「お待たせしました。ホットコーヒーです。ミルクとガムシロップはどうしますか?」

姫奈「ガムシロップ2個で」

大我「え?」

姫奈「……あっ!」

店員「ガムシロップ2個です」

姫奈「……」

大我「……」

姫奈「えっと……その……」

大我「あの、注文いいですか?」

店員「どうぞ」

大我「ホットコーヒーをSで。ミルクとガムシロップは2個ずつで」

姫奈「え?」

大我「コーヒーってさ、苦いよね」

姫奈「……」

大我「でも、本当に好きだから」

姫奈「わ、私も」

大我「あ、あのさ」

姫奈「なに?」

大我「今度は、その……ファミレスで会わない?」

姫奈「え?」

大我「ドリンクバーで安いところ、知ってるんだ」

姫奈「う、うん!」

大我(N)「本当に好きなのはうそじゃない。……コーヒーじゃなくて、君のことだけど」

終わり。

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