【声劇台本】サプライズ
- 2021.06.17
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
真夜(まや)
冬夜(とうや)
香織(かおり)
■台本
真夜、冬夜は5歳程度。
真夜「へー。冬夜くんの誕生日も今日なんだ?」
冬夜「うん。7月7日の七夕なんだ。真夜ちゃんと僕、名前も、や、が付いてるし、なんか似てるね」
真夜「うん、そうだね」
場面転換。
12年後。真夜は17歳。
真夜(N)「冬夜とは本当に気が合った。趣味も同じ天体観測だったし、チョコレートが大好きなところや、トマトが食べれないところ、目玉焼きはソース派で、猫が好きなのに猫アレルギーなところ。とにかく、共通点が多いというか、逆に違うところを探す方が大変なくらいだ。違うところでパッと思いつくのは、性別と顔、くらいかな。とにかく、それくらい似ているから、考え方や行動も似ているのも当然だ。だから、いつも私は冬夜と一緒に遊んでいた、というより、遊びに行くと、いつもそこに冬夜がいたという感じだった。考えてみると、いつも冬夜と一緒だった記憶しかない。でも、高校生にもなれば、なかなか、そうもいかない。一緒にいることはもちろん、しゃべることすらほとんどなくなっていた……」
場面転換。
香織「真夜?」
真夜「……」
香織「ねえ、真夜、聞いてる?」
真夜「あ、ごめん。ちょっと、ボーっとしてた」
香織「もう、あんたのこと話してたのに」
真夜「え? なになに?」
香織「ほら、もうすぐ七夕じゃない? 天体観測部としては、お祝いも兼ねて、観測会やらないとね、って話」
真夜「ふふ。部って、私と香織しかいないじゃん」
香織「いいのよ、名乗ったもん勝ちよ、こんなのは」
真夜「ははは。そうかもね」
香織「先生に許可貰っておかないとね」
真夜「……そっか。もう七夕かぁ」
真夜(N)「冬夜の誕生日……なんだよね」
香織「真夜?」
真夜「え? あ、ごめん」
香織「今日はなんだか、ボーっとしてることが多いけど、なんかあった?」
真夜「あー、いや……その。例えばさ、もし、香織に幼馴染の男の子がいたとして、最近、あんまり喋ってなくて、それで、その男の子の誕生日が近いってなったら、どうする?」
香織「……なんだ、冬夜くんのこと考えてたのか」
真夜「ちょっ! なんで、冬夜が出てくるのよ! 例えばって言ってるじゃない!」
香織「いやいやいや。何年、あんたの親友やってると思ってるのよ。それだけ具体的に言われたら、わかるって」
真夜「……どうしたらいいかな?」
香織「真夜はどうしたいの?」
真夜「……また一緒に星を見て、話したいな……」
香織「なるほど」
真夜「ねえ、サプライズとかしたら、どうかな?」
香織「え?」
真夜「ほら、誕生日にさ、呼び出して、プレゼントして、星を見るの。……誕生日って理由なら、誘いやすいかなって思ってさ」
香織「……」
真夜「引いちゃう……かな? いきなり呼び出したりなんかしたら」
香織「え? あ、ううん。ごめんごめん。いや、喜ぶと思うわよ、冬夜くん」
真夜「よ、喜んでくれるかな?」
香織「うん。絶対、喜んでくれるよ」
真夜「あとは、プレゼントだけど……何が良いかな?」
香織「私なんかより、よっぽど、真夜の方が詳しいんじゃない?」
真夜「昔はそうだったんだけどさ。今は自信ないなー」
香織「ホント、あんたらは似た者同士だね」
真夜「あ、そうだ! 望遠鏡!」
香織「……え?」
真夜「あいつの持ってるの、大分、古いのだからさ、新しいのプレゼントするっていうのはどうかな?」
香織「で、でも、結構、値段するんじゃないの?」
真夜「私、買い替えようって思って、お金貯めてたからさ、何とか買えると思う」
香織「そっか。……凄いね」
真夜「え? なにが?」
香織「ううん。何でもない。それじゃ、私、先生に屋上の使用申請出しておくね」
真夜「うん。ありがとう」
場面転換。
真夜(N)「そして、あっという間に、七夕の日がやってきた」
香織「それじゃ、7時に、冬夜くんを屋上に呼び出しておいたから、頑張ってね」
真夜「え? 香織、そこまでしてくれたの?」
香織「ま、まあね。ついでっていうか、元々そうだったっていうか、とにかく、今日は楽しんできなさい」
真夜「ありがとう、香織!」
真夜が走って行く。
場面転換。
ドアを開けて、屋上に出てくる真夜。
真夜「あと、30分しかない。早く準備しないと……」
冬夜「あれ? 真夜?」
真夜「え? どうして、冬夜がいるの? 7時って言ってたのに……」
冬夜「あー、しまった。早く来ることを考えてなかった……」
真夜「うう……。サプライズにしては締まらないけど……冬夜、誕生日おめでとう! これ、プレゼント!」
冬夜「え?」
真夜「天体望遠鏡。冬夜の大分、古くなってるでしょ? だから、その……新しいの欲しいかなって思って」
冬夜「……」
真夜「あれ? 迷惑だった?」
冬夜「いや、そうじゃなくって……。変わらないなって、思って」
真夜「どういうこと?」
冬夜「……真夜。誕生日おめでとう。これ、俺からのプレゼント」
真夜「え?」
冬夜「……天体望遠鏡。お前の持ってるの、古いだろ? そろそろ新しいの欲しいだろうって思って」
真夜「え? え? え? ちょ、ちょっと待って! なんで、冬夜がプレゼント用意してるの? 今日は私が冬夜へのサプライズだったんだけど」
冬夜「ぷっ! あはははははは!」
真夜「冬夜?」
冬夜「実は、俺、今回の真夜の誕生日に何かサプライズしたいって、香織さんに相談したんだよね」
真夜「……えええ! ってことは、お互いが相手にサプライズしようって思ったってこと?」
冬夜「そうみたい。……そっか。だから、香織さん、時々、意味深なこと言ってのか」
真夜「香織のやつ……」
冬夜「でもさ、安心した」
真夜「え?」
冬夜「同じようなこと考えるの、変わってないなって」
真夜「……そうだね」
冬夜「さてと、それじゃ、星でも見ようか。お互いのプレゼントで」
真夜「あはは。そうだね」
真夜(N)「冬夜とは本当に気が合った。趣味も同じ天体観測だったし、チョコレートが大好きなところや、トマトが食べれないところ、目玉焼きはソース派で、猫が好きなのに猫アレルギーなところ。……そして、同じ、七夕の日が誕生日。その日は、一晩中、星を見ながらたくさんおしゃべりをした。今まで一緒にいなかった時間を取り戻すように」
終わり。
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