【声劇台本】イメチェン
- 2021.02.09
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ
■キャスト
結奈(ゆいな)
菜緒(なお)
海翔(かいと)
その他
■台本
カランカランと鈴が付いたドアが開き、結奈が出てくる。
結奈(N)「ふっふっふ! ついにやってやったわ! 3ヶ月分のお小遣いを突っ込んで、私は生まれ変わったのよー!」
場面転換。
学校の教室。
結奈が入ってくる。
結奈「お、おはよー」
菜緒「え? あ、お、おはよう……。結奈、髪、切ったんだね」
結奈「う、うん……。どうかな……?」
菜緒「凄い似合うよ! ね? みんな?」
女生徒1「うん、うん! 似合う似合う!」
結奈「そう? 思い切った甲斐があったかな」
菜緒「そうだよ! 絶対、その方がいいよ」
結奈「ありがとう」
椅子に座る結奈。
結奈(N)「やった、やったわ! イメチェン成功! 周りのみんなも、チラチラ私を見てるし! こ、これでクラスの地味女ナンバーワン返上よ! こうなったら、クラスカーストの上級に食い込んでやるわ!」
場面転換。
昼休み。
結奈「あ、あの、一緒にお昼ご飯、いいかな?」
菜緒「え? うん。もちろん! ね? みんな?」
女生徒1「うん。いいよ」
女生徒2「さ、座って座って」
結奈「ありがとう」
結奈が座ってお弁当を開ける。
菜緒「あれ? 結奈、今日はお弁当なんだ? いつもパンとかのイメージだけど」
結奈「うん。早起きして、お弁当を作ってみたの」
女生徒2「じゃあ、自作なんだ?」
結奈「はは……冷凍食品とか多いんだけどね」
菜緒「いやいや、自分で作るっていうのが偉いよ。私は無理だなー」
女生徒2「うん、凄い凄い」
結奈「えへへ……。ありがとう」
菜緒「結奈、なんか前向きになったね」
結奈「そうかな……?」
菜緒「そうだよ。いつまでも落ち込んでても仕方ないしね」
結奈「落ち込む?」
女生徒2「ちょっと、菜緒ちゃん!」
菜緒「あ、ごめん! ……ちょっと空気読めてなかったね」
結奈「え? えっと……」
女生徒2「そういえば、結奈さんは休日、何してるの?」
結奈「休日? あー、うん。結構、家で本読んだり、ゲームしたりしてることが多いかな」
菜緒「ダメだよ、家の中にこもってたら。休日も外に出た方がいいって」
女生徒2「そうそう。よかったら、今度の休みは、一緒に買い物でも行かない?」
結奈「いいの?」
菜緒「もちろんだよ。ね? みんな?」
女生徒2「うん、パーっと遊んじゃおう!」
結奈「ありがとう」
結奈(N)「なになに? このイメチェン効果! 凄くない? やっぱり、私って磨けば光る原石だったんだわ! あー、もう! 今まで地味にしてたのが損だったな。ま、でも、過去のことを気にしてて始まらないしね。こっからは今までの分を取り返すわよ!」
場面転換。
教師と廊下を歩く結奈。
教師「悪いな、緒方。プリント運ぶのを手伝ってもらって」
結奈「いえいえ。暇だったので、なんともないですよ」
教師「……そういえば、お前、髪切ったんだな」
結奈「え? あ、はい。ちょっと、思い切ったことしたくて……」
教師「そっか。うん、いいと思うぞ。今の方が魅力的だと思うぞ。……って、教師が生徒にこんなことを言うと、セクハラになるのかもしれんが」
結奈「いえ、そんなことないですよ。嬉しいです」
教師「恋は人を強くすると言うが、その逆もまたしかり、なんだな」
結奈「え? どういうことです?」
教師「あっ! いや、すまん。今のは失言だった。忘れてくれ」
結奈「は、はあ……」
教師「そうだ、緒方は何も部活に入ってなかったよな? 今回をきっかけに、どこかに入ってみたらどうだ?」
結奈「そうですね……。ただ、私、運動が苦手なんで……」
教師「最初は誰だって、苦手だよ。練習すればできるようになるさ。でもま、文科系の部活というのもありだと思うぞ」
結奈「そうですね、考えておきます」
教師「体を動かしたり、仲間と一緒に頑張ったりすることで、気分も切り替えられるぞ」
結奈「はあ……」
教師「ま、強制はしないさ。考えてみてくれ」
結奈「わかりました」
結奈(N)「えへへへ。憧れの先生とも、たくさんお話ししちゃった! 恐るべし、イメチェン効果! こりゃ、クラスで天下取るのも夢じゃないね!」
場面転換。
放課後の教室。
一人で日誌を書いてる結奈。
そこに海翔が入ってくる。
海翔「お? 緒方じゃん。何してんだ?」
結奈「ああ、うん。日誌書いてるの。今日、日直だったから」
海翔「ふーん」
海翔が結奈の前に座る。
結奈「へ? あ、あの……」
海翔「そういや、緒方と面と向かって話すのって初めてかもな」
結奈「あ、うん。そうだね」
海翔「なんだろうな。前より、話しやすい感じがする。やっぱ、髪形が変わったせいか。大分、印象変わったもんな」
結奈「そうかな?」
海翔「ああ。正直、前は話しづらかったからな。暗くて、何考えてるかわかんなかった感じで」
結奈「えー、酷い」
海翔「ははは。いいじゃねーか。今は違うんだからさ」
結奈「う、うん……」
結奈(N)「え? え? え? なにこれ? クラスで一番人気の海翔くんと、二人で楽しくおしゃべりって、私、完全に勝ち組じゃない? ヤバ! 私、今、人生の絶頂なんじゃない!?」
海翔「前はさ、クラスでも孤立してた感じだったけど、今は友達と弁当も一緒に食べてるし、休み時間も普通にクラスのやつらとも話してるもんな」
結奈「……やっぱり、前は孤立してたように見えてた?」
海翔「正直、いるかいないか、わからないくらいだった」
結奈「うう……。そんな」
海翔「はは。でも、変わったんだからいいんじゃね? 今の明るい方がいいと思うぜ」
結奈「あ、ありがとう」
海翔「やっぱ、難しいよな。恋ってやつは」
結奈「え?」
海翔「あのさ、緒方……」
結奈(N)「え? え? マジ? もしかして、これって告白されるパターンじゃないの? うっそ! ヤバイヤバイヤバイ! めっちゃ心臓、ドキドキするー」
海翔「元気出せよ」
結奈「へ?」
海翔「男なんかいっぱいいるんだからさ。フッた奴のことなんか、早く忘れちまえ」
結奈「え? え? え? フッた?」
海翔「ん? お前、男にフラれて、髪切ったんじゃねえの? みんな、そう噂してたけど」
結奈「ちがーーーう!」
結奈(N)「……なんだ。みんなのあの態度、単なる同情だったのかよ。イメチェンではしゃいでた自分が恥ずかしい……」
終わり。
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