【短編ボイスドラマ】たとえば、ニコルズ家の可憐な妹について

0

■概要
主要人数:5人
時間:30分

■ジャンル
ボイスドラマ、異世界、コメディ

■キャスト
ジェラルド・ニコルズ (23)
スチュアート・ニコルズ(21)ジェラルドの弟
シンシア・オールドリッジ(14)
チェスター・バーナード(28)
キャロン・ニコルズ  (17)ジェラルドの妹

■あらすじ
理想の妹は存在するのか?

ジェラルドとスチュアートの兄弟は、
長年、そのテーマについて考えていた。

実の妹であるシンシアは粗暴で狂暴。
ジェラルドとスチュアートは恐怖の中過ごしている。

そして、兄弟はあることを決意する。
それは理想の妹を求め、探し出すこと。

そんなとき、兄弟の前にある可憐な少女が通り過ぎたのだった。

■台本

○ シーン1
廃墟の中。
倒れているジェラルドに銃を突き付ける チェスター。

チェスター「ジェラルド・ニコルズ。随分と手こずらせてくれたな」
ジェラルド「……く、くそ」
スチュアート「兄さん!」
シンシア「お兄様!」
チェスター「まあ、素人の割にはよく頑張った方だ。……が、マフィアに手を出したのは、少々はしゃぎすぎたな」
ジェラルド「シンシアは……妹は絶対に守る」
チェスター「ああ。あの世から、しっかり見守ってやってくれ」
スチュアート「逃げて! 兄さーーーん!」

ドン! という銃声が響く。

〇 シーン2
ジェラルド(N)「いきなり絶体絶命のシーンから始まったわけだが……続きを聞いてもらう前に、まずはどうしてこうなったかを聞いてもらいたい。……事の始まりは五時間ほど前に遡ることになる」

〇 シーン3
ニコルズ家。

ジェラルド「わわわ! ちょ、ちょっと待て」
キャロン「(パンチを繰り出す)死ねーーー!」

ジェラルドがパンチをよける。
大きな破壊音。

ジェラルド「か、壁が……。キャロン! お前、兄を殺す気か!」
キャロン「言ってるじゃない。死ねって……」
ジェラルド「な、何故だ! 俺は少しでもお前の負担を減らそうと洗濯物を干してただけじゃないか。感謝されても、殺される覚えはない」
キャロン「……今、あんたがその手に持っている物は何?」
ジェラルド「パンティだ」
キャロン「……誰の?」
ジェラルド「お前のだ」
キャロン「……今日の晩ご飯はハンバーグにするわ」
ジェラルド「お、そうか。俺の大好物だ。で? 肉は何だ? 牛か? 豚か? 合挽か?」
キャロン「お前のだーーーーーー!」
ジェラルド「ぎゃあああああああ!」

破壊音が響く。
そこにスチュアートがやってくる。

スチュアート「おやおや。騒がしいね」
ジェラルド「スチュアート。助けてくれ!」
キャロン「兄貴。どいて。巻き込まない自信は無い」
スチュアート「ふっ、可愛い妹よ。落ち着いて考えてごらん。こんなことをしても、お前の人生を棒に振るだけだよ」
キャロン「仕方ないわ」

キャロンがジェラルドの首を掴んで締め上げる。

ジェラルド「う……うぐ」
キャロン「世界平和の為だもん」
スチュアート「いやいやいや。世界平和って。兄さんはそんな偉人じゃないよ」
キャロン「それに、ニコルズ家の名誉を守るためよ。このバカを今、殺しておかないと。……何かあった後じゃ遅いわ」
スチュアート「う……うーん」
ジェラルド「いや。何、納得してるんだよ!」
キャロン「(可愛く)はーい。ドンドン締めていきますよぉー。どこまで耐えられるかなぁ?」
ジェラルド「あ……ぐ。首が……締まる……というより……折れる……」
キャロン「(可愛く)遠慮せずに逝っちゃってくださいねぇー」
ジェラルド「が……ふ」
スチュアート「危ない、危ない、危ない! 白目剥いてるって! キャロン、ホントに死んじゃうから!」
キャロン「あはは。泡まで吹いて。なんか、死ぬ前のニワトリみたい(うっとり)」
スチュアート「え? ニワトリ殺ったことあるの? って、ホント、手を放して」

その時、キャロンの携帯が鳴る。

スチュアート「あ、ほら、キャロン。携帯鳴ってるよ。出ないの?」
キャロン「……今、いいところなの」
スチュアート「で、でも、ほら。急用の用事かもしれないし……」
キャロン「ちっ!」

キャロンがポケットから携帯を出し、電話に出る。

キャロン「ああっ! 誰だよ! ……あ、アルバート君?」

キャロンがジェラルドを放す。

ジェラルド「ぐっ……」
スチュアート「大丈夫! 兄さん」
キャロン「(可愛い声で)え? ううん。何でもない。ちょっと風邪ひいちゃってさ。ヤダ。変な声聞かせちゃったね。キャロン、恥ずかしいぃ」
ジェラルド「うう……」
スチュアート「兄さん、しっかり!」
キャロン「え? 行く行く! 休日もアルバート君に会えるなんてキャロン、嬉しい。あ、ちょっと待ってね。(ジェラルドに)命拾いしたな」

キャロンが話しながら歩いていく。

キャロン「え? 風邪? アルバート君の声聞いたら治っちゃったよぉ」
ジェラルド「……弟よ。最後に頼みがある」
スチュアート「そんな! 最後だなんて」
ジェラルド「俺の葬式には可愛い女の子を百人参列させてくれ……」
スチュアート「兄さん! 色んな意味で戻ってきて! 兄さん! 兄さーーーん!」

〇 シーン4
街中。
ジェラルドとスチュアートが歩いている。

ジェラルド「痛ってぇ。首、ムチウチになっちまったぜ」
スチュアート「それだけで済んだんだから、奇跡だよ」
街人1「おっ! ジェラルドじゃねえか。明日、また煙突掃除してくれねえかな?」
ジェラルド「この前やったばっかじゃねえか。何燃やしてんだよ」
街人2「あら、ジェラルドにスチュアート。散歩かい? 今、パン焼きあがったから持ていきな」
スチュアート「ありがとう。マダム」
女学生「あ、スチュアート先生。また、勉強見てくださいね!」
スチュアート「テスト問題は教えないよ」
女学生「あはは。バレたかぁ」

ジェラルドがスチュアート並んで歩く。

ジェラルド「スチュアート。気になることがある」
スチュアート「なんだい?」
ジェラルド「妹の定義とはなんだ? 学術的観点から教えてくれ」
スチュアート「それは当然、可愛いこと。そして、お兄ちゃんの言うことを何でも聞いてくれること。あと、絶対に外せないのは『お兄ちゃん』と呼んでくれることかな。毎朝、起こしに来てくれるのと、時々、夜寂しくて布団に潜り込んでくるという条件も入れる説もあるけど、そこはまだ議論中ってところかな」
ジェラルド「なるほど。じゃあ、キャロンはどうだ? あいつは妹と呼べるのか?」
スチュアート「生物学的に見れば、妹ということになる。けど、論理学、心理学的に見ると程遠いね」
ジェラルド「条件、何一つ満たしてねえからな」
スチュアート「そうだね」
ジェラルド「……俺、最近思うんだ」
スチュアート「?」
ジェラルド「俺たちには……キャロンとは別に、本当の妹がいるんじゃないかって……」
スチュアート「……兄さん」
ジェラルド「……」
スチュアート「僕も、そう思っていた!」
ジェラルド「弟よ!」
スチュアート「妹を探す旅に出よう。兄さん!」
ジェラルド「ああ!」

〇 シーン5
通りを外れ、路地裏を歩くジェラルドとスチュアート。

スチュアート「それじゃ、話を整理しよう。年齢は十四歳で良い?」
ジェラルド「一桁も捨てがたいけどな」
スチュアート「身長は?」
ジェラルド「148から154だな」
スチュアート「性格は? お嬢様系? ツンデレ系?」
ジェラルド「お嬢様系だな。これ以上、ツンはいらない」

その時、男が走ってくる。

男「お、おい! 助けてくれ。追われてる」
スチュアート「申し訳ありません。今、人生に関わる大事な議論をしているので」
男「マフィアに追われてるんだ!」
スチュアート「……何したんです?」
男「ちょっと金をくすねただけなんだ」
スチュアート「自業自得ですね。警察に行って留置所にでも入れてもらいなさい」
男「くそっ、怨んでやる!」

男が走っていく。

ジェラルド「……最近、物騒だよな」
スチュアート「新しいマフィアがやってきて、抗争してるみたいだからね」

そこにマフィアの男が走ってくる。

マフィアの男「おい! ここを男が通らなかったか?」
スチュアート「さあ。見てませんが」
マフィアの男「ちっ! まあ、いい。じゃあ、女の子を見なかったか? 年は十四くらいで、お嬢様っぽい感じの……」
ジェラルド「……なに?」
マフィアの男「写真がある。(ガサゴソと探って)ああ。これだ。この子見てないか?」
ジェラルド「スチュアート。これって……」
スチュアート「年齢十四歳。推定身長148センチ。愛らしいつぶらな瞳に、まるで人形のような白い肌」
ジェラルド「どう見ても、俺たちの妹だ」
マフィアの男「あん?」
ジェラルド「(胸ぐら掴んで)おい! ヒゲメガネ。俺たちの妹をどうするつもりだ?」
マフィアの男「し、知らねえよ。連れてこいって、ボスの命令なんだ」
スチュアート「クズのマフィアは人身売買をするって聞いたことがあるよ。買い取った娘をメイドとして、こき使うところもあるらしい」
ジェラルド「メイド! 羨ましい! いや、もとい、メイドも捨てがたい! ……じゃなく、許せん!」
マフィアの男「なんだが知らねえが、放せよ」
ジェラルド「妹に手を出す奴はどんな奴だろうと万死に値する。絞め殺される前のニワトリのように、泡を吹いて死ぬがいい」
マフィアの男「ああん? テメェら、マフィアを敵に回して無事にすむと思って……」
ジェラルド「ふん!(殴る)」
マフィアの男「ぐおっ!(気絶する)」
スチュアート「どうする? 兄さん。どうやら、僕たちの妹はマフィアに追われているらしい」
ジェラルド「妹を守るの兄の使命だ。例え、それがどんな強大な敵であろうと」
スチュアート「……兄さん」
ジェラルド「行くぞっ! スチュアート」

二人が走っていく。

〇 シーン6
廃屋。
シンシアが息を切らせて、走ってくる。
物陰に隠れるシンシア。

シンシア「(荒い呼吸)ここまで来れば……」

後ろから足音。

チェスター「見つからないとでも思ったか?」
シンシア「ひっ!」
チェスター「悪いが、俺も暇というわけではない。……大人しくついて来てくれると助かるのだが」
シンシア「……」
チェスター「聞き分けの無い場合は、多少、手荒なことをしても良いとの許可をもらっている」
シンシア「……嫌」
チェスター「やれやれ。幼女をいたぶるのは嫌いではないのでね。熱が入らないようにするのは大変なんだ」
シンシア「誰かっ! 助けてください!」
チェスター「止めろ。ゾクゾクするじゃないか」
ジェラルド「おい。お前。俺の妹になにしてんだ?」
チェスター「ヒーロー気取りなら、他でやれ」
スチュアート「あなたこそ。幼女を虐めるなんて妄想は頭の中だけでやった方がいいですよ」
ジェラルド「頭の中だけでもアウトだけどな」
チェスター「(ため息)痛い目に遭わんと分からんか。……おい!」

ワラワラと男たちが出てくる。

チェスター「この二人を頼む。殺しても構わん。ただし簡単には殺るなよ」
男1「分かりました」
ジェラルド「へへへ。聞いたか、スチュアート。俺たちを殺すってよ」
スチュアート「まあ、この街に来て間もないらしいからね。大目に見てあげようよ」
男1「チェスター様の命令だ。やるぞ」
男2「あーあ、俺もあっちのガキ相手がよかったな。まっ、命令だからしゃーねーか」
男3「おらあっ!」

男たちが襲いかかってくる。

ジェラルド「全部で五人か。スチュアート。何人いける?」
スチュアート「五人全員でも良いよ。こっちには、新兵器もあるしね」
ジェラルド「……お前は手を出すな。俺がやる」
スチュアート「まあまあ、兄さん。そう言わず僕にも活躍させてよ。妹の前なんだしね」

スチュアートが懐から銃を出し、五人めがけて撃つ。

男1「ぐあっ!」
男2「なっ!」

バタバタと倒れる男たち。

ジェラルド「……スチュアート。新兵器って、銃のことか?」
スチュアート「やだなぁ。兄さん。僕が銃なんて野蛮な物、使うわけないじゃないか。これは『鉛玉発射装置』だよ」
ジェラルド「……」
スチュアート「この鉛玉の後ろに火薬を詰めて、それに後ろからショックを与える。すると火薬が爆発するんだ。その爆発の威力で鉛玉が飛んでいくという仕組み。前はもっと大きかったんだけど、最近、やっと小型化に成功したんだ」
ジェラルド「……よくわからんが、あまりそれを人前で出さない方がいいぞ」
スチュアート「うーん。他の人にも言われるんだよね。まったく。世間が僕の芸術についてこられないのが悩みだよ」
ジェラルド「さてと。チェスターとか言ったか。どうする? 自慢の部下はこの通りだけど」
チェスター「なるほど。堅気の人間ではなかったか。それなら、こちらもそれなりの準備が必要だ。……出直すことにしよう」

チェスターが歩き去っていく。

スチュアート「いいの? 兄さん。逃すと、後々厄介じゃない?」
ジェラルド「あいつ。背中を向けてたのに、隙がなかった。うかつに手を出すと、こっちが危ねえ」
シンシア「あ、あの! ありがとうございました」
ジェラルド「いやいや。兄として、当然のことをしたまでだ」
シンシア「……え?」

〇 シーン7
店内。

スチュアート「じゃあ、シンシア自身も、どうして狙われてるのか分からないの?」
シンシア「ええ。歩いていたら、急に追いかけられて……」
ジェラルド「うーん。可愛い」
スチュアート「となると、誘拐が目的だろうね。シンシアは、どこの家の子供? 上流貴族なんでしょ?」
シンシア「え?」
スチュアート「着てる服。随分といいものみたいだけど」
シンシア「あ……それは……」
ジェラルド「いいじゃねえか! そんなことはどうでも。それより、シンシア、頼みがある」
シンシア「な、なんでしょう?」
ジェラルド「俺たちの妹になってくれねえか?」
シンシア「えっと、どういうことでしょう?」
スチュアート「別に難しいことじゃないよ。ただ単に、僕たちのことをお兄ちゃんと呼んでくれればいいんだ」
シンシア「……はあ」
スチュアート「毎朝起こしにきてくれるとか、甘えた声でお願いするとかは、これからゆっくり覚えていこう」
シンシア「良くわかりませんけど、お兄様って呼べばいいんですか?」
ジェラルド「! もう一回言ってくれ!」
シンシア「……お兄様」
ジェラルド「もう一度!」
シンシア「お兄様」

ジェラルドがバタリと倒れる。

スチュアート「兄さん、しっかり」
ジェラルド「スチュアート。もう悔いはない。シンシアを頼んだぞ……」
スチュアート「いけない! 兄さんが萌え死んでしまう」
シンシア「お兄様、大丈夫ですか?」
ジェラルド「(血を吐く)がふっ! ……ああ、綺麗な花畑が見える……」
スチュアート「兄さん、帰って来て! 兄さーーーん」

〇 シーン8
廃屋。

ジェラルド「……なあ、スチュアート。どうして、ここに戻ってくるんだ?」
スチュアート「シンシアを妹にするためには、奴らをつぶさないといけないだろ。それにはちょっと時間がかかりそうだからね。それまでの潜伏場所さ」
ジェラルド「ここだと、奴らにバレてるだろ。すぐ見つかっちまうんじゃねえか?」
スチュアート「ふふ。兄さん。そこが盲点さ。きっとあいつ等もそう思っているはずだよ」
ジェラルド「どういうことだ?」
スチュアート「一度、僕たちはここから移動したでしょ。アイツ等は僕たちが他の場所に逃げたと思ってるはずさ。だからここにいるとは思わない。今頃他の所を必死に探してるだろうさ」
ジェラルド「さすが俺の弟!」
スチュアート「まあね。兄さんにも僕の爪の垢を飲んで欲しいくらいだよ」

バンとドアが開く。

男1「チェスター様、いました」
チェスター「……まだ逃げずにいるとはね。相当な馬鹿か、よほど死にたいとみえる」
ジェラルド「……スチュアート?」
スチュアート「くそっ、裏をかかれた」
チェスター「今回は部下を百人連れてきた。今、泣いて謝れば半殺しのあとドラム缶に入れて沈めるくらいで勘弁してあげるよ」
ジェラルド「ふん。ド変態にシンシアを渡すわけにはいかねえなっ!」
シンシア「お兄様、無理です。逃げてください」
ジェラルド「(ブッと鼻血を吹く)ぶほっ」
スチュアート「シンシアは後ろで下がって見てて。ああ、戦いが終わるまでは『お兄様』と言うのは禁止しておいてほしい。兄さんが鼻血の出しすぎで死んでしまうからね」
チェスター「(ため息)やれやれ。筋金入りの馬鹿みたいだな。……やれ」
男「おおお!」

大勢がニコルズ兄弟に襲いかかる。

〇 シーン9
百人の男たちが倒れている。
かろうじて立っているジェラルドとスチュアート。

チェスター「ほう。まさか、百人、本当に倒すとはな。恐れ入った」
ジェラルド「(ゼーゼーと苦しそうな呼吸)……あとは……お前……一人……だぜ」
チェスター「そのようだな」
ジェラルド「うおお!」

ジェラルドがチェスターに向かって拳をくりだす。
そして、ドンという銃声の音。

ジェラルド「ぐあっ!(倒れる)」
チェスター「ジェラルド・ニコルズ。随分と手こずらせてくれたな」
ジェラルド「……く、くそ」
スチュアート「兄さん!」
シンシア「お兄様!」
チェスター「まあ、素人の割にはよく頑張った方だ。……が、マフィアに手を出したのは、少々はしゃぎすぎたな」
ジェラルド「シンシアは……妹は絶対に守る」
チェスター「ああ。あの世から、しっかり見守ってやってくれ」
スチュアート「逃げて! 兄さーーーん!」

ドン! という銃声が響く。

ジェラルド「くっ」
チェスター「ほう。この状態でよくよけたな」
スチュアート「(小声で)……シンシア。頼みがある」
シンシア「(小声で)なんでしょうか?」
チェスター「だが、奇跡は二度起こらない」
スチュアート「そう。奇跡は起こらない。……起こすもの」
チェスター「ん?」
スチュアート「シンシア!」
シンシア「は、はい!」
チェスター「何をする気だ?」
シンシア「(深呼吸をして)お兄ちゃん!」
ジェラルド「うおおおおおお!」
チェスター「な、なにっ! 立ち上がっただと」
ジェラルド「お前の負けだ」
チェスター「ふん。頭のネジが取れたのか?」

連続で銃を放つチェスター。
それを避け続けるジェラルド。

チェスター「馬鹿な。当たらない!」
ジェラルド「シンシアが『お兄ちゃん』と言った時点で、お前の敗北は決まっている」
チェスター「ふざけるなぁ!」
ジェラルド「ふん!」

ジェラルドがチェスターを殴り飛ばす。

チェスター「ぐわあああああ!(倒れる)」
ジェラルド「思い知ったか。偉大なる兄の力を」
チェスター「く、くそ……(気絶する)」
スチュアート「兄さん、大丈夫?」
ジェラルド「ああ。なんとかな」

その時、ドアが開く。

シンシアの父「シンシア!」
ジェラルド「なんだ? この親父。こいつらの味方か?」
シンシア「お父様!」
スチュアート「なっ!」
ジェラルド「くそっ!(シンシアを掴む)」
シンシア「きゃっ!」
ジェラルド「動くなっ! 動けばシンシアにイタズラするぞっ!」
シンシアの父「な、何をするっ!」
ジェラルド「シンシアは俺たちの妹になったんだ。絶対に返さんぞっ!」
スチュアート「え? 兄さん? 気持ちはわかるけど、それは……」
シンシアの父「何を馬鹿なことを……」
シンシア「大丈夫です。お兄様。私はお兄様の妹ですよ」
ジェラルド「……シンシア」
シンシア「私がきっちりお父様にお話します。だから、信じて待っててください」
スチュアート「シンシア……」

シンシアが父親の方に歩いていく。

シンシア「お父様、私……」
シンシアの父「この! 我がまま娘めっ!」
シンシア「きゃあっ!」
シンシアの父「お尻ペンペンの刑だ」

シンシアにお尻ペンペンする父親。

ジェラルド「テメェ! 何、羨ましいことしてんだ、こらぁ!」
シンシア「ふえーん。ごめんなさい。だって、お父様、ちっとも私にかまってくれないから……」
シンシアの父「忙しいから仕方ないだろう」
シンシア「お父様、そればっかり。私、寂しかったの。家出したら心配してくれるかなって思って……」
シンシアの父「……(手を止める)」
シンシア「それなのに……部下の人を使って、迎えにこさせるなんて……(泣きじゃくる)」
チェスター「うう……(ハッとして)ボ、ボス!」
ジェラルド「……なあ、スチュアート。話しの流れがよくわからないんだが?」
スチュアート「兄さん、僕もだよ」
シンシア「(泣きながら)しかも、お尻ペンペンまで、チェスターに許すなんて……」
シンシアの父「……シンシア」
シンシア「お父様の馬鹿―――」
シンシアの父「……悪かった。お前の為にこの街を支配して、プレゼントしようと思ったのに……逆にお前に寂しい想いをさせてたんだな……」
シンシア「……」
シンシアの父「帰ろう」
シンシア「え?」
シンシアの父「前の街に帰って、しばらく二人でゆっくりしよう」
シンシア「お父様っ! 大好き!」

シンシアと父親が歩き去っていく。

ジェラルド「……なあ、スチュアート。俺には、何が起きたかわからないんだが……」
スチュアート「兄さん、僕もだよ」

その時、壁がぶち壊れる激しい音が響く。

キャロン「馬鹿兄貴ども……」
ジェラルド「キャ、キャロン!」
キャロン「帰ってこねえと思ったら、こんなところで何してんだよ!」
スチュアート「こ、これは人助けで……」
キャロン「人助け? なんで、こんなに屍が転がってんだ?」
ジェラルド「それは……」
キャロン「で? 誰を助けたって?」
スチュアート「いや……その……」
キャロン「ふん!(殴る)」
ジェラルド「ぎゃあ!」
キャロン「ふん!」
スチュアート「がふっ!」
キャロン「また、暴れやがって! 帰るぞ!」

ズルズルと引きづられていく、ジェラルドとスチュアート。

ジェラルド(N)「……こうして俺たちの妹探しは失敗に終わったのだが、俺は絶対に諦めない。本当の妹を見つける為、俺たちの戦いは続いていくのだ……」

終わり

0