【声劇台本】とっておき

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
慎吾(しんご)
遼平(りょうへい)
彩未(あやみ)

■台本

慎吾「それでは、第18回、宝物評議会を開始します。それぞれ、自信のある宝物を持って来ましたか?」

遼平「ああ」

彩未「もちろん!」

慎吾(N)「まあ、僕が絶対に一位になるのは確定ですけどね」

慎吾「では、一番手は、遼平氏。お願いします」

遼平「俺の宝物は、悪戯王の超レアカード、プラチナドラゴンだ!」

バンとテーブルの上に叩き付けるように置く遼平。

慎吾「おお!」

彩未「うわー」

遼平「このプラチナドラゴンは世界にたった1000枚しか存在しない」

慎吾「へー。すごい」

彩未「なんか、オーラがあるわね」

慎吾(N)「1000枚って……。そんなにあるものを宝物にするなんて、まだまだですね。正直、拍子抜けです」

遼平「ふふふふ。これは金額にして、20万の価値がある。まあ、この値段のせいで、市場にもなかなか出てこない。つまりは、欲しいと思っても手に入らない代物ということだ」

慎吾「す、すごい……」

彩未「さすが遼平くん」

慎吾(N)「いやいや。そもそもお金で手に入るってところが、ロマンがありません。逆に言うとお金さえ積めば、手に入るということです。……まあ、遼平氏のレベルではこれくらいが関の山でしょう」

慎吾「素晴らしい、一品でした」

遼平「へへ。だろ?」

慎吾「それでは次に彩未氏」

彩未「ええ。次の私の宝物はこれよ。リコちゃん人形!」

ダンとテーブルに置く彩未。

慎吾「ふむ……。彩未氏。リコちゃん人形は世界中に販売されている量産されている人形です」

遼平「そうだぞ! こんなの、どこの玩具屋でも買えるじゃねーか」

彩未「ふふふふ。甘いわね。確かにこのリコちゃん人形は量産品よ。でも、注目すべきは、この服なの」

遼平「服?」

彩未「この服はオーダーメイドなの。世界的に有名なトール・スミスがデザインしたものなのよ。そのデザイナーに自分専用のデザインをしてくれたものなのよ。つまり、この服は世界に一着しかないの。見て! ここに私の名前が刺繍されているのよ!」

遼平「なるほどな……」

慎吾「世界に一着ですか。それは凄い」

慎吾(N)「ふむ……。まあ、さっきの遼平氏と比べると希少価値はあります。ですが、自分専用となると、本人にしか価値がないということ。しかも自分の名前が刺繍されている時点で、逆に価値が下がるのではないでしょうか。ある意味、他人が貰ったサインを譲ってもらうようなものですからね。そういう点で言えば、第三者的な視点で遼平氏とそう変わらなさそうですね。……やっぱりここは僕のダントツの勝ちのようですね」

遼平「いやー、さすが彩未だな。なかなかやるじゃねーか」

慎吾「うむ。感服しましたぞ」

彩未「えへへへ。でしょ?」

慎吾「それでは、最後に僕の宝物をお見せしましょう。……これです!」

バンとテーブルに物を叩き付ける音。

彩未「……これって」

遼平「……石?」

慎吾「オパールです。これはとても珍しい鉱石です。オパールは、世界で最も愛されているジェムストーンのひとつなのです」

彩未「へー。なるほど」

遼平「ほう?」

慎吾「見てください! 真に見るべきものはこの模様です! ここ! ここです! この部分が太陽と月、そして、ここが星を表しています! はっきりいって、これは奇跡と言っていいでしょう! もちろん、このオパールは世界で一つと言っていいでしょう! 長年、山に通ってようやく見つけ出した一品です!」

遼平「そいつはすげーな」

彩未「すごい綺麗だもんね」

慎吾(N)「圧倒的! まさに圧倒的です! 真の宝物というものは他人が作り出したものではありません! 自らが汗水を流して、見つけ出すもの! これには二人も負けを認めざるを得ないでしょう」

遼平「やっぱり、慎吾はすげーよ」

彩未「うんうん。すごいすごい」

慎吾「ふふふ。いえいえ。大したものでは」

遼平(N)「いやー。石って。その辺で拾ったもんだろ? そんなの一円の価値もねーって。やっぱ、俺の宝物が一番だな」

彩未(N)「ないわー。ホントないわー。石って。大体、太陽とか月とかって、あんたがそう見えてるだけでしょ。私にはただの水玉模様にしか見えないんだけど……。やっぱり、私のリコちゃん人形の服が一番ね」

慎吾「……それでは、一番を決めたいところですが……。今回も引き分けにしましょう。どれも甲乙つけられません」

遼平「賛成」

彩未「うん。それでいいよ」

遼平(N)「しゃーね。俺が余裕で一番だもんな。今回は二人の顔を立ててやるか」

彩未(N)「今回はいつにも増して、レベルが低かったわね。でも、ま、あえて言わなくても、私が一番だって、二人もわかっただろうし、あえて明言してあげないであげるわ」

慎吾(N)「僕のものがダントツですが、ここで一番と認めさせてしまっても、他の二人のプライドを折ってしまいます。もう少しお二人がまともなものを持ってきたときに改めて決着をつけましょう」

遼平「いやー。二人ともすげー宝物用意してきたよな。危なかったぜ」

彩未「うんうん。接戦だったよね」

慎吾「ええ。僕もとっておきを持ってこなかったら危なかったですな」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉   〈次の10枚シナリオへ〉