【声劇台本】隠居暮らし
- 2021.05.30
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、シリアス
■キャスト
剛史(つよし)
政義(まさよし)
琴音(ことね)
その他
■台本
剛史「はああああ! ガオレイン、キーック!」
怪人「ぐぎゃあああああ! お、おのれー……」
怪人が消滅する。
剛史「はあ、はあ、はあ……」
政義「やったな、レッド!」
剛史「ああ……」
琴音「これで、もう、世界は怪人に怯えなくても済むのね」
剛史「……ついに平和を勝ち取ったんだ」
琴音「長い戦いだったわね」
政義「でも、終わったんだ」
場面転換。
政義「それで、レッド。お前はこれからどうするんだ?」
剛史「おいおい。政義もう、俺たちはガオレインじゃないんだぞ。レッドは止めてくれ」
政義「そうだったな。剛史」
琴音「みんな、バラバラになるのって、少し寂しいね」
剛史「おいおい。琴音、お前が一番、早く解放されたいって言ってたじゃないか」
琴音「そうだけどさ……」
政義「俺は、今まで我慢してきた分、やりたいことやるぜ」
琴音「私は残りの学生生活、しっかりと楽しむわ」
剛史「ああ、それがいい。二人とも、今まで犠牲にした分は取り返せないかもしれないが、これからは自由だ。やりたいことをちゃんとやってくれよ」
琴音「で? 剛史はどうするのよ?」
政義「そうそう。何かしたいことあるのか?」
剛史「そうだなぁ……。とりあえずは、隠居暮らし。ゆっくりした生活を送るさ」
琴音「何それー、ジジくさーい!」
政義「あははは。でも、ま、剛史らしいや」
剛史「それじゃ、二人とも、もう会うことないと思うけど、元気でな」
琴音「うん、元気で」
政義「元気で!」
場面転換。
街中を歩く剛史。
剛史「ふあー。うう、眠い。どこか店に入って、コーヒーでも飲むか……」
男「いいじゃねーか、な? ちょっとだけ! 1、2時間付き合ってくれるだけでいいんだって」
女「や、やめてください!」
剛史「はあ……。まったく、この町は……」
剛史が歩み寄る。
剛史「嫌がってるじゃないか。止めてやれ」
男「なんだ? おっさんは関係ないだろ」
剛史「いや、俺もさ、律儀にこんなことしなくていいとは思うんだよ」
男「なに、ぶつぶつ言ってんだ! 消えろ!」
剛史「少し、眠って頭を冷やすといいよ」
男「ああ?」
トン、と剛史が男の首筋に打撃を打ち込む。
男「うっ……」
ドサッと倒れる。
女「あ、あの……ありがとうございました」
剛史「ああ、いや、別に……」
そのとき、車のクラクションが鳴り響く音。
剛史「ったく、次から次へと……」
剛史が走り出す。
剛史「おばあちゃん、道の真ん中で何やってんの」
おばあさん「え? ああ、ちょっと道を渡ろうと思って……」
剛史「そんなんじゃ轢かれちゃうよ。ほら、荷物は持ってあげるから、急いで渡ろう」
おばあさん「済まないねえ」
場面転換。
部屋で寝ている剛史。
剛史「(寝息)」
インターフォンが何度も鳴る。
剛史「ん? んー。はいはい。何ですか?」
剛史が起き上がりドアを開く。
青年「剛史さん、大変です!」
剛史「……後じゃダメ? さっき、町の見回りから帰ってきたばっかりなんだよ」
青年「すいません。ですが、銀行強盗が現れて……」
剛史「おいおいおい。物騒だな。まだ、怪人がいた頃の方が、治安良かったんじゃないのか?」
青年「ある意味、怪人がいることで、人間は一致団結できてましたからね」
剛史「共通の敵がいなくなったから、今度は人間同士で争う、ってか? で? 場所は? どこの銀行だ?」
青年「あ、案内します! こっちです!」
場面転換。
銀行強盗が銃を乱射する。
悲鳴が響き渡る。
銀行強盗「早くしろ! このかばんにありったけの金を入れろ! おい! 何、グズグズしてやがる! ハチの巣にされてえのか!」
剛史「はいはい、そこまで。今、投降すれば、痛い目にあわないで済むぞ」
銀行強盗「んだ、てめえは!? 消されてえのか!?」
剛史「あのさあ、俺、今、すげー眠いだよね。さっさと終わらせて帰りたいんだよ! わかるか?」
銀行強盗「知らねえよ! 消えな!」
銀行強盗が銃を乱射する。
剛史「ったく、危ないな」
銀行強盗「なっ! いつの間に後ろに!?」
剛史「お休みなさーい!」
ドスっと銀行強盗の腹を殴る剛史。
銀行強盗「うっ……」
ドサリと倒れる銀行強盗。
剛史「ふう。これで、帰って寝れる」
場面転換。
トボトボと歩いている剛史。
そこに青年が走って来る。
青年「剛史さん、大変です!」
剛史「……今度はなに? さすがにもう寝たいんだけど」
青年「3丁目で火事です! 子供が2人取り残されてまして……」
剛史「いや、それは消防の仕事なんじゃないか?」
青年「そ、そうですよね……すいません」
剛史「はあ……。わかったわかった。どこだ? 早く案内して」
青年「はい! こっちです!」
場面転換。
スズメの鳴く声。
剛史「結局、調書が朝までかかっちまったな。……げ! もう7時じゃねーか。どうするかな。このまま町に見回り行くか、3時間寝るか……。いや、今寝たら起きれないな。さっさと見回りに行くか」
剛史が歩き出そうとした瞬間、眩暈に襲われう。
剛史「あれ? なんだ……これ? 意識がもうろうとして……」
ドサっと倒れる剛史。
場面転換。
病院内。
剛史「はっ! あれ? ここは……?」
政義「病院だよ」
琴音「お医者さんの話だと、過労だってさ」
剛史「政義、琴音……。どうして?」
琴音「どうしても、こうしてもないよ!」
政義「全く! 何が、隠居してゆっくり過ごすだよ。怪人と戦ってたときより、過酷な生活してるみたいだね?」
剛史「いや、それが……その……」
琴音「あーあ。またブラックな生活に戻るのかー」
政義「ま、俺ららしくていいんじゃない?」
琴音「そうだね」
剛史「おい、なんの話をしてる。お前らは自由なんだ。俺に付き合わなくていいい」
政義「あのさ、剛史が言ったんだぜ」
剛史「え?」
琴音「私たちにやりたいことをやれって」
政義「って、ことでガオレイン、再結成だ」
琴音「まあ、今度の相手は怪人じゃないけどね」
剛史「……二人とも、本当に、ありがとう」
終わり。
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