【声劇台本】推しの為なら
- 2021.06.09
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:7人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
浩輔(こうすけ)
誠一(せいいち)
未羽(みう)
その他
■台本
ライブ会場。
アイドル達が歌っている。
未羽「みんなー! 今日は来てくれてありがとー!」
ワーッと歓声が上がる。
浩輔「うおーーー! 未羽ちゃーん!」
場面転換。
ファミレス。
浩輔「いやー。ライブ最高だったなぁ。未羽ちゃん、マジ天使」
誠一「はっはっは。浩輔殿は未羽ちゃん、一筋ですな」
浩輔「当然だろ。……けど、俺の愛はまだまだ足りない!」
誠一「と言うと?」
浩輔「この前の選挙。もう少しでセンターになれたのになぁ。俺が応援券をもっと買っていれば……」
誠一「はっはっは。まあまあ。浩輔殿だって、金銭的な限界がありますぞ。見たところ、今でもギリギリ。まさか、借金までするわけにはいきますまい」
浩輔「いや! 未羽ちゃんがセンターに行けるなら、やぶさかではない!」
誠一「むむむ。さすが浩輔殿。人生を賭けてますなぁ」
浩輔「当然さ。あの可愛さの為なら、どんな苦労だって喜んで背負うつもりだ」
誠一「ふむむ。未羽ちゃんは幸せ者ですなぁ。こんなに浩輔殿に愛してもらって」
浩輔「あははは。けど、まあ、未羽ちゃんからしたら、俺なんて単なる一ファンってだけだけどな」
誠一「……時に浩輔殿。もし……もしも、未羽ちゃんにお近づきになれると言ったら、どうですかな?」
浩輔「悪魔に魂を売る!」
誠一「ふむむ。浩輔殿の深い愛に感銘を受けましたぞ。では、耳よりの話を一つ」
浩輔「なんだ?」
誠一「実は……未羽ちゃん。コアなストーカーに悩まされているらしいですぞ」
浩輔「ストーカー?」
誠一「ええ。未羽ちゃんも、今や人気のナンバー2。ストーカーの1人や2人、当然、つくでしょうな」
浩輔「ふざけやがって! ファンの風上にも置けないな。大体、未羽ちゃんの嫌がるようなことをする時点で、ファンじゃねえ! 一方的な愛を押し付けるなんて、絶対に許せないな!」
誠一「そこで、浩輔殿がストーカーを成敗するんですぞ」
浩輔「……俺が?」
誠一「ええ。そうすれば、きっと、未海ちゃんは浩輔殿のことを、ただの一ファンではなく、頼れる男だと認識するはずですぞ」
浩輔「……わかった。かなり生活はキツくなるが、未羽ちゃんの為だ。ひと肌脱ごう」
場面転換。
夜道を歩く未羽とその後をつけている浩輔。
浩輔「……未羽ちゃん。こんな時間まで歌の練習してるなんて、さすがだよ。可愛いだけじゃなくて、努力もちゃんとする。アイドルの鏡だ」
未羽「……っ」
立ち止まりつつ、不安そうに歩く未羽。
浩輔「……未羽ちゃん、どうしたんだろ? 後ろを気にして……。あ、もしかして……」
場面転換。
男1「はあ、はあ、はあ……。未羽ちゃん! 今日も可愛いなぁ」
浩輔「おい!」
男1「うわあ! な、なんだ、貴様は!?」
浩輔「それはこっちの台詞だ。こんなところでなにやってんだ、てめえは?」
男1「なにって……。未羽ちゃんを見てるんだ」
浩輔「この変態野郎。お前がストーカーだな?」
男1「ちょ、ちょっと待ってくれよ。別に僕は未羽ちゃんに迷惑をかけてない! だって、見てるだけだから。見るくらいいいだろ!?」
浩輔「いや、アウトだろ。未羽ちゃんの後をつけまわしている時点で、ストーカーそのものだ」
男1「う、うるさーい! 僕はストーカーなんかじゃなーい!」
浩輔「ふん!」
男1「ぐぎゃ!」
浩輔に殴られて男1が倒れる。
浩輔「ふん。これに懲りたら、ストーカー行為を止めるんだな」
場面転換。
ガサガサとゴミを漁る音。
男2「ふふふふーん! 未羽ちゃん、ラブ、ラブ、ラーブ! ……ん?」
男2の手が止まる。
男2「こ、これは……未羽ちゃんの下着! うおおお! やったー! 未羽ちゃんのゴミを漁って、4カ月。ついに、俺はお宝を手に入れたぞー!」
浩輔「おい!」
男2「うひぃ! な、なんだ、貴様は!?」
浩輔「変態に名乗る名は無い。それより、もう二度と、こんなことはしないと誓って、その手に持っているものを置いて、消えろ」
男2「な、なんだと!? 俺がこの4ヶ月間どんな気持ちで頑張ってきたか、わかっているのか? 大体、未羽ちゃんはこの下着を捨てたんだ! いらなくなったものを俺が拾って、何が悪い!」
浩輔「ふん!」
男2「ごばはっ!」
浩輔が男2を殴る。
浩輔「ったく。節度を守れよ。自分の下着を変な男に拾われたら嫌に思うに決まってるだろ。それにゴミをまき散らしやがって」
浩輔がゴミを拾い集める。
浩輔「……あれ? これって……未羽ちゃんのスケジュール表だ。去年のだから、捨てたのか。……それにしても、文字まで可愛いなぁ、未羽ちゃんは」
場面転換。
夜道を歩く未羽とその後をつけている浩輔。
未羽「……はあ」
浩輔「未羽ちゃん。疲れてるな。まあ、そりゃそうか。あんな過密スケジュールをこなしながらも、ちゃんと歌とダンスの練習もかかさないからなぁ。ホント、未羽ちゃんは頑張り屋さんだよ。ちゃんと栄養とか採れてるのかなぁ? ……あ、そうだ!」
場面転換。
ドアノブに袋を引っ掛ける浩輔」
浩輔「これでよし。健康食品と精がつくものを片っ端から買って入れたからな。これで未羽ちゃんも元気を取り戻してくれるだろう。……あ、そうだ。メモも残しておこう」
紙にペンで文字を書く浩輔。
浩輔「いつも頑張ってて凄いね。きっとその努力は報われるはずだよ。ずっと応援してるからね。でも、体には気を付けてね。っと。ふふ。未羽ちゃん、喜んでくれるかな」
場面転換。
浩輔「おらあ!」
男3「ぶべべ!」
浩輔が男3を殴り飛ばす。
浩輔「ふう。こいつで最後かな。やれやれ。未羽ちゃんのストーカーを一掃するのに、1ヵ月もかかっちまった。けど、まあ、これで未羽ちゃんも安心して生活できるはずだ。これで、俺の役目も終わりかな……。いや、待て。油断すれば、また未羽ちゃんに変なストーカーがついちまう。引き続き、俺が未羽ちゃんを守って見せるぜ!」
警察「ちょっといいかな?」
浩輔「へ?」
警察「警察なんだけど……君、一体、何をしているのかな?」
浩輔「いや、なにをって……。未羽ちゃんを変態から守ってたんだ」
警察「……あ、来た来た」
未羽がやってくる。
浩輔「あ、未羽ちゃん!」
警察「どうかな? この人かい?」
未羽「きゃあ! こ、この人です! この一か月間、ずっと私を付け回してたんです」
浩輔「……へ?」
警察「君ねえ。こういう行為はストーカーっていうんだよ?」
浩輔「いやいやいやいや! 違うって! 逆だよ逆! 俺、ストーカーを追い払ってたんだよ!」
警察「はいはい。話は署で聞くからね」
ガチャンと手錠を掛けられる浩輔。
浩輔「いや、ホント、違うんだってーー!」
終わり。
-
前の記事
【声劇台本】不思議な館の亜梨珠 神様の窓 2021.06.08
-
次の記事
【声劇台本】2番手のプライド 2021.06.10