【声劇台本】一夜漬け

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■概要
主要人数:2人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
原田 智一(はらだ ともかず)
教師

■台本

教室。ホームルーム中。

智一「……ふあー」

教師「明日から始まる期末の件だが、入れ替わっているから……」

智一(N)「あー、明日からテストか。ま、いつも通り、追試に掛ければいいか。最悪、拝み倒せばなんとかなるだろ……。

場面転換。

学校のチャイム。

廊下を歩く、智一。

智一「さてと、帰ったら、何やろうかな……」

そこに教師が走って来る。

教師「おーい、原田! ちょっと待ってくれ」

智一「……はい、なんですか?」

教師「お前、今回のテスト、どうなんだ? ちゃんと勉強してるか?」

智一「追試の方、よろしくお願いします」

教師「お前なぁ。追試で、そこそこの点数とるんだから、最初からちゃんと勉強しておけよ」

智一「なーんか、自分、追い詰められないと本気出せないんですよね」

教師「はあ……。お前、今回、ダメだったら、最悪、留年だぞ?」

智一「あ、あはははは……。冗談ですよね?」

教師「意外と真面目に言ってる」

智一「え? マジっすか? そりゃ、毎回赤点取ってますけど……。留年にするほどじゃないと思いますけど」

教師「お前が言うな、お前が。とにかく、ちゃんと勉強しておけ。特に英語だ。この前なんか、追試でさえ、赤点だったからな」

智一「え、英語ですか……? 一番苦手な教科なんですけど」

教師「だから、勉強しておけって、言ってるんだが」

智一「なんとかならないですか?」

教師「なんともならないな」

智一「うおおおお! そこをなんとかー!」

教師「お前、すぐに土下座するから、真剣な感じがしないんだよな」

智一「お願いします! 留年はホント、シャレにならないんで、何とかしてください」

教師「何とかしてくれって……言われてもな。素直に勉強しようって、なぜならないんだ?」

智一「うう……」

場面転換。

智一の部屋。

智一「よし。やるか!」

智一(N)「それにしても、追試の前に勉強するなんて、久しぶり……っていうか、初めてだな」

智一(N)「とにかく、何とか、英語だけでも赤点を取らないようにしないとな。まあ、一夜漬けすれば大丈夫だろ。徹夜したら、ボロボロになって、2日以降のテストはほとんど点数がとれなくなる……赤点になるけど、背に腹は代えられない。明日の英語だけでも、なんとしてでも突破しないと」

ぺらりと教科書をめくる音。

智一「……やべえ、全くわからない。ここは気晴らしに、ゲームを……」

智一「って、ダメだ! これじゃ、いつものパターンで、赤点のオンパレードになっちまう。集中集中」

時計の針が動く音。

智一「ふわー! うう……眠い。ここは一旦寝て、すっきりした頭で勉強した方がよさそうかな……?」

パンパンと手で頬を叩く。

智一「ダメだって! それじゃ、いつもと同じじゃねーかよ! 留年だぞ、留年。いや、地獄だって! 絶対無理!」

時計の針が動く音。

ぺらりと教科書をめくる音。

智一「よし、なんとなくわかってきたぞ」

場面転換。

時計の針が動く音。

ぺらりと教科書をめくる音。

智一「うう……眠い……。ここは寝るか? いや、ダメだ! 絶対に起きない。で、赤点まっしぐらってパターンだ」

智一「せっかく、わかりは初めてきたんだ! 頑張るしかない!」

場面転換。

時計の針が動く音。

智一「……はっ! 今、寝てた! ヤバいヤバい。準備バッチリっていうのが、実は夢だったオチ、なんてことになったら、最悪だからな。コーヒーでも飲むか。苦いけど。逆に苦いから目が覚めるかもしれないからな」

場面転換。

時計の針が動く音。

智一「うう……もう少しだ。もう少しでテスト範囲のところが終わる……。くそ、眠いけど、絶対のやり遂げてみせる!」

場面転換。

スズメの鳴き声が聞こえてくる。

智一「朝か……思ったより、時間がかかたけど、テスト範囲内の勉強は終わったぞ」

場面転換。

トボトボと廊下を歩く智一。

そこに教師がやってくる。

教師「よお、原田。随分と眠そうだな」

智一「おかげさまで……」

教師「そうか。ちゃんと勉強したんだな。その顔ってことは、自信あるんじゃないか?」

智一「はい。っていうか、英語に全振りして勉強しましたからね。もしかしたら、俺、英語、100点取っちゃうかも!」

教師「え?」

智一「いや、そんな顔しないでくださいよ! そりゃ、今日、徹夜したせいで、明日以降は、ボロボロで点数がとれないかもしれませんけど、ホントに、英語だけは自信あるんですから」

教師「……原田」

智一「なんですか?」

教師「英語、明日だぞ?」

智一「……え?」

終わり。

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