バレンタインデーなんてくだらねえ

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
俊也(としや) 17歳
康太(こうた) 17歳
女子1~2 17歳

■台本

俊也(N)「バレンタインデー。それは女が好きな男にチョコを渡す日だ。俺は率直にいって、このバレンタインデーはくだらないと思っている。中にはチョコが嫌いな奴だっているし、そもそも、知らない奴からチョコを貰っても困るだけだ。いいことなんて、何もない。だからバレンタインデーなんていう日は無くなればいいと思う」

場面転換。
教室内。
女子たちが話しているのが聞こえてくる。

女子1「ねえ、聞いた? 今年、学校にチョコ持ってくるのって禁止になるかも」
女子2「えー、マジ? バレンタイン、どうするのよ」
女子1「絶対、モテない男子のやっかみだよね」
女子2「自分が貰えないからって、先生に言って禁止にさせるとか、マジ最悪―」

俊也(N)「ふん。何言ってやがる。そういうお前らだって、チョコを一方的に渡して終わりだろ? どうせ、お前らだって、もらう側からしたら、その他大勢の中の一人なんだ。そんなんで楽しいか? めでたい奴らだ」

場面転換。
道を歩いている俊也と康太。

康太「今日、バレンタインデーだね」
俊也「ん? あー、そうだな」
康太「女子たちが直談判して、チョコの禁止を撤回させたみたいだね」
俊也「あー、そうみたいだな」
康太「ちょっとドキドキしてる? もらえるかもって?」
俊也「アホか。今までもらえたためしがねーのに、今年はもらえるかもなんて思えるわけねーだろ」
康太「うわー、夢がないなー」
俊也「あのなぁ。希望なんてもんをもつと、絶望しか待ってないもんだ。それなら、最初から希望なんてもたなきゃいい」
康太「……そんな人生、楽しい?」
俊也「慎重だと言え」

場面転換。
教室内。
ワイワイと盛り上がっている。

女子1「あの、佐藤君。これ、もらってくれない?」
女子2「これね、手作りなんだ」

教室中で女子たちがチョコを渡している。

俊也(N)「ホント、くだらねーな。なんで、こんなくだらないことを学校は許可するんだよ。ふざけんな……」

俊也が無意識に机の中に手を入れると、ガサッと音がする。

俊也「ん? なんだ?」

机の中を覗き見る俊也。

俊也「こ、これは!?」

俊也が机の中にあった箱を持って、立ち上がる。
そして、走って、教室を出て行く。

場面転換。
廊下をダッシュする俊也。

俊也「よ、よし、この辺なら誰もいないだろう」

立ち止まって物陰に隠れる。

俊也「……こ、これって、チョコ……だよな?」

箱をじっと見る俊也。

俊也「よし! よし! よーーーーし! イエス! イエス! イエス! しゃーーー!」

ガッツボーズを決める俊也。

俊也「ついに俺にもチョコが……。(涙ぐんで)バレンタインデーって素晴らしい……。ん? 手紙も入ってる。告白かな?」

手紙を広げると俊也。

俊也「えーと、なになに? 康太君に渡してください……」

俊也が箱を地面に叩きつける。

俊也「自分で渡せ!」

俊也(N)「あー、ホント、バレンタインデーなんてくだらねえ」

終わり。

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