喧嘩はやめて!

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■概要
人数:3人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
千秋(ちあき)
雅紀(まさき)
清一郎(せいいちろう)

■台本

千秋(N)「千秋は赤ちゃんの頃から、ずーっと、可愛いって言われてたみたい。通りすがりの人に、可愛い赤ちゃんだねって言われたり、将来が楽しみだねとか言われてたんだって。だから、お母さんもそれが嬉しくて、千秋に可愛い服をいっぱい買って、着せたんだって。それは今でもそうなんだ。可愛い服を着て、小学校に行くと、みんな振り返って、千秋を見るんだ」

場面転換。

雅紀「おい! 今日、千秋は俺と遊ぶんだよ!」

清一郎「そんなの、誰が決めたんだよ? 僕と一緒の方が、楽しいに決まってるし」

雅紀「はあ?」

清一郎「なんだよ?」

千秋(N)「今、雅紀くんと清一郎くんが喧嘩している。どっちが千秋と遊ぶのかって。こういうことは結構多い。千秋の周りでは、喧嘩ばっかり。……これも全部、千秋のせい。千秋が可愛いから、みんな喧嘩するの」

雅紀「絶対に、譲らないからな。千秋は俺と遊ぶんだから」

清一郎「僕だって、諦めないよ」

千秋「ね、ねえ。3人で遊べばいいんじゃないかな?」

雅紀「いやだ!」

清一郎「僕もいやだよ」

千秋「……」

千秋(N)「みんな、千秋を独り占めしたいみたい。このことをお母さんにも相談してみたんだけど、千秋は、どうやら、罪作りなんだって。これは仕方ないこと。そう、お母さんが言ってった」

清一郎「それなら、じゃんけんして決めようよ」

雅紀「え? いやだよ。俺、じゃんけん弱いし。それなら、駆けっこで勝負しようぜ」

清一郎「そんなのズルいよ。僕、足遅いの知ってるでしょ?」

雅紀「いい加減に、諦めろよ!」

清一郎「雅紀こそ!」

千秋(N)「あ、二人の喧嘩が本気になってきた。……こういうとき、どうすればいいかはお母さんに聞いてある」

千秋「やめて! 千秋のことで、これ以上、喧嘩しないで! 千秋は二人のこと、愛してるの!」

雅紀「……お前、何言ってんだ?」

千秋「え?」

清一郎「……愛してるって、それって、女の子が男の子に言うことでしょ」

雅紀「そうそう。お前、男なんだからさ、そういうこと、冗談で言うの、やめた方がいいぞ」

千秋「あ、うん……。ごめん」

雅紀「それより、どうする? 千秋のゲーム、貸してくれるなら、千秋、譲るけど」

清一郎「いやいや、それじゃ意味ないよ。別に、千秋と遊びたいわけじゃないし」

千秋「……」

千秋(N)「いつもそう。千秋の周りの人は、千秋の物が目当てなだけ。あーあ。ホント、嫌になっちゃう」

終わり。

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