【声劇台本】死活問題

【声劇台本】死活問題
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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、コメディ

■キャスト
アメリア
パセル

■台本

カランカランと来客を知らせる鈴が鳴る。

アメリア「いらっしゃい」

パセル「(欠伸しながら)やあ、マスター。目覚めの赤ワインをもらえるかい?」

アメリア「あら、パセル。起きたばっかりなの? 相変わらずお寝坊さんね」

パセルが椅子に座る。

パセル「よいしょっと」

アメリア「くすっ。親父くさいわよ」

パセル「うるさいなぁ。最近、鉄分が足りないせいでふらつくんだよ」

アメリアがパセルの前に、コップを置く。

アメリア「お待ちどうさま」

パセル「……あれ? これ、トマトジュースだよ? 赤ワイン頼んだんだけど」

アメリア「鉄分不足なんでしょ?」

パセル「いや、俺、鉄分は……って、まあ、贅沢言ってる場合じゃないか。ありがたく、もらうよ」

トマトジュースを一口飲むパセル。

パセル「うわ! すごい美味しい! 全然、トマトジュースっぽくない!」

アメリア「ふふっ! 本物っぽいでしょ?」

パセル「ああ、すごいな。飲み比べてもわからないんじゃないかな? 再現率がヤバいよ」

アメリア「ありがと。その分、普通のお客さんには出せないけどね」

パセル「あー、だろうね」

アメリア「それより、パセル。あと30分でお店閉めるから、他に注文があるなら、早めにお願いね」

パセル「ええ!? もう閉めるの? いや、どっちかと言えば、これからの時間が本番でしょ?」

アメリア「……パセル、ニュース見てないの? 例の感染症でお店は20時までなのよ」

パセル「え? ホント? ……あー、だから夜に町に人がいないのか……」

アメリア「……パセル。もう少し、テレビとかネットとか見た方がいいわよ。昔と違って、私たちも情報が命の時代になってるんだから」

パセル「うーん。面倒くさい時代になったよなぁ……」

アメリア「あら、そうでもないわよ。使いこなせれば、とっても便利なんだから。パセルも使ってみるべきよ」

パセル「……考えておくよ。けど、マスターはどうしてるの、飯の方は?」

アメリア「一応、加工して、作り置きにして保存してるわ。味は落ちちゃうんだけどね」

パセル「えー! 準備いいね。俺、なんも準備してねーや」

アメリア「だから、ニュースは見た方がいいって言ってるのよ。ニュース見てれば、一か月くらい前からこうなるって予想は出来たわよ」

パセル「……ニュースか。見ないとな。……で、マスター、相談なんだけど……」

アメリア「分けてあげないわよ」

パセル「えー! そんなこと言わないで! ね? お願い! 今度、何か奢るから」

アメリア「はあー。奢ってもらうより、ツケを払ってほしいわ」

コトンと瓶を置くアメリア。

アメリア「一つだけよ。大事に飲みなさい」

パセル「さすが、マスター! 大好き!」

アメリア「はいはい。お世辞はいいから、毎月、ツケの利子分くらいは払ってね」

パセル「けどさー、国もエグイことしてくれるよな。20時以降、お店を閉めろだなんて」

アメリア「どちらかというと、20時以降は外に出ないようにって感じだけどね」

パセル「うっ! もっとヤバいじゃん」

アメリア「だから、前もって準備が必要なのよ」

パセル「でも、20時はエグイな。仕方ない、明日からは早起きするか」

アメリア「遅くても18時には起きないとね」

パセル「きっついなー。夏だったら、まだ明るい時間だよ」

アメリア「その分、早く寝ればいいじゃない。3時とか」

パセル「早寝、早起きか……。健康になっちまいそうだな」

アメリア「くすっ。いいじゃない。この機会に少しは生活習慣、見直してみたら?」

パセル「考えておくよ。……けど、他のみんなどうしてるんだろ? マスターみたいにみんな、準備してるわけじゃないでしょ」

アメリア「そうね……。仕事帰りの人とか、それでも夜に出歩いてる悪い子を狙ってるんじゃないかしら」

パセル「ははは。出歩ている悪い奴はまさしく罰が当たるって奴ね」

アメリア「仮に狙われても、本人は覚えてないけどね」

パセル「俺たちにしてみれば、その方がいいよ。反省して家に閉じこもられたら困るし」

アメリア「ふふ。そうね」

パセル「しょうがない。俺もその辺狙うか」

アメリア「それがいいわね。あ、でも、ちゃんとルールは守りなさいよ。あと、仲間と喧嘩もしないように」

パセル「ははは。マスターは俺のお母さんみたいだな」

アメリア「失礼ね。私はパセルみたいな出来の悪い息子を持った覚えはないわよ」

パセル「へいへい。出来が悪くて悪うござんした」

アメリア「さてと、そろそろ閉店の準備しようかしら。パセル、他に何か注文ある?」

パセル「ん? いや、いいや。今から何か作ってもらうのも悪いし」

アメリア「そう。それじゃ、片付け始めちゃうわね」

アメリアが色々と片付け始める。

パセル「さてと、俺もそろそろ帰るかな」

パセルがコップを置いて、立ち上がる。

パセル「明日はもっと早い時間に来るよ」

アメリア「ええ。待ってるわ」

パセル「……それにしてもさ」

アメリア「なに?」

パセル「ヴァンパイアには住みづらくなったよな」

アメリア「そうね」

パセル「それじゃ、早いけど、お休み」

アメリア「お休みなさい」

ドアが開くと同時に、カランカランと鈴が鳴り、パセルが出ていく。

終わり。

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