勘違い
- 2024.06.29
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:3分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
七緒(ななお)
健吾(けんご)
武明(たけあき)
■台本
町を颯爽と歩く七緒。
七緒(N)「ふふふ。通る人たちがみんな私を見てる。きっと、立ち止まって振り返ってる人も多いんだろうな。それもそのはず。だって、今日の私はばっちりメイクも決めて、お店の人にコーデしてもらった服を着て、まさに女優並みのオーラを放っている。だって、店員の人が服を買うとき、そう言ってたから。さあ、今日こそはイケメンの彼氏を捕まえてやるんだから!」
そこに、健吾が通りかかる。
健吾「あれ? 幸田さん?」
七緒が立ち止まる。
七緒「え?」
健吾「俺だよ、俺! 健吾! 久しぶり!」
七緒(N)「きたーーー! ナンパだ、これ! うわー! 初めてナンパされちゃった! しかもイケメンに! うわー! うわー! やっぱり、今日の私、イケてるんだ!」
健吾「いやー、懐かしいな。今って何してるの?」
七緒「えーっと……」
健吾「ああ。こんなところで立ち話もなんだからさ、どっか喫茶店に行かない?」
七緒(N)「へー。ナンパってこうやってするんだ? 多少強引だけど、こうやって女の子を誘ってお茶するんだね。ふふふ。いいじゃん! 今日は乗ってあげる!」
七緒「そうだね。行こっか」
健吾「あ、あそこのオープンテラスにしない? あのお店って、結構、人気らしいんだ」
七緒(N)「さりげなく、人気店に誘う。さすが、イケメンのナンパはポイントが高いね」
場面転換。
テラスで向かい合って座っている健吾と七緒。
七緒が紅茶を啜る。
七緒「うわあ、おいしー」
健吾「でしょ? ここの紅茶は女の子に人気らしいよ」
七緒「へー」
健吾「それにしてもさ、何年振りかな? 高校卒業してからだから……6年くらい? ホント、懐かしいよね」
七緒「あはは……」
七緒(N)「うーん。まだ、その話、引っ張るの? こうやって、誘いに乗ったんだから、もういいでしょ? それより、もっと楽しい、話をしてほしいんだけど……」
健吾「あっ! 知ってる? 担任だった、真崎先生、結婚したんだってさ」
七緒「へー……」
七緒(N)「誰だよ!? 知らないよ! 呼び止めるための切っ掛けの話をあんまり、引っ張らないで欲しいんだってば! こっちも辛いからさ」
健吾「真崎先生にはよく怒られたよなー。今考えると、俺たちのこと思ってくれてたんだって思うよ」
七緒「……」
そこに武明が通りかかる。
武明「あれ? 健吾?」
健吾「へ? あー、タケか!」
武明「おおー、懐かしいな。こんなとこで、何してんの? 彼女?」
七緒(N)「うわーうわー! 新たなイケメンの登場だー! なになに? 私のこと、取り合っちゃう? 取り合っちゃうの!?」
健吾「ちげーって。ほら、幸田さんだよ。高校一緒だっただろ? 偶然、そこで会ってさ」
武明「あー! 幸田さんね、懐かしいな―」
七緒(N)「……そのネタはあんまり引っ張らないで欲しいんだけど」
武明「……ん? あれ?」
健吾「どうした?」
武明「この人、幸田さんじゃねーだろ」
健吾・七緒「へ?」
武臣「幸田さんは、目の下に泣きボクロあっただろ、っていうか、顔、違うだろ」
健吾「……」
七緒「……」
健吾「あ、ホントだ。ごめん。人違いだった」
七緒「え? え?」
健吾「タケ、これから時間あるなら、飯食いにいかね?」
武明「おう、いいぞ」
健吾と武明が行ってしまう。
七緒「……ただの勘違いかよ!」
終わり。