【声劇台本】深夜のアルバイト

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー

■キャスト
隆文(たかふみ)
弘幸(ひろゆき)
店長

■台本

隆文「週6で入れます! よろしくお願いいたします」

店長「……隆文くんは、その……過去に何か変わった体験とかしたことはありますか?」

隆文「え? 変わった体験ですか? ……いえ、これといって、他の人に話せるような面白いエピソードは持ってないです、すいません」

店長「ああ、いえ、面白い話ではなくてですね……。あの、うちのコンビニ、深夜は隆文くん一人になるのですが、大丈夫ですか?」

隆文「は、はい。問題ありません!」

店長「そうですか。それでは、さっそく、明日から来てください」

隆文「ありがとうございます! よろしくお願いいたします!」

場面転換。

隆文「ありがとうございました」

客が店から出ていく。

自動ドアが開く音と、音楽が流れる。

そこに店長がやってくる。

店長「それじゃ、隆文くん、私は帰るから、後はよろしくね」

隆文「はい、わかりました」

店長「何かあったら、遠慮なく、連絡してくれていいからね」

隆文「ありがとうございます」

店長が店から出ていく。

自動ドアが開く音と、音楽が流れる。

隆文「さてと……お客さんがいない間に、商品の補充でもやっておくか」

バックヤードに入ってく隆文。

隆文「えっと、パンから補充するか。よっと」

トレイを持ち上げて店内へ出る、隆文。

隆文「あっ! い、いらっしゃいませー」

隆文が歩いて立ち止まり、トレイを置いて、パンを並べ始める。

隆文「ヤバい、また気付かなかったなぁ……」

場面転換。

隆文「……」

自動ドアが開き、音楽が流れる。

隆文「いらっしゃいませー」

弘幸「よお! 遊びに来てやったぞ」

隆文「なんだ、弘幸かよ」

弘幸「なんだとはなんだ! 客に向かって」

隆文「今、遊びに来たって言っただろ」

弘幸「ま、帰りになんか買ってってやるよ」

隆文「さんきゅー。正直、来てくれて助かる」

弘幸「やっぱ、暇か?」

隆文「ヤバいくらい、時間が過ぎるのが遅ぇ」

弘幸「まあ、深夜のコンビニはな」

隆文「意外とやることなくてな」

弘幸「けど、暇なら、裏で漫画とか読んでていいとかじゃねーの?」

隆文「客がいなきゃな」

弘幸「なんだ、こんなコンビニでも客来るのか」

隆文「こんなってなんだよ、失礼な」

弘幸「別にお前のコンビニじゃねーだろ。それに、ここまで車で来たけど、15分くらい街灯がなかったぞ。辺鄙(へんぴ)過ぎるって」

隆文「それは否定できないな。俺もさ、正直、客が来ないだろうと思って、ここを選んだんだけど、完全にアテが外れたよ」

弘幸「結構、頻繁に来るのか?」

隆文「いや、頻繁っていうより、長時間いるって感じ」

弘幸「あー、一番厄介なパターンだな。で? 大勢で来るとか?」

隆文「いや、一人だよ」

弘幸「へー、一人か。どんな奴? 浮浪者とかじゃなくて?」

隆文「女の人だよ。朝まで、雑誌コーナーのところに立ってる」

弘幸「へー。で、美人か?」

隆文「……結構、美人だ」

弘幸「マジか! 今日も来るかな?」

隆文「いや、来るかなって……」

弘幸「それより、この店、ちょっとエアコン効きすぎじゃね?」

隆文「え? そうか? 普通だろ」

弘幸「いやいやいや。いくら夏だからって温度下げ過ぎだって。上げて来いよ」

隆文「うーん。一応、自動で温度調整してるはずなんだけどな」

弘幸「壊れてるんじゃね?」

隆文「んなことないと思うけど……。まあ、上げて来るよ。そこまで言うなら」

場面転換。

隆文「どうだ?」

弘幸「……ホントに上げたのか?」

隆文「上げたって。5度も」

弘幸「……しゃーない。ホットでも買うか」

歩いて、ホットのドリンクコーナーからカンを一つ取り出す。

弘幸「じゃあ、これ」

隆文「ん」

ピッとバーコードをスキャンする隆文。

隆文「165円だ」

弘幸「はいはい。えーっと。あー。5円足りねえな。まけてくれ」

隆文「アホか」

弘幸「しゃーねーな。崩したくねーのに。ほら、1000円」

隆文「まいどー」

弘幸「それよりさ、さっき言ってた客の件だけど、何時くらいに来るんだ?」

隆文「は?」

弘幸「美人なんだろ? 俺、ナンパしちゃおうかな。もちろん、お前は店員だから、ダメだぞ」

隆文「いや、俺はナンパする気はないけどさ」

弘幸「で? いつ来るんだ?」

隆文「いや、もういるって」

弘幸「は? どこ?」

隆文「雑誌コーナーのとこ」

弘幸「……」

隆文「な? 美人だろ?」

弘幸「……さてと、そろそろ、俺は帰るかな」

隆文「え? もう? てか、ナンパしていかないのか?」

弘幸「いや、いい。じゃあ、俺、行くわ。ごめんな」

隆文「あ、ああ……」

弘幸が店を出ていく。

自動ドアが開く音と、音楽が流れる。

隆文「なんだ、あいつ? さてと、商品補充の続きでもやるかな……って、あれ? あの人、いなくなってる。……よし、補充が終わったら、裏で漫画読もっと」

終わり。

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