【声劇台本】犬猿の仲

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■概要
人数:2人
時間:5分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代ファンタジー、コメディ

■キャスト
ケンイチ
カイエン

■台本

ケンイチ「よお! カイエン。死ぬ準備は出来てるんだろうな?」

カイエン「ああ、そうだな。ケンイチ。てめえをぶっ殺した後、寿命で死んでやるよ」

ケンイチ「なるほど。今日が寿命ってことか」

カイエン「ああ?」

ケンイチ「まあ、なんにしても、だ。てめえらは少しやり過ぎた。まさか、俺らのシマ、荒らすとはなぁ?」

カイエン「おいおい。俺らはお前らが通らない上を通っただけだ」

ケンイチ「シマに上も下もねえんだよ!」

カイエン「あのなあ。こちとら、てめえらがまき散らす臭ぇ臭いに我慢してやってんだ。この程度のことで目くじら立ててんじゃねえよ」

ケンイチ「ぶっ殺すぞ、このサルぅ」

カイエン「ああ? 舐めてんじゃねえぞ、この負け犬が!」

ケンイチ「やんのか、こらあ!」

カイエン「こいや! おらあ!」

ケンイチ「うおおおお!」

カイエン「はああああ!」

場面転換。

ケンイチ「はあ、はあ、はあ」

カイエン「はあ、はあ、はあ」

ケンイチ「やるじゃねーか」

カイエン「お前こそ」

ケンイチ「そういえばよぉ」

カイエン「あん?」

ケンイチ「俺らって、なんで喧嘩してんだっけ?」

カイエン「あ? そりゃ、俺らがお前らのシマに入ったから、じゃねーの?」

ケンイチ「あ、いや、そうじゃなくてよ。俺らとお前らが、仲が悪いって話」

カイエン「あー。あんま考えたことなかったな。なんか、雰囲気じゃねーのか? 雰囲気」

ケンイチ「なんでか、知らねーけど、確かに仲が悪いってイメージがあるよな、俺ら。けどよ、実際、喧嘩してるところって、あんま見なくねーか? てか、見たことなくねーか?」

カイエン「まあなぁ。てか、そもそも、あんま、会うことすらねーんじゃねーか?」

ケンイチ「てか、お前らがいる場所って、結構、限定的だもんな」

カイエン「けっ! お前らがどこにでもい過ぎなんだよ、節操ねえな、お前らは。フリフリ尻尾振ってるのがお似合いだよな」

ケンイチ「はっ! ひがみか? ちいせえな」

カイエン「ああ? やんのか、こら」

ケンイチ「おうよ、こいや、おら」

カイエン「よーし、……って、いてて」

ケンイチ「うう……」

カイエン「けっ! 今日のところはこれくらいにしておいてやる」

ケンイチ「ふん。満身創痍で言う奴の台詞じゃねえな」

カイエン「なんとでもいえ」

ケンイチ「……なあ、くだらねえと思わねーか?」

カイエン「何がだよ?」

ケンイチ「こうやって、喧嘩すんの。別にメリットなくねーか?」

カイエン「まあ、な。面子っていっても、いまさらだよな。実際、お互い、飼いならされてるもんだからな」

ケンイチ「そうだよな」

カイエン「なあ、もういいんじゃねーか? 仲が悪いフリすんの」

ケンイチ「それは、俺も思った」

カイエン「知ってるか? 喧嘩するとお互い、仲良くなれるらしいぜ」

ケンイチ「……なんでだよ?」

カイエン「いや、聞いた話だから、俺にもよくわかんねーけど」

ケンイチ「なんだよ、そりゃ」

カイエン「いや、人間たちがいうには、喧嘩した後、お互いの手を握ることで、絆が生まれるらしいぜ。握手っていうらしい」

ケンイチ「ホントか? それ?」

カイエン「やってみようぜ」

ケンイチ「ものは試しか。いいぜ。ほれ」

カイエン「おう……」

ギュッという握る音。

ケンイチ「……どうだ?」

カイエン「とくに変わった感じはしねーな」

ケンイチ「なんでだろうな?」

カイエン「あっ!」

ケンイチ「どうした?」

カイエン「お前、それ、前『足』じゃねーか」

ケンイチ「あっ……」

カイエン「使えねーな。この負け犬は」

ケンイチ「ぶっ殺すぞ、このサルぅ!」

終わり。

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