【声劇台本】師弟愛

【声劇台本】師弟愛

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■概要
人数:4人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、ファンタジー、シリアス

■キャスト
アイラ
ミザ
カイル
その他

■台本

アイラ「はあああ!」

少年「ぐあっ!」

アイラに吹き飛ばされる少年。

アイラ「ほら、早く立て!」

少年「うう……」

アイラ「ちっ! しゃーない。今日はここまでにしておいてやる」

アイラが立ち去る。

場面転換。

アイラが乱暴に扉を開けて部屋に入ってくる。

ミザ「あら、アイラ。もう特訓終わり」

アイラ「全く……。情けない奴だ」

ミザ「もう少し弟子を大事にしたら? また、逃げられちゃうわよ」

アイラ「構わん。こんな特訓で逃げるような腰抜けをこれ以上育てる気はない」

ミザ「……史上最強のエージェント、アイラ・バネット……。あんたの特訓に耐えられる人間なんてこの世にはいないのかもね」

アイラ「……」

場面転換。

カイル「カイルです! よろしくお願いします!」

アイラが剣を地面に突き刺す。

アイラ「素振り10万回。とりあえずやっておけ」

カイル「……は、はい!」

カイルが剣を抜き、素振りを始める。

場面転換。

ドアが開き、アイラが入ってくる。

ミザ「……いきなりいつもの十倍のメニューなんて、どうしたの?」

アイラ「あいつはダメだ。あんな小さな体じゃ、すぐに壊れる。それなら、早めに引導を渡してやった方がいいだろ」

ミザ「……本部のお墨付きだったんだけど」

アイラ「ふん。明日の朝にはいなくなっているさ」

場面転換。

スズメの鳴き声。

歩いているアイラが、ピタリと足を止める。

カイル「9万……305……」

よたよたと剣を振り下ろすカイル。

カイル「9万……306……」

アイラ「……夜通しやってたのか?」

カイル「あ、先生……。申し訳ありません。まだ終わってなくて……」

アイラ「……それはいい。続けろ」

カイル「は、はい!」

カイルが再び剣を振り始める。

場面転換。

アイラ「はあああ!」

カイル「ぐあっ!」

アイラに吹き飛ばされて倒れるカイル。

アイラ「ちっ! 今日はここまでだ」

カイル「ま、まだやれます。お願いします」

アイラ「ふっ! いいだろう。行くぞ!」

場面転換。

ドアが開きアイラが入ってくる。

アイラ「ふう……」

ミザ「今日も随分と遅かったわね」

アイラ「あいつ、なかなかやる。ふふふ。これは鍛え上げるのが楽しみだ」

ミザ「……カイルくん。ご愁傷様」

場面転換。

アイラとカイルが組手をしている。

カイル「はああ!」

アイラ「ふん! 甘い!」

カイル「がっ! まだまだ!」

アイラ「ほらほら! ガードが下がってるぞ!」

カイル「うがっ!」

場面転換。

ドアが開きアイラが入ってくる。

アイラ「ふう。いい汗掻いた」

ミザ「ねえ、アイラ。カイルくん、ここに来てもう7年よ」

アイラ「そうだな」

ミザ「そろそろ、卒業でいいんじゃない? もう上級エージェントに引けをとらない実力はついてるわ」

アイラ「いや、まだ早い。もう少し……」

ミザ「もう本部も待てないって。それでなくても、今、人手が足りないんだから」

アイラ「せめて、後一年欲しい」

ミザ「いくら弟子が可愛いからって、これ以上は無理よ」

アイラ「……ちっ!」

場面転換。

カイル「先生! 今までありがとうございました!」

アイラ「……死ぬなよ」

カイル「はい!」

場面転換。

アイラ「はあ……つまんねえな」

ミザ「何度もため息つかないでよ。こっちも滅入ってくるんだけど。……新しい弟子、連れてこようか?」

アイラ「カイルほどの奴はいねえよ」

ミザ「……そのカイルくん、随分と活躍してるみたいよ。S級の任務もバンバンこなしてるって」

アイラ「まあ、そりゃそうだろうな」

ミザ「あれ? あんまり嬉しそうじゃないわね」

アイラ「……」

場面転換。

バンと勢いよくドアが開いてミザが入ってくる。

ミザ「アイラ、大変よ! カイルくん、絶体絶命だって!」

アイラ「あいつが? んなわけねーだろ」

ミザ「いや、ホントだって。こっちの情報が洩れてたみたいで、一個師団で囲まれてるらしいの」

アイラ「……行くぞ! 案内しろ!」

ミザ「わかった」

場面転換。

銃声がそこら中から聞こえてくる。

敵兵「諦めろ、カイル。逃げ場はない」

カイル「くそ……。先生、すみません。約束、守れませんでした……」

アイラ「阿呆。この程度で諦めるな」

カイル「え? 先生? どうして?」

敵兵「なっ! アイラ・バネットだと!」

アイラ「ほら、立て。突っ切るぞ」

カイル「は、はい!」

場面転換。

アイラ「はあ……つまんねえな」

ミザ「カイルくんが帰ったら、またそれ?」

アイラ「まだ行かせるんじゃなかったな」

ミザ「何言ってるの。再度の修行だって、本部に頼み込んでようやくやらせてもらったんだから」

アイラ「ちぇ……」

ミザ「それにしても、さすが、アイラ・バネットね。今やこの世界でもトップクラスのカイルくんを子供扱いなんだから。あんたはやっぱり化物よ」

アイラ「ふん……」

ミザ「カイルくんが勝てないのって、あんたくらいじゃないの? カイルくん、敵なしって言われてたのにさ」

アイラ「敵……か。その手があった!」

ミザ「え? なになに?」

場面転換。

カイル「先生! どうしてですか?」

アイラ「これからはお前の敵だ。気合い入れて抵抗しないと、死ぬぞ」

カイル「……先生」

アイラが歩き去る。

ミザがやってくる。

ミザ「ホントによかったの?」

アイラ「くくく。これから楽しくなってくるぜ」

ミザ「でも、なんで急に敵側に回るんてしたの?」

アイラ「ん? そりゃ……師弟愛ってやつか? 敵に回れば、たっぷりカイルを特訓……いや、痛めつけられる」

ミザ「それって……師弟愛じゃなくて、単にあんたがドSなだけじゃない。……カイルくん、ご愁傷様」

終わり。

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