【声劇台本】良心のせめぎ合い

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
宗太(そうた)
相沢 樹(あいざわ いつき)
母親
崇(たかし)
生徒

■台本

母親「宗太! 宗太―! 早く出ないと遅刻するわよ」

宗太「はーい」

ドタドタと階段を下りてくる。

母親「はい、カバン」

宗太「ありがと」

母親「そうだ、カバンに入れといたから、先生にちゃんと渡してね」

宗太「ねえ、お母さん。僕の誕生日のプレゼントなんだけど……」

母親「なあに? 急に?」

宗太「ガオレンジャーのゲームがいい」

母親「……また漫画読んでたわね。別にいいけど、あんたの誕生日、まだ半年も先じゃない」

宗太「だから前借りして買ってほしいんだ」

母親「ダーメ。プレゼントの前借りなんて聞いたことないわよ」

宗太「ねえ、お願い! どうしても欲しいの!」

母親「ダメったら、ダメ! そんなに欲しいならお小遣い貯めて、自分で買いなさい」

宗太「えー、無理だよ!」

母親「って、こんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 完全に遅刻じゃない! ほら、さっさと行く!」

宗太「もう! お母さんのケチ!」

場面転換。

学校のチャイム。

宗太が廊下を走る。

宗太「完全に遅刻だー」

ガラッと教室のドアが開き、生徒たちが出てくる。

宗太「うわっ!」

宗太が崇とぶつかる。

宗太が転び、ランドセルの中身をぶちまける。

崇「あ、宗太、ごめん!」

宗太「いや、こっちこそ、ごめん……。って、あれ? みんなどこ行くの?」

崇「一時間目、体育だぞ。宗太も着替えて早く来いよ」

崇が足早に行ってしまう。

宗太「……それなら、カバンの中身拾うの手伝ってよね。まったく」

中身を拾い集める宗太。

場面転換。

教室のドアが開き、宗太が出てくる。

宗太「もう! お母さん、なんで靴下ピンクの入れるかな! 恥ずかしいじゃん!」

走り出す宗太だが、ピタリと立ち止まる。

宗太「あれ? なんだろ、これ。……封筒?」

ガサガサと中身を開ける。

宗太「あ、お金だ。え? なんで? ……」

封筒をポケットに入れる宗太。

場面転換。

教室内。

生徒「あれ? 宗太、今日元気ないな。どうしたんだ?」

宗太「え? そう? そんなことないよ」

ドアが開き、樹が入ってくる。

樹「ほら、みんな座れー。ホームルームするぞー」

生徒たちが椅子に座り教室内が静まり返る。

樹「それじゃ、ホームルームを始める……前に、ちょっとみんなに聞きたいことがあるんだ」

生徒「なんですか?」

樹「崇が給食費を落としたみたいなんだけど、誰か知らないか?」

ドキッと心臓音。

宗太(N)「もしかして……あの封筒のお金って崇くんの給食費……?」

樹「言っておくが、先生はこのクラスに盗んだ人間がいるとは思ってない」

宗太のドキドキという鼓動音。

樹「もし、どこかで崇の給食費が入った封筒を拾ったら、先生のところへ持ってきてほしい」

宗太(N)「どうしよう……。先生に渡す? ……でも、あのお金があれば、ゲームが買えるんだ……」

樹「みんな、これだけは覚えていてほしい。もし、お金を拾ったとする。今まであんまり手にしたことのない金額だ。それがあれば好きな物が買えるかもしれない」

宗太の心臓の鼓動が高鳴っていく。

樹「買ったときは、満足感が得られるかもしれない。だが、その後、それ以上の罪悪感が襲ってくるだろう」

宗太(N)「……うう、どうしよう。手を上げるべきかな。……でも、どうしてもゲームがほしいんだ」

樹「その罪悪感は消えることはない。ずっと胸の奥に刺さり続ける。先生はお前たちに、そんな思いはして欲しくないんだ」

宗太(N)「うう……。どうしよう、どうしよう! どうしよう!」

樹「先生はお前たちの良心を信じてるからな」

宗太(N)「ゲーム、ゲーム、ゲーム!」

場面転換。

チャイムの音。

生徒たちが下校していく。

廊下を歩く、宗太。

宗太「……これがあれば、ゲームが買える。でも……こんな気持ちでゲームやっても……楽しく……ないよね」

宗太が走り出す。

場面転換。

職員室のドアを開く、宗太。

宗太「相沢先生」

樹「おお、宗太か。どうした?」

宗太「先生……これ……」

宗太が樹に封筒を渡す。

樹「ああ、給食費の封筒か」

宗太「……その、ご、ごめんな……」

樹「よし、これで、全員分、揃ったな」

宗太「え?」

樹「宗太の分で最後だったんだよ」

宗太「いや、それ……崇くんの……」

樹「ああ、崇の奴、給食費の封筒、家に忘れてたんだってさ。さっき、崇のお母さんが届けてくれたんだよ。ホント、あいつは人騒がせな奴だよ」

宗太「……で、でも、その封筒……」

樹「ん? 封筒がどうかしたか? お前の名前書いてるけど……」

宗太「……え?」

場面転換。

帰路を歩く宗太。

宗太(N)「結局、僕はあれだけ欲しかったゲームを手に入れることはできなかった。それに、あのドキドキは僕の勘違いで意味がなかったことだった。だけど……なんだろ。今は、少しだけ気分がすっきりしている。拾ったお金はちゃんと届ける。こんな当たり前のことが、とっても大切だとわかることができたんだ。これからも、僕は正直に生きて行こう!」

ピタリと立ち止まる宗太。

宗太「あ、100円玉だ」

宗太(N)「今、僕には50円のお小遣いが残っている。この100円があればお菓子が買える。ああ、もう、何考えてるんだ! 今、拾ったお金は届けるって決めたばっかりじゃないか。……でも、お菓子も食べたいし。……うう、どうしよう?」

終わり。

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