【シナリオブログ】蒼天の星のように③

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19 同・部屋の中
お銀、条庵、茂吉、喜助が集まっている。
京四郎だけが、離れたところで寝転がっている。
茂吉「今井の不正を探せって言われても……」
条庵「一度会ったことがあるが、ありゃ、変人だ。あれほどの堅物は見たことがない」
喜助「頭も切れるって話だぜ。そんな奴から証拠を掴むなんて無茶だ」
お銀「それでも、やるしかないでしょ」
茂吉「……そうっすね」
お銀「京四郎、あんたもこっちに来なさいよ」
京四郎「……興味ねえな」
お銀「失敗したら、全員殺されるのよ」
京四郎「……わかってるさ」
茂吉「兄貴、武士に協力するのは嫌かもしれないっすけど、命がかかってるんすよ」
お銀「……武士がどうかしたの?」
茂吉「ええ。それが……」
京四郎「茂吉っ!」
茂吉「ひっ! すいやせん」
京四郎「(背を向けて)お前らで勝手にやれ」
条庵「ぶあはっはっは。面白い奴だ」
お銀「……何よ、あいつ」

20 同(深夜)
条庵の大きなイビキが聞こえている。
京四郎「……また、死にそこなっちまったな」
  その時、部屋の隅で物音がする。
京四郎「ん?」
茂吉「(近づいてきて)兄貴も一緒に行きませんか?」
京四郎「……逃げるのか?」
茂吉「……」
京四郎「(寝転がって)俺はいい」
茂吉「あ、兄貴……」
喜助「(声をひそめて)おい、早く行くぞ」
茂吉「へ、へい。じゃあ、兄貴、ご無事で」
  男と茂吉が部屋から出て行く。
京四郎「逃げる、か……」

21 街中(朝)
橋の下には、茂吉と喜助の死体。
二人の胸には斬られた痕がある。
橋からたくさんの人が見降ろしている。
  その中には京四郎、お銀と条庵がいる。
町人1「可愛そうに。辻斬りだろ?」
町人2「二人共、酔っ払って歩いてるところをバッサリだな」
京四郎「……茂吉」
お銀「逃げたら、こうなるってことね」
条庵「南無阿弥陀仏……」
お銀「そっか。あんた、坊主だもんね」
条庵「いや、違うぞ」
お銀「じゃあ、なんでそんな格好してるの?」
条庵「色々便利なんだ。立ってるだけで、お金が手に入ることもあるしな(大笑い)」
お銀「スリ師って、ろくな奴がいないわね」
条庵「ぶあっはっは。違いない」
京四郎「……お前もスリ師だろうが」

22 長屋外観(夜)
  物陰から二人の同心の男が長屋を監視している。

23 同・部屋の中
  条庵が腕を組んで座っている。
その近くで寝転がっている京四郎。
そこにお銀が入ってくる。
お銀「ぜんっぜんダメ!」
条庵「今井は、役人の鑑って言われとるほどだからな」
お銀「お金を隠すのがすごく上手いのかも」
条庵「それはどうだろうな。別に派手に使ってる様子もない。生活も質素だと聞くしな」
お銀「なら、溜め込んでる、とか?」
条庵「ほう? 何のために?」
お銀「……謀反を企ててる、とか?」
条庵「ぶあっはっは。謀反と来たか!」
お銀「ぶぅー。何よ」
条庵「こちらから不正を持ちかけても、乗らんだろうしな」
お銀「あーあ、直江の方なら簡単なのになぁ」
条庵「まったくだ。あれほどわかりやすい奴も珍しい」
京四郎「(起き上がって)どういうことだ?」
お銀「うわっ、何よ、急に?」
京四郎「いいから早く教えろ」
条庵「……直江が裏で何やら、危ないものを仕入れているらしい」
京四郎「……危ないもの?」
お銀「阿片じゃないかって、噂」
条庵「今井と違って、直江はわかりやすいほど、羽振りがよくなったみたいだからな」
お銀「でも、どこで売ってるんだろうね?」
条庵「ワシらにわかるくらいなら、とっくに今井に見つかってるだろう」
お銀「……そうだよね」
京四郎「なるほど、そういうことか」
お銀「え? なになに?」
京四郎「直江は、阿片を売ってることを、今井に感づかれた」
条庵「……」
京四郎「それで証拠を押さえられる前に、逆に直江の弱みを握ろうってわけさ」
条庵「……筋は通ってるな。ならば、少し希望が見えてきたというわけだ」
お銀「……は?」
京四郎「ああ。しかも、そっちは裏切られる心配もない」
条庵「うむ……」
お銀「ちょっと! 何二人だけで納得してるのよ。私にもちゃんと説明しなさいよ」
京四郎「(お銀を見て、ため息)……」
お銀「なによ! その、可哀想な子を見るような目は!」
条庵「(軽い咳払い)つまりは、だ。今井のことを調べるふりして、直江を調べるのだ」
お銀「ほえ?」
京四郎「その不正の証拠を今井に持っていく」
条庵「そうなったら、直江は捕まり、……まあ、打ち首だろうなぁ」
京四郎「それで、俺たちは自由」
お銀「(ポンと手を打って)おお」
京四郎「(お銀を見て)……」
お銀「その目は止めろぉー」
条庵「ぶあっはっはっは」
京四郎「その阿片は、どこから仕入れてる?」
条庵「さあなぁ。今日は今井のことを聞き廻ってたからな」
京四郎「じゃあ、明日からはそのことを調べよう。だが、怪しまれない程度にだ」
条庵「直江に感づかれたら終わりだからな」
お銀「……ふん(むくれて)」

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