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■概要
人数:4人
時間:10分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
ノーラン
エヴァン
カイン
研究員 ※兼ね役可
所長 ※兼ね役可

■台本

ピッピッピッという機械音。

研究員「……開始します」

場面転換。

ノーラン(N)「俺には秘密がある」

カイン「うん。調子はいいみたいだね。どうだい、ノーランさん? 最近、夜に胸が痛むことはないかい?」

ノーラン「ええ。大分、楽になりました」

カイン「じゃあ、薬が合ったということだね。このままあの薬を続けて、様子を見よう」

ノーラン「はい。わかりました」

カイン「次はまた3日後に診察だから、忘れないようにね」

ノーラン「ええ。わかりました」

立ち上がるノーラン。

ノーラン「……」

カイン「ん? どうかしたのかい?」

ノーラン「先生、私は、いつ家に帰れそうですか?」

カイン「……ノーランさん。あなたの病気はとても珍しいものだ。多少、症状が回復に向かっていたとしても、あなたをすぐに家に帰すわけにはいかない」

ノーラン「それは……何度も聞いてますが、何日かは戻ることはできないですか?」

カイン「申し訳ないが、少なくても1年は帰れないと思ってもらいたい」

ノーラン「……なんとか、手術日を早められませんか? 多少のリスクは……」

カイン「ノーランさん。この病気はわかっていないことが多いんだ。私の仕事は、人の命を救うこと。一か八かの実験をするつもりはない」

ノーラン「……わかりました」

場面転換。

騒々しい施設内。

ノーランが歩いて来て、椅子に座る。

エヴァン「遅かったな。すっかり、コーヒーも冷えちまったぞ」

ノーラン「いいさ。猫舌なんだ」

ノーランがコーヒーをすする。

エヴァン「どうだった?」

ノーラン「ダメだ。手術はしないと断られた」

エヴァン「周期的にはそろそろなんだがな」

ノーラン「お前の方は?」

エヴァン「……薬は変えないそうだ。多少合わなくても、経過を見たいと言われた」

ノーラン「まさか、感づかれたか?」

エヴァン「どうだろうな。なんにしても、気が抜けない状況なのは変わらない」

ノーラン「はあー。さすがに気が滅入るな。一日だけでも帰りたいぜ」

エヴァン「転属願いを出してみたらどうだ? 俺のことは気にしなくていいぞ」

ノーラン「いや、ここまできたら最後まで付き合うさ。相棒だろ?」

エヴァン「……すまんな」

ノーラン「5年か……」

エヴァン「もう、そんなに経ったのか。……今も生きていれば10歳だった」

ノーラン「あの子のためにも、必ず証拠をあげないとな」

エヴァン「ノーラン。これは俺の山だ。もし、俺がやられたとしても、お前までこの事件に縛られなくていいんだからな」

ノーラン「ああ。言われなくても、御免だ。こんな面倒くせえ事件はな。だから、とっとと証拠掴んで、終わらせるぞ」

エヴァン「ああ、そうだな。……っと、もうこんな時間か」

ノーラン「お前も物好きだな。当番くらい、外してもらえよ」

エヴァン「いや、これくらいやらないと、やることなくて、気が狂いそうになる」

ノーラン「じゃあ、俺の分のシチューは大盛りで頼む」

エヴァン「ああ。任せとけ」

ノーラン(N)「俺には秘密がある。……いや、俺だけじゃない。この施設にいる人間のほぼ全員に秘密がある。その秘密を知らない人間は一人だけだ」

バンと勢いよくドアが開く。

エヴァン「ノーラン、やられた!」

ノーラン「やられた? 嘘だろ? 不可能だ」

エヴァン「俺もそう思いたい。だが、実際に犠牲者が出た」

ノーラン「……誰だ?」

エヴァン「アレックスだ」

ノーラン「なっ! 患者役じゃないのか……」

エヴァン「まさか、職員が狙われると思わなかった。完全に裏をかかれた」

ノーラン「どこでやられた?」

エヴァン「自室だ」

ノーラン「カメラは……」

エヴァン「つけてなかった」

ノーラン「奴の行動は?」

エヴァン「10時に見回りのため、部屋を出ている」

ノーラン「院内のカメラに何か写ってないのか?」

エヴァン「今、総出で調べてる……が、おそらく何も映ってないだろうな」

ノーラン「任意で引っ張って、直接吐かせたらどうだ? 犯人はあいつしかいないんだから」

エヴァン「……ダメだ」

ノーラン「どうして?」

エヴァン「密室なんだ」

ノーラン「密室? どういうことだ?」

エヴァン「アレックスの部屋は内側から鍵がかかってた。もちろん、あいつは合鍵を持ってない」

ノーラン「……たまたまアレックスが病死っていうのは?」

エヴァン「あり得ない。腕には注射の跡があったし、毒物も検出されてる」

ノーラン「シラを切られたら終わりか」

エヴァン「さすがに状況証拠だけじゃ弱いな。不起訴なんてことになったら、最悪だ」

ノーラン「アレックスの資料と昨晩の奴の行動表をもらえないか?」

エヴァン「わかった。後で部屋に届けよう」

場面転換。

書類をペラペラとめくる音。

ノーラン「アレックスの死亡推定時間と、奴がカメラ上から消えた時間を考えると、この15分に犯行を行ったはずだ。問題はどうやってアレックスの部屋に入ったかだな……」

ノックの音。

ノーラン「開いてるぞ」

エヴァン「根詰め過ぎだ。少し休憩しろ。ほら」

ノーラン「ああ、すまん」

コーヒーをすする。

ノーラン「熱っ!」

エヴァン「ああ、すまん。猫舌だったな。アイスコーヒーにすればよかったか」

ノーラン「いや、これでいいさ」

エヴァン「それにしても、お前の方が必至だな。これは俺の復讐なのに」

ノーラン「アホか。俺は捜査官として仕事をしてるだけだ」

エヴァン「そうだったな。すまん」

ノーラン「最初の犠牲者が……あの子だったんだよな」

エヴァン「ああ。あの子は生まれつき、体が弱かった。あの日も少し咳が酷かっただけだったんだ。ちょうどかかりつけの病院が休みで、あいつのところへ行った……」

ノーラン「……」

エヴァン「あの子が眠るときはいつも俺が本を読んでやった。いや、俺が本を読まなかったら寝ようとしなかった……。あの日だって、俺が本を読んでやっているときに……」

ノーラン「すまん、もういい」

エヴァン「……奴を追って、5年。その間、7人やられた。捜査する俺をあざ笑うように」

ノーラン「だから、今回こそ、絶対に証拠をあげるぞ」

エヴァン「そうだな。それには密室の謎を解かないとな」

ノーラン「……そうなんだよな。それが全然わからない」

エヴァン「まあ、俺たちは頭を使うタイプじゃないからな」

ノーラン「なあ、奴はなんで注射器を使うんだろうな」

エヴァン「どういうことだ?」

ノーラン「奴の手口は必ず注射器で毒物を注入してる」

エヴァン「……そうだな」

ノーラン「曲がりなりにもあいつは医者だ。もっとこう、証拠が残らないようなやり方を思いつきそうな気がするんだけどな」

エヴァン「……確かに。まるで、わざと証拠を残しているってことか?」

ノーラン「それがポリシーなのか、他に理由があるのか……」

エヴァン「よし! すぐに注射器を調べてみる」

ノーラン「ああ、頼む。俺はもう少し状況を調べてみる」

エヴァンが、歩きドアを掴む。

エヴァン「……ノーラン。もしかしたら、内通者がいるかもしれない」

ノーラン「内通者?」

エヴァン「考えてもみろ。これだけ、マークされた状態で、証拠が出ないんだぞ」

ノーラン「つまり、情報を流している奴がいる」

エヴァン「ああ。注射器を使って、おびき出してみよう」

ノーラン「よし! 囮役は任せろ!」

エヴァン「俺は外から信用できる奴を集めてみる。お前は念のため、部屋にいてくれ」

ノーラン「わかった」

エヴァンが部屋を出ていく。

そして、ノーランが鍵をかける。

ノーラン「……内通者、か。内通……。なんの目的で? それに、今までも内通者がいたとして、ずっと俺たちに気づかれないようにできるものなのか? それに注射器と密室……。なぜ、密室にする必要がある? この施設には俺たち捜査官以外は、奴しかいない。密室を作ったところで、犯人はあいつに決まっている。わざわざ密室にする必要はないはずだ。それこそ、内通者がいれば……ん? 内通者……。あっ! まさか!」

ペラペラと資料をめくる。

ノーラン「わかったぞ! ……がはっ!」

ノーランが血を吐く。

ノーラン「え? 目の前が……暗く……」

ドサリと倒れるノーラン。

ピーっという機械音が響く。

研究員「脳波データが途切れました。死亡のフラグが成立。成功です」

所長「完璧に事件の再現ができたな。次は、少しだけ状況を変えてみよう。それで犯人を捕まえられるかをやってみよう」

研究員「AIシステム再起動。シミュレート」

ピッピッピッという機械音。

研究員「開始します」

場面転換。

ノーラン(N)「俺には秘密がある」

カイン「うん。調子はいいみたいだね。どうだい、ノーランさん? 最近、夜に胸が痛むことはないかい?」

終わり

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