【声劇台本】lover spy

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■概要
人数:5人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
リサ
マーク
デュアン
その他

■台本

ロニー「すまない、リサ。別れてほしい」

リサ「どうしてよ!?」

ロニー「好きな人が出来た」

リサ「……ふ、ふざけんなー!」

場面転換。

オフィス内。

リサ「というわけで、リサ・ブラウン。また今日からお世話になります」

ローマン「そうか。うんうん。君のような優秀なエージェントが失われるのは組織にとって、大きな損失だからな。戻ってきて何よりだ。良かった良かった」

リサ「……全然、良くないです」

ローマン「では、復帰早々悪いんだが、この任務に当たってもらいたい」

書類を手渡す。

リサがペラペラとページをめくる。

リサ「ターゲットは皇太子……ですか」

ローマン「国王……つまり、ターゲットの父親がどうもきな臭くてな。最悪、戦争を引き起こす可能性がある。だから、息子からできるだけ情報を吸い出してほしい」

リサ「……部長。男にフラれたばっかりで、男に近づかせる任務ってどうなんですか?」

ローマン「ターゲットはいい男じゃないか。恋の傷は恋で癒すって、な」

リサ「言っときますけど、今回はドライに行きますからね」

ローマン「ああ、情報さえ持ってきてもらえれば、やり方は任せる」

ウィーンと自動ドアが開く。

デュアン「……いてて」

リサ「あ、先輩。本部に戻ってたんですね。って、その怪我、どうしたんですか?」

デュアン「前の任務で、ちょっとな。リサも復帰したんだって?」

リサ「先輩の手が空いてるなら、この任務、先輩がやればいいじゃないですか」

デュアン「この怪我を見て、言うセリフじゃないだろ。それに、ターゲットのような堅物は恋愛関係で落とすのが一番手っ取り早くて、確実なんだよ」

リサ「先輩が女に化ければいいじゃないですか。変装が得意なんだから」

デュアン「できるか、アホ。ほら、さっさと行け」

リサ「はいはい」

場面転換。

マークが歩いている。

そこにリサが近づいて、ぶつかる。

リサ「あっ!」

リサが転び、カバンの中身をぶちまける。

マーク「すみません。大丈夫でしたか?」

リサ「え、ええ。こちらこそごめんなさい。よそ見していて」

マークがカバンの中身を拾い集める。

リサ「あ、ごめんなさい。大丈夫です。自分で拾うので」

マーク「いえ。私のせいで、ぶつかってしまったのですから、拾うくらいさせてください」

リサ「ありがとうございます……」

マーク「あの……失礼ですが、秘書をされているんですか?」

リサ「え? どうしてわかったんですか?」

マーク「やっぱり。この手帳、スケジュールがきっちり書かれている。明らかに、社長クラスのスケジュールの量だからね」

リサ「凄いですね。ちょっとの情報でそこまでわかるなんて」

マーク「私も、このスケジュールと同じような量だからね」

リサ「そうなんですか。ただ、私は、元、秘書です」

マーク「え?」

リサ「つい、先日、社長が亡くなってしまい、フリーになってしまったんです」

マーク「そう……ですか」

リサ「ありがとうございました。それじゃ、失礼します」

マーク「あ、ああ……」

リサが立ち去っていく。

場面転換。

室内。

勢いよくドアが開き、マークが入ってくる。

マーク「手帳、見つかったのか……って、君は昨日の……」

リサ「ごめんなさい。私の荷物に混じってしまったみたいで……」

マーク「いや、届けてくれて感謝するよ。大事なものだったんだ」

リサ「王族の人だったんですね」

マーク「驚かせてすまない。あまり、自分から言える立場じゃなくてね」

リサ「でも、どうして、あんな場所に護衛も付けずに……」

マーク「はは。いつも護衛に囲まれてると息が詰まってしまってね。息抜きのつもりだったんだ」

リサ「そうだったんですか。ふふ。こんな偶然がなければ、話すこともなかったかもしれませんね」

マーク「はは。運命、かもね」

リサ「運命なんて……大げさですよ。それじゃ、手帳もお返ししましたし、私はこれで失礼しますね」

マーク「ま、待ってくれ!」

リサ「え?」

マーク「君は、今、フリーだって言っていたよね? ……私の秘書をやってみないか?」

リサ「……私が、秘書……ですか?」

マーク「ああ。私の秘書も丁度、3日前に事故で入院してしまってね。秘書がいなくて困っていたんだ」

リサ「そうだったんですか。……私でよければお受けします」

場面転換。

パーティー会場。

マーク「すまないね。パーティーにまで付き合って貰ってしまって」

リサ「いえ。光栄です。こんな素敵なパーティーに参加できるなんて、あなたの秘書にならないと無理でした」

マーク「な、なあ、リサ。私と……一曲、踊ってくれないか?」

リサ「ええ。喜んで」

場面転換。

室内。

マーク「リサ。……愛してる」

リサ「私も……」

マーク「結婚してくれないか?」

リサ「……ええ。嬉しいわ」

場面転換。

電話が鳴る。

ローマン「ああ、リサか。よくやったな。今、お前からのファイルを受け取ったところだが……肝心なところが抜けているぞ? ……なに? おいおい! お前、今回はドライに行くって言ってただろ。……はあ、分かった。ターゲットの亡命の手配はしておく。……わかってる。お前たちが安全な場所についてから、残りのデータを送ってくれるんだろ? ああ、わかったよ。じゃあな」

電話を切るローマン。

デュアン「リサからですか?」

ローマン「ああ。ミッションには成功したが、またターゲットに惚れこんだみたいだ。相手を亡命させて、結婚して、一緒に暮らしたいんだと。ついでに退職するそうだ」

デュアン「……これさえなければ、最高のエージェントなんですけどね」

ローマン「ま、本気になるからこそ、相手も気を許すんだろ」

デュアン「はあ……。せっかく怪我が治ったばかりなんですけどね」

場面転換。

リサ「話ってなにかしら? もしかして、結婚式のこと?」

マーク「リサ……。別れて欲しい」

リサ「は? 何言ってるの?」

マーク「正直、お前には飽きたんだ。だから結婚はできない」

リサ「ふ、ふ、ふ、ふざけんなー!」

マーク「ごはっ!」

リサがマークをボコボコにする。

リサ「ふん! ホント、男って最低!」

ズカズカと強い歩調で歩き去っていく。

マーク「ぐっ……。うう……」

バリっと顔を剥がす、マーク。

デュアン「あいつ、相変わらず手加減ないな……。まあ、するわけないか」

デュアンが電話をかける。

デュアン「ああ、部長。はい、デュアンです。……はい、……はい。ええ。もう少ししたら、リサから復帰の電話が来ると思います。それじゃ、失礼します」

電話を切るデュアン。

デュアン「ふう。別れさせるミッション、コンプリート。……うっ! こりゃ、完全に肋骨、イッてるな……」

終わり。

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