【声劇台本】擬態

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■概要
主要人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
拓海(たくみ)
樹(いつき)

■台本

拓海(N)「樹は、カッコよくて、強くて、明るくて、いつも僕を助けてくれる。僕はそんな樹が大好きで、この先もずっと、一緒にいたい……いれるものだと思っていた」

場面転換。

セミの鳴く声が響く。

拓海「暑いなぁ……」

そこに樹が走って来る。

樹「よお、拓海! 遊ぼうぜ」

拓海「……樹は、今日も元気だね」

樹「あん? お前が元気なさすぎなだけだろ。気合が足りねーんだよ」

拓海「ははは……」

樹「さてと、今日は裏山にでも行くか。罠作って、カブトムシ取ろうぜ」

拓海「ええー……。今日は暑いし、僕の家か、せめて、この公園で遊ぼうよ」

樹「何言ってんだよ、山の中の方が涼しいって。ほら、行くぞ!」

拓海「うう……」

場面転換。

山道を歩く拓海と樹。

拓海「そういえば、樹って、夏休みの宿題やった?」

樹「毎日、少しずつやってる」

拓海「へー。意外」

樹「なにが?」

拓海「樹って、夏休み最後の日に一気にやるタイプだと思った」

樹「そんな目で見てたのかよ」

拓海「ねえ、樹。宿題、全部終わったら……」

樹「見せねえぞ」

拓海「ええ! そんなぁ! お願い!」

樹「ダメだ! 宿題は自分でやるもんだろ」

拓海「樹の鬼……」

樹「お前の為に、言ってやってんの。怠け癖は一度ついたら、抜けねえぞ」

拓海「そりゃ、そうだけどさ……」

樹「一旦、全部、自分でやってみろよ。分からないところがあったら、教えてやるからさ」

拓海「ありがとう、樹! 大好きだ!」

樹「アホ」

山道を進んで行く拓海と樹。

拓海「そういえばさー。樹は学校に友達いないの?」

樹「ん? なんだよ急に。……一緒に遊ぶの、嫌なのか?」

拓海「いや、違うよ! 逆だよ、逆!」

樹「逆?」

拓海「いつも、僕と一緒に遊んでくれるからさ。……あんまり、友達がいない僕に、気を使ってくれてるのかなって」

樹「なんで、お前に気を使わないといけないんだよ! 心配しなくても、学校に友達はいねってー」

拓海「それこそ、意外だなぁ。樹は男子からも女子からも人気ありそうなのに」

樹「なっ! 何言ってんだよ! んなわけねーって」

拓海「ねえ、樹」

樹「ん?」

拓海「いつも、遊んでくれて、ありがとう。僕、すごく嬉しいんだ」

樹「止めろよ。こっちだって、お前に感謝してるんだからさ」

拓海「え? 僕に感謝? どうして?」

樹「拓海がいなかったら……一人だからさ。だから、お前に感謝してる。一緒に遊んでくれて、ありがとな」

拓海「……うん。これからも、一緒に遊ぼうね」

樹「ああ……」

拓海「約束だからね。……勝手に友達作って、僕の前からいなくならないでよ?」

樹「ないない。そもそも、友達なんてできないって。それに、お前がいればいいんだ」

拓海「……樹」

樹「男同士、友達として、これからもよろしくな!」

拓海「……」

拓海(N)「……うう。言えない。樹が女の子だって気づいてることも、樹を女の子として好きってことも、絶対に言えないよー!」

終わり。

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