【オリジナルドラマシナリオ】神様のプレゼント②

【オリジナルドラマシナリオ】神様のプレゼント②

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〇 クラブ・入口

  隆志が浩平の背中を押している。

  いつもとは違い、二人とも、服装や髪形を決めている。

浩平「いや、ちょっと待って! 無理だって!」

隆志「いいから! 入るだけだって」

浩平「入るのが無理だって言ってるの!」

隆志「俺の最後の我がまま。今日さえ付き合ってくれたら、大人しく家、出てくから」

浩平「……お前、高校生だろ? こんなとこ、きていいのかよ?」

隆志「こういうのは堂々としてりゃ、バレないもんだよ」

浩平「……」

  口を尖らせながらもクラブへと入っていく浩平。

〇 同・店内

  にぎわっている店内。

  大勢の若者が躍っている。

浩平「うわー……」

隆志「楽しそうでしょ?」

浩平「帰っていい?」

隆志「誰か、誘ってみれば?」

浩平「それができたら、入るの渋らないよ」

隆志「じゃあ、あの壁際のテーブルにいて。ここだと邪魔になるから」

浩平「お、おい。どこ行くんだよ?」

隆志「ん? クラブに来たんだよ? 楽しむに決まってんじゃん」

浩平「一人にすんなよ」

  歩き出す隆志。

  ちらりと後ろを見ると、ふらふらと壁際に歩き出している浩平が見える。

隆志「……さてと」

  店内を見渡しながら歩き始める隆志。

  そして、坂下美沙(23)を見つける。

隆志「いた」

  美沙に近づいていく隆志。

  美沙は戸惑った様子でオロオロしている。

  美沙の前に立つ隆志。

隆志「あの……」

美沙「はい?」

隆志「……(美沙の顔をジッと見る)」

美沙「(見られて焦る)えっと、あの……」

隆志「(ハッとして)ああ、ごめん。お困りだったりするかなって思って」

美沙「え? あ、その……」

隆志「友達と逸れた、とか?」

美沙「あ、はい。……っていうか、付き合いできただけだから」

隆志「ここだと立ってるだけで疲れるでしょ? 壁際のテーブルだと休めるよ」

美沙「あ、そうなんですか?」

隆志「行こう。ここだと邪魔になるし」

美沙「あっ……」

  隆志が美沙の手を引いて、店内を移動する。

  浩平がいるテーブルへ向かう。

浩平「おい、やっぱり帰っていい……」

  美沙を見て言葉が止まる。

隆志「もう少しだけ……って」

  美沙を見て呆然とする浩平を見て、ニコリと笑みを浮かべる隆志。

隆志「(美沙に)ごめん。ちょっと連れの面倒見ててくれない?」

美沙「え? あ、あの……」

浩平「お、お、おい! どこ行くんだよ」

隆志「飲み物持ってくる。二人とも、喉、乾いたでしょ」

浩平「ぼ、僕も行くよ」

  隆志が浩平と肩を組み、小声で話す。

隆志「彼女、一人にする気?」

浩平「僕と彼女を二人にする気か?」

隆志「せっかくチャンス作ってやったんだからさ」

浩平「ちゃ、チャンスって、別に僕は……。飲み物なら僕が持ってくるから、君が彼女の相手をしてればいいだろ」

隆志「兄さん、ドリンクの注文の仕方、わかるの?」

浩平「うっ!」

隆志「じゃ、間を繋いでてねー」

  隆志が歩いていく。

浩平「あ、待てって……」

美沙「あ、あの……。私邪魔なら、移動しますけど」

浩平「いやいやいや。そんなことないって。大丈夫。今、弟が飲み物持ってくるから、待ってて」

美沙「は、はい……」

  二人が少しの間沈黙する。

  浩平はオロオロとして、何かを話そうとするが、止めるのを繰り返す。

美沙「私……」

浩平「え? あ、はい」

美沙「こういう場が苦手なんですよね……」

浩平「僕もです。弟に無理やり連れてこられて」

美沙「私も、強引に同僚に誘われて……」

浩平「落ち着かないですよね。なんていうか、自分の居場所じゃないって感じで」

美沙「あ、わかります。そういう感覚になること、ありますよね」

浩平「そうですよね! ありますよね」

美沙「はい」

  また二人が沈黙する。

  そこに隆志が飲み物を持って戻ってくる。

隆志「お待ちどう様……って、なんで沈黙してるわけ?」

浩平「別に沈黙してたわけじゃ……」

  隆志から飲み物を受け取って飲む。

美沙「ありがとうございます」

  隆志から飲み物を受け取って飲む。

  そして、また沈黙が続く。

隆志「あー、うん。わかった。移動しよう」

浩平「は?」

隆志「まだ、時間、大丈夫ですよね?」

美沙「(スマホを見て)はい。少しなら」

隆志「よし、出よう」

〇 街中

  隆志がずんずんと進んでいく。

  その後ろをついていく浩平と美沙。

  浩平が隆志の横に並ぶ。

浩平「どこまで行く気だよ?」

隆志「(足を止める)あ、ここだここだ」

浩平「ここって……」

〇 ボーリング場

  ボールにピンが弾かれ、ストライクになる。

  軽くガッツポーズする浩平。

美沙「わー、すごーい」

  パチパチと拍手する美沙。

  照れながら隆志の横に座る浩平。

浩平「よく、こんなところにボーリング場があるって知ってたな」

隆志「ここが一番の最難関だった。探すのにめちゃくちゃ苦労したよ」

浩平「……そんなにボーリングしたかったのか?」

隆志「兄さん、彼女、戸惑ってるよ」

浩平「え? あっ!」

  浩平が美沙に駆け寄って、色々と教える。

  それを眺めて、目を細める隆志。

〇 街中

  三人が並んで歩いている。

浩平「久しぶりにやると楽しいな。やっぱ」

美沙「初めてやりましたけど、面白かったです。……でも、明日は筋肉痛かな」

隆志「わかる。俺も明日はヤバいっていうか、もう、少しきてる」

美沙「今日はありがとうございました。いい気分転換になりました」

  ぺこりと頭を下げる美沙。

浩平「僕も楽しかったです」

隆志「……」

美沙「それじゃ」

隆志「……あ、ちょっと待った。あのさ、また、その……やらない? ボーリング」

美沙「はい。誘ってください」

隆志「よし、じゃあ、全員でアド交換しよう」

  隆志がスマホを取り出す。

  美沙もスマホを取り出すが、隆志はガラケー。

隆志「(ガラケーを見て)嘘……だろ?」

浩平「うるせーな!」

  クスクスと笑う美沙。

〇 浩平の家・リビング

  大きなカバンを持っている隆志。

隆志「お世話になりました」

浩平「ちょちょちょ! どこ行く気だよ!」

隆志「ん? 約束通り出ていくんだけど?」

浩平「ダメだ! 出ていくことは許さん」

隆志「は?」

浩平「来週の土曜日はどうするんだよ? 美沙ちゃんと約束しただろ?」

隆志「兄さんだけで行けばいいだろ」

浩平「は? 無理だって! 何着てけばいいんだよ? それに、二人でなんて絶対無理!」

隆志「二人じゃなかったらデートじゃないだろ」

浩平「で、デートって……。いやいや無理無理」

隆志「この前みたく、ボーリングにでも行けばいいじゃん。あのとき、結構話せてただろ」

浩平「ボーリングは教えてただけだよ。それ以外はあんまり話せなかったし」

隆志「(深いため息)俺がいなかったときは、どうしてたんだよ……」

浩平「とにかく、出ていくのは拒否する」

隆志「……わかったよ。まあ、俺としてもそのほうが助かるし」

浩平「よし! じゃあ、さっそく、今度の土曜日に向けて作戦を練るぞ。どうしたらいいんだ?」

隆志「……高校生に聞くなよ」

浩平「いいだろ。隆志のほうが経験豊かなんだから」

隆志「別に、豊かってわけじゃ……」

浩平「よーし! 気合い入れていくぞ!」

隆志「……おー」

  腕を上げる浩平と隆志。

②終わり

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