【声劇台本】lover spy
- 2021.03.29
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
リサ
マーク
デュアン
その他
■台本
ロニー「すまない、リサ。別れてほしい」
リサ「どうしてよ!?」
ロニー「好きな人が出来た」
リサ「……ふ、ふざけんなー!」
場面転換。
オフィス内。
リサ「というわけで、リサ・ブラウン。また今日からお世話になります」
ローマン「そうか。うんうん。君のような優秀なエージェントが失われるのは組織にとって、大きな損失だからな。戻ってきて何よりだ。良かった良かった」
リサ「……全然、良くないです」
ローマン「では、復帰早々悪いんだが、この任務に当たってもらいたい」
書類を手渡す。
リサがペラペラとページをめくる。
リサ「ターゲットは皇太子……ですか」
ローマン「国王……つまり、ターゲットの父親がどうもきな臭くてな。最悪、戦争を引き起こす可能性がある。だから、息子からできるだけ情報を吸い出してほしい」
リサ「……部長。男にフラれたばっかりで、男に近づかせる任務ってどうなんですか?」
ローマン「ターゲットはいい男じゃないか。恋の傷は恋で癒すって、な」
リサ「言っときますけど、今回はドライに行きますからね」
ローマン「ああ、情報さえ持ってきてもらえれば、やり方は任せる」
ウィーンと自動ドアが開く。
デュアン「……いてて」
リサ「あ、先輩。本部に戻ってたんですね。って、その怪我、どうしたんですか?」
デュアン「前の任務で、ちょっとな。リサも復帰したんだって?」
リサ「先輩の手が空いてるなら、この任務、先輩がやればいいじゃないですか」
デュアン「この怪我を見て、言うセリフじゃないだろ。それに、ターゲットのような堅物は恋愛関係で落とすのが一番手っ取り早くて、確実なんだよ」
リサ「先輩が女に化ければいいじゃないですか。変装が得意なんだから」
デュアン「できるか、アホ。ほら、さっさと行け」
リサ「はいはい」
場面転換。
マークが歩いている。
そこにリサが近づいて、ぶつかる。
リサ「あっ!」
リサが転び、カバンの中身をぶちまける。
マーク「すみません。大丈夫でしたか?」
リサ「え、ええ。こちらこそごめんなさい。よそ見していて」
マークがカバンの中身を拾い集める。
リサ「あ、ごめんなさい。大丈夫です。自分で拾うので」
マーク「いえ。私のせいで、ぶつかってしまったのですから、拾うくらいさせてください」
リサ「ありがとうございます……」
マーク「あの……失礼ですが、秘書をされているんですか?」
リサ「え? どうしてわかったんですか?」
マーク「やっぱり。この手帳、スケジュールがきっちり書かれている。明らかに、社長クラスのスケジュールの量だからね」
リサ「凄いですね。ちょっとの情報でそこまでわかるなんて」
マーク「私も、このスケジュールと同じような量だからね」
リサ「そうなんですか。ただ、私は、元、秘書です」
マーク「え?」
リサ「つい、先日、社長が亡くなってしまい、フリーになってしまったんです」
マーク「そう……ですか」
リサ「ありがとうございました。それじゃ、失礼します」
マーク「あ、ああ……」
リサが立ち去っていく。
場面転換。
室内。
勢いよくドアが開き、マークが入ってくる。
マーク「手帳、見つかったのか……って、君は昨日の……」
リサ「ごめんなさい。私の荷物に混じってしまったみたいで……」
マーク「いや、届けてくれて感謝するよ。大事なものだったんだ」
リサ「王族の人だったんですね」
マーク「驚かせてすまない。あまり、自分から言える立場じゃなくてね」
リサ「でも、どうして、あんな場所に護衛も付けずに……」
マーク「はは。いつも護衛に囲まれてると息が詰まってしまってね。息抜きのつもりだったんだ」
リサ「そうだったんですか。ふふ。こんな偶然がなければ、話すこともなかったかもしれませんね」
マーク「はは。運命、かもね」
リサ「運命なんて……大げさですよ。それじゃ、手帳もお返ししましたし、私はこれで失礼しますね」
マーク「ま、待ってくれ!」
リサ「え?」
マーク「君は、今、フリーだって言っていたよね? ……私の秘書をやってみないか?」
リサ「……私が、秘書……ですか?」
マーク「ああ。私の秘書も丁度、3日前に事故で入院してしまってね。秘書がいなくて困っていたんだ」
リサ「そうだったんですか。……私でよければお受けします」
場面転換。
パーティー会場。
マーク「すまないね。パーティーにまで付き合って貰ってしまって」
リサ「いえ。光栄です。こんな素敵なパーティーに参加できるなんて、あなたの秘書にならないと無理でした」
マーク「な、なあ、リサ。私と……一曲、踊ってくれないか?」
リサ「ええ。喜んで」
場面転換。
室内。
マーク「リサ。……愛してる」
リサ「私も……」
マーク「結婚してくれないか?」
リサ「……ええ。嬉しいわ」
場面転換。
電話が鳴る。
ローマン「ああ、リサか。よくやったな。今、お前からのファイルを受け取ったところだが……肝心なところが抜けているぞ? ……なに? おいおい! お前、今回はドライに行くって言ってただろ。……はあ、分かった。ターゲットの亡命の手配はしておく。……わかってる。お前たちが安全な場所についてから、残りのデータを送ってくれるんだろ? ああ、わかったよ。じゃあな」
電話を切るローマン。
デュアン「リサからですか?」
ローマン「ああ。ミッションには成功したが、またターゲットに惚れこんだみたいだ。相手を亡命させて、結婚して、一緒に暮らしたいんだと。ついでに退職するそうだ」
デュアン「……これさえなければ、最高のエージェントなんですけどね」
ローマン「ま、本気になるからこそ、相手も気を許すんだろ」
デュアン「はあ……。せっかく怪我が治ったばかりなんですけどね」
場面転換。
リサ「話ってなにかしら? もしかして、結婚式のこと?」
マーク「リサ……。別れて欲しい」
リサ「は? 何言ってるの?」
マーク「正直、お前には飽きたんだ。だから結婚はできない」
リサ「ふ、ふ、ふ、ふざけんなー!」
マーク「ごはっ!」
リサがマークをボコボコにする。
リサ「ふん! ホント、男って最低!」
ズカズカと強い歩調で歩き去っていく。
マーク「ぐっ……。うう……」
バリっと顔を剥がす、マーク。
デュアン「あいつ、相変わらず手加減ないな……。まあ、するわけないか」
デュアンが電話をかける。
デュアン「ああ、部長。はい、デュアンです。……はい、……はい。ええ。もう少ししたら、リサから復帰の電話が来ると思います。それじゃ、失礼します」
電話を切るデュアン。
デュアン「ふう。別れさせるミッション、コンプリート。……うっ! こりゃ、完全に肋骨、イッてるな……」
終わり。
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