歴女

歴女

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■関連シナリオ
<山ガール>

■概要
人数:2人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
雨宮 さくら(29)
川岸 七海(29)

■台本

  電車が走る音。

  そしてブレーキがかかり、電車が止まる。

  プシューとドアが開く。

アナウンス「大阪―。大阪です」

  さくらと七海がホームに降り立つ。

七海「ふっふっふ。いざ、鎌倉へ!」

さくら「大阪だけどね」

タイトルコール「歴女」

さくら「それで、七海。急に旅行に行きたいだなんて、どうしたの?」

七海「いい質問ね、さくら。ほら、今、流行りのゴートゥーイートよ。流行にはちゃんと乗らないとね」

さくら「GOTOトラベルじゃないの?」

七海「ん? そうだっけ? まあ、どうでもいいじゃん」

さくら「……そんなんだから、いつも流行に乗り遅れるんだよ。それで? なんで、大阪?」

七海「え? えーっとね……あ、そうそう。あれだよ、張り紙見たの! 『そうだ、大阪、行こう!』ってやつ」

さくら「……それ、京都じゃない?」

七海「あれ? そうだっけ?」

さくら「七海、何隠してるの? 怒らないから言いなさい」

七海「ええ! もう、怒ってんじゃん!」

さくら「私が笑ってるうちに、言った方がいいと思うな」

七海「目が全然笑ってない……。わかった! わかりました! 言いますよ」

さくら「うん。それで?」

七海「いい国作ろう鎌倉幕府!」

さくら「……」

七海「いい国作ろう鎌倉幕府!」

さくら「あ、うん。それはわかったから、早く大阪に来た理由言って」

七海「もう、さくらは察しが悪いなぁ。私、歴女なのよ。知ってる? 歴女」

さくら「うん。歴史好きの女の子のことだよね? 七海、歴史好きだったの?」

七海「今、証明したばっかじゃん! いい国作ろう鎌倉幕府! ……えっと、せん……ひゃく……きゅうじゅう……に年、鎌倉幕府だよ!」

さくら「……日本人の八割は知ってるだろう、語呂合わせをどや顔で言われてもね」

七海「驚きなさい、さくら。もう一つ知ってるわよ!」

さくら「驚いた。あと一つしか知らないんだ」

七海「無事故の世直し大化の改新!」

さくら「そっちなんだ。てっきり、泣くよウグイスの方かと思った」

七海「え? なにそれ?」

さくら「こっちは知らないんだ……。それより、大化の改新って、どんな出来事か知ってるの?」

七海「ううん。知らない」

さくら「え? それじゃ、意味ないんじゃない?」

七海「そんなことないよ。年号覚えれるんだからさ。六百二十五年に大化の改新っていうのがあったって覚えてればテストじゃばっちりなんだからさ」

さくら「……全然、ばっちりじゃないから。六百四十五年だよ」

七海「ええっ! だって、む、じ、こ、でしょ?六、二、五じゃん」

さくら「いやいや、じは、四だよ」

七海「そんな引っ掛けある? じって言えば二じゃん。某ラーメン屋とかさ」

さくら「まあ、確かに……」

七海「あと、次男とかさ」

さくら「それは、つぎって漢字だけどね」

七海「怖いわー。語呂合わせに引っ掛け問題あるとか」

さくら「うん。間違ったまま、ここまで生きてきたことに恐怖を感じるね。それより、七海、本当に歴女なの? 全然、歴史知らないじゃない」

七海「甘いわね、さくら。こんな例え話があるんだよ。Aさんが、私、本が好きってって言いました。そしたらBさんが、月、どのくらい本を読んでるのって聞きました。するとAさんは一冊ですって答えたの」

さくら「……本が好きって嘘なんじゃない?」

七海「本が好きかどうかって、読んだ本の数で決まるの? お気に入りの本を何度も読む人は本好きじゃないの?」

さくら「うっ!」

七海「つまり、歴史の知識がないからって、歴史好きじゃないってわけないのよ」

さくら「そうだね。ごめん」

七海「わかればいいんだよ」

さくら「で? 七海は歴史好きなの?」

七海「……っ!」

さくら「そこ、詰まるところ?」

七海「だって! 歴女はモテるって聞いたんだもん! だから、歴女になりたいって思ったんだもん!」

さくら「やっぱり、そんな理由だったんだ」

七海「これから好きになればいいじゃん! これから歴史好きになるんだから、私も立派な歴女だよ!」

さくら「……全国の歴女に謝ってほしいかな。それよりさ、七海、気になってたんだけど」

七海「なに?」

さくら「なんで、大阪なの? 歴史深いっていうなら、それこそ、京都の方がオーソドックスな気がするんだけど?」

七海「なんか、たこ焼き食べたくなっちゃってさ」

さくら「そういう意識から変えていかないとダメだと思う」

七海「それじゃ、そろそろ行こうか」

さくら「目的地はどこなの?」

七海「えっとねー……。ああ、大阪城」

さくら「確かにメジャーどころだね」

七海「うん! それじゃ、行くよ! 歴女への第一歩! これで私は彼氏を作ってみせる!」

さくら「あのさ、七海。一ついいかな?」

七海「なに?」

さくら「たぶん……歴女ブームのピークって……もう、過ぎてると思う」

七海「……さてと。USJ行こっか」

さくら「……」

七海「なーに、暗い顔してんのよ! 暗い気分なんか、アトラクションで吹っ飛ばしちゃお!」

さくら「七海をお仕置きするアトラクションとかないかな」

七海「さあ、乗って乗って乗りまくるわよー!」

さくら「はあ……山に登りたかったなぁ」

終わり

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