燃える男

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■概要
人数:4人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
元気(げんき) 高校2年生
俊也(としや) 高校2年生
遊馬(あすま) 高校2年生
濱仲 愛華(はまなか まなか) 高校2年生

■台本

教室内。
教室のドアが開き、元気が入って来る。

元気「うおおおおおおおおおお! 今年も、俺の季節がやってきたぞおおおお!」
俊樹「……元ちゃん、うるさい。ただでさえ暑いのに」

元気がバンと机を叩く。

元気「俊! そんな悠長なことを言ってる場合じゃないぞ! もう勝負は始まってるんだ!」
俊也「……勝負? 何の話?」
遊馬「ああ。体育祭か」
元気「遊馬、正解!」
俊也「あ、そっか。もうそんな時期か。いやだなぁ」
元気「おいおいおい! 何言ってるんだ! 今年こそ! 今年こそ、我が3組が優勝するんだ!」
遊馬「いや、優勝って……」
俊也「去年は熾烈な最下位争いしてたよね、うちのクラス」
元気「だからこそだ! だからこそ、今年は優勝を目指すんだよ!」
遊馬「……無理だって」
俊也「そうそう。絶対無理」
元気「うおおおおおおお! 情けない! 相手は同じ、高校生なんだぞ! 勝てないわけなんかないじゃないか」
俊也「……その考えだと、誰だって甲子園に行けるってことになるじゃん」
元気「行けるだろー!」
遊馬「……俊。元に何言っても無駄だ。諦めよう」
俊也「なに? 遊馬は元ちゃんに付き合う気なの?」
遊馬「適度に力を抜いて、ほどほどにな」
俊也「うわ、遊馬って汚い大人になりそう」
遊馬「ふっふっふ。目指すは政治家だからな」
元気「いよーーーし! じゃあ、明日から、朝の3時から朝練の開始だ!」
俊也「えっ!?」
遊馬「3時はやり過ぎだって」
元気「いや、それくらいじゃないと優勝は無理だ!」
俊也「みんなって、クラス全員ってこと?」
元気「もちろんだ! 大丈夫、俺がみんなの家に行って、集める!」
俊也「……うわあ。……どうする、遊馬? 元ちゃんの目、めちゃめちゃ燃えてるよ」
遊馬「うーん。しゃーない。鎮火しとくか」
俊也「え?」
遊馬「濱仲さん、お願いします」
愛華「……はあ」

愛華が立ち上がり、元気の前に立つ。

愛華「……」
元気「む? なんだ、愛華か」
愛華「……」
元気「文句があるなら言え!」
愛華「……」
元気「黙っていてはわからんぞ」
愛華「……」
元気「な、何か言え」
愛華「……」
元気「そ、そんな目で見るな」
愛華「……」
元気「う、うう……」
愛華「……」
元気「お、俺が……悪かった」
愛華「そう」

スタスタと歩き出す愛華。

遊馬「濱仲さん、悪いね」
愛華「……朝の3時に来られるの迷惑だから」

元気がトボトボと席に座る。

元気「はあ……」
俊也「うわあ、凄い。あんなに燃えてたのに、濱仲さんの冷たい視線で静かになった」
遊馬「な? 鎮火しただろ?」
俊也「そ、そうだね」
元気「ああ……。今年も最下位か……」
俊也「ちょっと可哀そうな気もするけどね……」

終わり。

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