【声劇台本】イメチェン

【声劇台本】イメチェン

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ラブコメ

■キャスト
結奈(ゆいな)
菜緒(なお)
海翔(かいと)
その他

■台本

カランカランと鈴が付いたドアが開き、結奈が出てくる。

結奈(N)「ふっふっふ! ついにやってやったわ! 3ヶ月分のお小遣いを突っ込んで、私は生まれ変わったのよー!」

場面転換。

学校の教室。

結奈が入ってくる。

結奈「お、おはよー」

菜緒「え? あ、お、おはよう……。結奈、髪、切ったんだね」

結奈「う、うん……。どうかな……?」

菜緒「凄い似合うよ! ね? みんな?」

女生徒1「うん、うん! 似合う似合う!」

結奈「そう? 思い切った甲斐があったかな」

菜緒「そうだよ! 絶対、その方がいいよ」

結奈「ありがとう」

椅子に座る結奈。

結奈(N)「やった、やったわ! イメチェン成功! 周りのみんなも、チラチラ私を見てるし! こ、これでクラスの地味女ナンバーワン返上よ! こうなったら、クラスカーストの上級に食い込んでやるわ!」

場面転換。

昼休み。

結奈「あ、あの、一緒にお昼ご飯、いいかな?」

菜緒「え? うん。もちろん! ね? みんな?」

女生徒1「うん。いいよ」

女生徒2「さ、座って座って」

結奈「ありがとう」

結奈が座ってお弁当を開ける。

菜緒「あれ? 結奈、今日はお弁当なんだ? いつもパンとかのイメージだけど」

結奈「うん。早起きして、お弁当を作ってみたの」

女生徒2「じゃあ、自作なんだ?」

結奈「はは……冷凍食品とか多いんだけどね」

菜緒「いやいや、自分で作るっていうのが偉いよ。私は無理だなー」

女生徒2「うん、凄い凄い」

結奈「えへへ……。ありがとう」

菜緒「結奈、なんか前向きになったね」

結奈「そうかな……?」

菜緒「そうだよ。いつまでも落ち込んでても仕方ないしね」

結奈「落ち込む?」

女生徒2「ちょっと、菜緒ちゃん!」

菜緒「あ、ごめん! ……ちょっと空気読めてなかったね」

結奈「え? えっと……」

女生徒2「そういえば、結奈さんは休日、何してるの?」

結奈「休日? あー、うん。結構、家で本読んだり、ゲームしたりしてることが多いかな」

菜緒「ダメだよ、家の中にこもってたら。休日も外に出た方がいいって」

女生徒2「そうそう。よかったら、今度の休みは、一緒に買い物でも行かない?」

結奈「いいの?」

菜緒「もちろんだよ。ね? みんな?」

女生徒2「うん、パーっと遊んじゃおう!」

結奈「ありがとう」

結奈(N)「なになに? このイメチェン効果! 凄くない? やっぱり、私って磨けば光る原石だったんだわ! あー、もう! 今まで地味にしてたのが損だったな。ま、でも、過去のことを気にしてて始まらないしね。こっからは今までの分を取り返すわよ!」

場面転換。

教師と廊下を歩く結奈。

教師「悪いな、緒方。プリント運ぶのを手伝ってもらって」

結奈「いえいえ。暇だったので、なんともないですよ」

教師「……そういえば、お前、髪切ったんだな」

結奈「え? あ、はい。ちょっと、思い切ったことしたくて……」

教師「そっか。うん、いいと思うぞ。今の方が魅力的だと思うぞ。……って、教師が生徒にこんなことを言うと、セクハラになるのかもしれんが」

結奈「いえ、そんなことないですよ。嬉しいです」

教師「恋は人を強くすると言うが、その逆もまたしかり、なんだな」

結奈「え? どういうことです?」

教師「あっ! いや、すまん。今のは失言だった。忘れてくれ」

結奈「は、はあ……」

教師「そうだ、緒方は何も部活に入ってなかったよな? 今回をきっかけに、どこかに入ってみたらどうだ?」

結奈「そうですね……。ただ、私、運動が苦手なんで……」

教師「最初は誰だって、苦手だよ。練習すればできるようになるさ。でもま、文科系の部活というのもありだと思うぞ」

結奈「そうですね、考えておきます」

教師「体を動かしたり、仲間と一緒に頑張ったりすることで、気分も切り替えられるぞ」

結奈「はあ……」

教師「ま、強制はしないさ。考えてみてくれ」

結奈「わかりました」

結奈(N)「えへへへ。憧れの先生とも、たくさんお話ししちゃった! 恐るべし、イメチェン効果! こりゃ、クラスで天下取るのも夢じゃないね!」

場面転換。

放課後の教室。

一人で日誌を書いてる結奈。

そこに海翔が入ってくる。

海翔「お? 緒方じゃん。何してんだ?」

結奈「ああ、うん。日誌書いてるの。今日、日直だったから」

海翔「ふーん」

海翔が結奈の前に座る。

結奈「へ? あ、あの……」

海翔「そういや、緒方と面と向かって話すのって初めてかもな」

結奈「あ、うん。そうだね」

海翔「なんだろうな。前より、話しやすい感じがする。やっぱ、髪形が変わったせいか。大分、印象変わったもんな」

結奈「そうかな?」

海翔「ああ。正直、前は話しづらかったからな。暗くて、何考えてるかわかんなかった感じで」

結奈「えー、酷い」

海翔「ははは。いいじゃねーか。今は違うんだからさ」

結奈「う、うん……」

結奈(N)「え? え? え? なにこれ? クラスで一番人気の海翔くんと、二人で楽しくおしゃべりって、私、完全に勝ち組じゃない? ヤバ! 私、今、人生の絶頂なんじゃない!?」

海翔「前はさ、クラスでも孤立してた感じだったけど、今は友達と弁当も一緒に食べてるし、休み時間も普通にクラスのやつらとも話してるもんな」

結奈「……やっぱり、前は孤立してたように見えてた?」

海翔「正直、いるかいないか、わからないくらいだった」

結奈「うう……。そんな」

海翔「はは。でも、変わったんだからいいんじゃね? 今の明るい方がいいと思うぜ」

結奈「あ、ありがとう」

海翔「やっぱ、難しいよな。恋ってやつは」

結奈「え?」

海翔「あのさ、緒方……」

結奈(N)「え? え? マジ? もしかして、これって告白されるパターンじゃないの? うっそ! ヤバイヤバイヤバイ! めっちゃ心臓、ドキドキするー」

海翔「元気出せよ」

結奈「へ?」

海翔「男なんかいっぱいいるんだからさ。フッた奴のことなんか、早く忘れちまえ」

結奈「え? え? え? フッた?」

海翔「ん? お前、男にフラれて、髪切ったんじゃねえの? みんな、そう噂してたけど」

結奈「ちがーーーう!」

結奈(N)「……なんだ。みんなのあの態度、単なる同情だったのかよ。イメチェンではしゃいでた自分が恥ずかしい……」

終わり。

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