【声劇台本】ひこうき雲

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■概要
人数:3~4人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ

■キャスト
桜井 花音(さくらい かのん)
堺田 大晴(さかた たいせい)
男子生徒
教師

■台本

目覚ましの音が鳴り響く。

バンと目覚ましのスイッチを押して消す。

花音「ふぁ……。朝か……」

ガバッと起き上がる。

場面転換。

料理する音。

花音「卵焼きをのせて……お弁当、完成! うん、我ながらいい出来ね」

場面転換。

夕方の河川敷を歩く花音。

後ろから男子生徒が走ってくる。

男子生徒「あの……桜井さん!」

花音「(立ち止まって)はい?」

男子生徒「あ、あの……その……。俺、桜井さんのことが好きです! 付き合ってください!」

花音「……ありがとう。嬉しいよ」

男子生徒「じゃ、じゃあ……」

花音「でも、ごめんなさい。今は……学業に専念したいから」

男子生徒「そ、そうですか……」

トボトボと歩き去っていく男子生徒。

花音「(つぶやくように)大丈夫。私よりももっといい人なんて、たくさんいるから」

上空で飛行機が上空を通り過ぎる音。

花音「あ、飛行機……。あれから一年か。早いような遅いような……。あいつ、どうしてるかな……?」

場面転換。

大晴「花音! 起きろ、花音!」

花音「んー、あと5分……」

大晴「ダメだ! もうギリギリだぞ!」

ガバッと布団をはぎ取る大晴。

大晴「……なっ!」

花音「……ぎゃー!」

大晴「うおっ!」

バキっと花音が大晴を殴る。

場面転換。

大晴「痛ってー。殴ることないだろ」

花音「うっさい! バカ! スケベ!」

大晴「いや、まさか下着で寝てるとか思わないだろ」

花音「うう……。無駄に大晴にサービスしちゃったわ。どうせなら、横山くんに見て欲しかったのに……」

大晴「……バカなこと言ってないで、ほら、今日の弁当」

花音「ん。ちゃんと二つ作ってくれた?」

大晴「ああ」

花音「ちゃんと女の子っぽい感じにしてくれたんでしょうね?」

大晴「注文通りだ。てか、そもそもなんで二つ必要なんだよ?」

花音「ふっふっふ。横山くんに手作りをご馳走するって約束したのよ」

大晴「……それなら、自分で作れよ」

花音「うっさいわね。あんたが作っても、手作りは手作りでしょ!」

大晴「……そりゃ、へ理屈だ」

花音「私は今日、勝負をかけるわ! 横山くんに告白する!」

大晴「……精々、頑張れよ」

花音「ふふふ。私は明日からは横山くんの彼女よ」

場面転換。

学校の屋上。

花音「う、うう……」

大晴がやってきて、横に座る。

大晴「……」

花音「な、なによ……。結果、聞かないの?」

大晴「聞かないでもわかる」

花音「うう……。ごめんだって……。横山くん、好きな人……いるって……」

大晴「そっか……」

花音「うわーーん!」

大晴「……」

場面転換。

花音「はあ……はあ……うう……」

大晴「ほら、おかゆ作ったぞ」

花音「……うう、食欲ない」

大晴「ちょっとでもいいから食べろ。体力維持しないと熱が下がらないぞ」

花音「……わかったわよ。てか、あんた、学校は?」

大晴「休んだ。昔から、お前、感情が高ぶったときの熱は長引くからな」

花音「……いつも思うけどさ。なんで、ここまでしてくれるの? 好きなの?」

大晴「アホ。隣人として放っておけないだけだ」

花音「あっそ。……じゃあ、遠慮なく、介護してもらうわ」

大晴「ああ。そうしろ」

場面転換。

ご飯を掻き込む花音。

花音「おかわり!」

大晴「……今回は復活が早いな」

花音「まあね」

大晴「ほら。けど、あんま食い過ぎるなよ。昨日はあまり食ってなかったんだから」

花音「わかってるわよ」

大晴「じゃあ、弁当はテーブルの上に置いてあるからな。忘れるなよ」

花音「待って。今日から一緒に行く」

大晴「……は? だって、お前、いつも勘違いされるからって……」

花音「横山くんにはフラれたんだから、もういいのよ。なんなら、あんたと付き合ってあげてもいいわ」

大晴「……断る。ついで感がムカつく」

花音「ふーん。後悔するわよ?」

大晴「しねーよ」

場面転換。

廊下を歩く花音。

そこに教師が駆け寄る。

教師「桜井、ちょっといいか?」

花音「なんですか?」

教師「お前、堺田と仲いいよな?」

花音「堺田……ああ、大晴ね。ええ、まあ」

教師「お前からも説得してくれないか? せっかくのチャンスなのに勿体ないだろ」

花音「……なんの話ですか?」

場面転換。

花音が勢いよく走ってくる。

花音「大晴!」

大晴「ああ、花音……」

花音「歯、食いしばれ!」

バンと顔を思い切り殴る花音。

大晴「って! おま、何すん……」

花音「バカ!」

大晴「……花音?」

花音「留学ってなによ!? 聞いてないんだけど!」

大晴「断ったんだから話す必要ないだろ」

花音「なんで断ったのよ! 先生から聞いた。あんた、ずっと留学したいって言ってたって」

大晴「……気が変わったんだよ」

花音「……私のせい?」

大晴「……んなわけねーだろ」

花音「じゃあ、行ってよ!」

大晴「……」

花音「私なら大丈夫だから」

大晴「大丈夫なわけねーだろ! ……危なっかしくて、目、離せねーよ」

花音「ねえ、どうして私にそこまでしてくれるの?」

大晴「だ、だから、隣人だから……」

花音「それなら、いらない。隣人ってだけなら、そこまでして欲しくない」

大晴「……好きだからだよ! 好きだから……放っておけない……」

花音「この前、私を振ったのは、留学のことで私に負い目を感じさせないためね?」

大晴「……」

花音「……付き合ってあげるわ! 私、大晴の彼女になってあげる!」

大晴「いや、だ、だから……」

花音「でも、条件が二つあるわ!」

大晴「条件……?」

花音「一つ目は、留学の話を受けて」

大晴「……二つ目は?」

花音「童貞のまま帰ってきなさい」

大晴「なっ……。お、おま……」

花音「どう? 飲める?」

大晴「……お、俺からも条件がある」

花音「なに?」

大晴「ちゃんと条件守ったら……その……責任、持てよ」

花音「なっ……」

大晴「……」

花音「……ぷっ」

大晴「ふふ……」

大晴・花音「あはははははは!」

花音「最低の告白!」

大晴「お前もな!」

花音「……行ってらっしゃい」

大晴「ああ」

場面転換。

上空を飛行機が通り過ぎていく音。

花音「……」

花音(N)「あいつが帰って来るまで、あと一年。それまでにとびっきりのいい女になって見せるんだから!」

終わり。

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