【声劇台本】唇に出来ること

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■概要
人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
キャロル
クリスト

■台本

ガチャリとドアが開いて、キャロルが部屋に入ってくる。

キャロル「あー、疲れたー」

どさりとベッドに寝転がるキャロル。

クリスト「キャロルお嬢様。ベッドに寝転がるなら、まずはお着換えください。制服がシワになってしまいますよ」

キャロル「きゃっ! クリスト、いたの?」

クリスト「驚かせてしまいましたか。申し訳ありません」

キャロル「もう! 私も年頃の女の子なんだから。部屋に入るなら、ノックの一つでもしなさい!」

クリスト「失礼いたしました」

キャロル「……ねえ、クリスト。あなた、恋ってしたことある?」

クリスト「恋……ですか?」

キャロル「うん。あんた、結構、格好いいから、女の子にモテるんじゃない? 付き合ったりとかしたことある?」

クリスト「そうですね……。私は小さい頃からここで給仕をさせていただいていますから。恋などする時間はありません。それに、女性に会うとのはお嬢様と、この屋敷のメイドたちだけですから」

キャロル「クリストって、今年で何歳だっけ?」

クリスト「18ですが」

キャロル「ダメよ、クリスト。18歳にもなって、恋の一つもできないなんて」

クリスト「ですが、お嬢様。私は党首様、ひいてはキャロルお嬢様に人生を捧げると決めています。恋は自分のためにするものです。私の人生には必要のないことなのです」

キャロル「うーん。私は、クリストにも幸せになってほしいんだけどなぁ」

クリスト「それなら、キャロルお嬢様が幸せになってください。それが私にとっての最高の幸せなんですよ」

キャロル「もう! クリストは相変わらずね。……でも、クリストに頼れないとなるとどうしようかしら」

クリスト「恋の相談……ですか?」

キャロル「そう。学院じゃ、こんなこと相談できる人がいないし、どうしよう?」

クリスト「そうですね。……確かに私自身は、恋はしたことありませんが、知識くらいなら本などで得ていますよ」

キャロル「ホント? ねえねえ、好きな人にアプローチするにはどうしたらいいかな?」

クリスト「まずは身なりを整えることは必須ですね」

キャロル「身なり? えと、服とか?」

クリスト「ええ。ただ、お嬢様はの衣服は既に一流のものですので、これ以上を求める必要はないでしょう」

キャロル「うーん。変えても意味ないってこと?」

クリスト「ええ。髪形に関しましても、一流のスタイリストにカットしてもらっているので、変える必要はないでしょう」

キャロル「むー。私は、恋のために何かしたいの!」

クリスト「あとは化粧、などもあるようですが、お嬢様は使う必要はないでしょう。その美しい肌を覆い隠すのは返ってマイナスになるでしょう」

キャロル「できないことはいいの! 何かできることを言ってちょうだい!」

クリスト「お嬢様。一つだけ、気を付けた方がいいところがあります」

キャロル「え? なになに?」

クリスト「唇が乾燥しています。リップなどを塗ることをお勧めします」

キャロル「なーんだ。そんなことか。唇なんて地味なところなんて、誰も見ないわよ」

クリスト「いいですか、お嬢様。唇はとても大切な部分なのです」

キャロル「えー。そんなことないよ」

クリスト「いいでしょう。私が唇の大切であることを説明します」

キャロル「いいわ。説明してみて」

クリスト「はい。まず、話すことができます」

キャロル「ん? んー。どういうこと?」

クリスト「恋には、愛を囁く必要があります」

キャロル「愛を囁く……ね。でも、どんなことを言えばいいの?」

クリスト「では、実際にやってみましょう。役になりきるため、敬語を取ることをお許しください」

キャロル「ええ。いいわよ」

クリスト「……キャロル。君の瞳はとても綺麗だ。君の瞳に僕が写っているというのは奇跡と言っても過言じゃないね」

キャロル「う、うん……」

クリスト「これからも、ずっと僕だけを見ていてくれるかい?」

キャロル「わ、わかったわ……」

クリスト「ふふ。君は本当に素直で可愛いね。だけど、心配だよ。その素直で純粋な心を利用する人間がいることにね。……でも心配はないよ。僕がずっと君を守ってあげるから」

キャロル「うん……」

クリスト「という感じです。どうでしょうか? 少しは言葉の重要さが伝わればいいのですが」

キャロル「え? あ、うん。そうね。うんうん。わかったわ。……言葉って結構、ドキドキするのね」

クリスト「はい。ですので、恋において、言葉は重要な武器になるというわけです」

キャロル「な、なるほどね……」

クリスト「愛を囁く唇が潤っていれば、その威力は増すはずです」

キャロル「うん! わかった。早速、リップを注文しておいて」

クリスト「承知しました」

キャロル「ふふふ。これで完璧ね! 恋は実ったも同然よ」

クリスト「お嬢様。まだ、唇には重要な役目があります」

キャロル「え? まだあるの?」

クリスト「はい。どちらかというと、こちらの方が本番と言えます」

キャロル「ホント? なになに?」

クリスト「それはキスができることです」

キャロル「キス?」

クリスト「はい。唇で相手に触れる行為です」

キャロル「……うーん。どんな感じ?」

クリスト「お嬢様、失礼します」

キャロル「え?」

クリストがキャロルの手の甲にキスをする。

キャロル「あ……」

クリスト「どうですか?」

キャロル「う、うん。ドキドキした」

クリスト「今は手の甲にキスをしましたが、さらに効果を上げる場所があります。それは……」

クリストがキャロルの額にキスをする。

キャロル「ふああああ!」

クリスト「額へのキスはさらに上です」

キャロル「そ、そうね。心臓のドキドキが治まらないわ」

クリスト「最上級な場所としては、相手の唇というのがあるのですが、これは試しでできる場所ではありません。お嬢様が本当に好きな相手とするといいでしょう」

キャロル「わ、わかったわ……」

クリスト「ふふ。これでお嬢様の恋も叶ったも同然ですね」

キャロル「う、うん! ありがと、クリスト!」

場面転換。

勢いよく、ドアが開き、キャロルが部屋に入って来る。

キャロル「う、うう……」

クリスト「お嬢様! どうされたんですか?」

キャロル「クリストのバカ―! 失敗しちゃったじゃない!」

クリスト「……どういうことですか?」

キャロル「言われた通り、愛を囁いて、キスをしようとしたの。そしたら、ドン引きされて逃げられちゃったのよ!」

クリスト「おかしいですね……。そんなはずは……。あっ!」

キャロル「え? どうしたの?」

クリスト「……お嬢様。唇が出来ることにもう一つ重要なことがありました」

キャロル「もう一つ? なに?」

クリスト「沈黙です。あえて話すことはせず、相手をじらすのです。男は追われるより、追う方が燃えるらしいですから」

キャロル「もう! 早く言ってよーーー!」

終わり。

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