【声劇台本】好意の贈り物

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、ホラー

■キャスト
隼(はやと)
仁(じん)
御門 祥子(みかど しょうこ)

■台本

学校のチャイム。

隼が廊下を歩いている。

隼「……あいつ、どこ行ったんだ? あ、いた! おーい、仁!」

仁「ああ、隼」

隼「ああ、隼、じゃねえよ。探したぞ。帰りに本屋寄るんだろ?」

仁「そうだったな。じゃあ、ごめん。行くね」

祥子「あ、う、うん。さよなら」

隼「……」

仁「ほら、行こうぜ」

隼「あ、ああ……」

隼と仁が歩き出す。

隼「……あの子、だれ?」

仁「ああ、御門祥子さん。隣のクラスの子なんだけどさ、結構、話が合ってさ」

隼「マジで? お前と話合う奴がいるのか」

仁「失礼な」

隼「……抜け駆けは許さねえぞ」

仁「は? ああ、いや、彼女とかそんなんじゃねーよ」

隼「ならいいけど……」

仁「それより、走るぞ。本屋閉まりそうだ」

隼「いや、お前を探してて遅くなったんだぞ」

二人が走り出す。

場面転換。

自動ドアが開き、二人が出てくる。

仁「いやー、あったあった。さすが、町で一番デカい本屋だな」

隼「……笑顔でその本を買うのは、やっぱり怖いって」

仁「そうか? でも、この呪い辞典スゲーんだぞ」

隼「いや、だから、俺はそれには興味ねーって」

仁「そうか。楽しいのになぁ」

隼「やっぱ、お前、変わってるよ」

場面転換。

学校のチャイムが鳴る。

廊下を歩いている隼。

隼「……えーっと、いた! おーい、仁」

仁「ああ、隼。ごめん、今、行く。御門さん、じゃあね」

祥子「う、うん。さようなら」

二人が廊下を歩く。

隼「……なあ、仁。やっぱり、お前ら」

仁「気にしすぎだって。それに、お前のことも聞かれたぞ」

隼「へ? 俺のこと?」

仁「ああ。名前とか血液型とか、誕生日とか、色々。もしかしたら、俺より、お前に興味があるのかもな」

隼「え? マジで? あーでも、どうだろうな? あんまり接点ない子だし」

仁「なんか、俺とよくいるから、見てたって言ってたぞ」

隼「……そ、そうなんだ?」

仁「おい、なににやけてるんだよ。抜け駆けは許さねーんじゃなかったのか?」

隼「わ、わかってるって」

場面転換。

階段を走って登る隼。

隼「はっ! はっ! はっ!」

階段を登り切り、ドアを開ける。

隼「ご、ごめん。お待たせしちゃって。……で、あの、話ってなに?」

祥子「あ、あの……隼さんに贈り物があって……」

隼「へ? 俺に?」

祥子「はい。あの……この人形、私だと思って受け取ってくれませんか?」

隼「え? その……あ、うん。わかった。ありがとう」

祥子「それで、その……。代わりと言ってはなんですけど、髪の毛を一本いただけませんか? お守りに入れたくて」

隼「ああ、もちろん、いいよ! はい!」

祥子「ありがとうございます。大切にしますね」

隼「う、うん……」

場面転換。

道を歩く隼と仁。

隼「ふふふふーん」

仁「随分とごきげんだな。なんかいいことあったのか?」

隼「いや、別に」

仁「そういえば、昼休み、どこ行ってたんだ?」

隼「ああ。ちょっと腹壊してさ。トイレにこもってた」

仁「ふーん……」

場面転換。

学校のチャイムが鳴り響く。

階段を上り、ドアを開ける隼。

隼「祥子ちゃん、お待たせ」

祥子「来てくれてありがとうございます」

隼「で、今日はなに?」

祥子「今日はこれを貰ってほしくて……」

隼「ありがとう。祥子ちゃんがくれるってだけで、嬉しいよ」

祥子「ありがとうございます」

隼「でもさ、なんで、こんなに俺にプレゼントくれるの?」

祥子「私の持ち物を、隼さんが持っててくれる……。そう考えるだけで嬉しくって」

隼「そ、そうなんだ? 肌身離さず持ってるよ」

祥子「ありがとうございます!」

隼「あ、あのさ、祥子ちゃん」

祥子「なんですか?」

隼「えーっと、その……ううん。なんでもない。また今度ね」

祥子「はい。……って、あれ? 隼さん、指の絆創膏、どうしたんですか?」

隼「ああ、調理実習でちょっと切っちゃってさ」

祥子「血がにじんでますよ。新しいの貼りかえますね」

隼「ありがとう」

祥子が隼の絆創膏を貼りかえる。

祥子「じゃあ、この古い絆創膏は私の方で処分しておきますね」

隼「うん。ありがとう」

場面転換。

隼と仁が歩いている。

隼「仁、ごめん」

仁「なんだ、いきなり」

隼「俺、抜け駆けするわ」

仁「……え? なんだ? 彼女が出来たって話か?」

隼「まだだけど……多分、俺のこと好きなんだと思う」

仁「へー。誰?」

隼「あの、その……言いにくいんだけど、祥子ちゃん」

仁「……御門さん?」

隼「そう。てっきり、お前のことが好きなのかなって思ってたんだけどさ、俺の方を好きだったみたい。だから、今度、俺から告白しようかなって思って」

仁「そっか……」

隼「実はさ、昼休み教室にいなかったのは、祥子ちゃんに会ってたんだ」

仁「怪しいとは思ってたんだよ。毎日、腹壊してたからさ」

隼「ごめん。黙ってて。祥子ちゃんから、色々プレゼント貰ってさ。なんか、それをお前に言うのが照れ臭かったんだ」

仁「プレゼントか。ちなみに、どんなの?」

隼「これと、これと、これ……」

仁「……」

ピタリと立ち止まる仁と隼。

隼「おい、急に立ち止まって、どうしたんだよ?」

仁「これ、御門さんから?」

隼「うん。こんなにプレゼントしてくれるのって、好意があるってことだよな?」

仁「……えっと、お前の方から髪の毛とか血とかくれって言われなかったか?」

隼「は? えーっと、ああ、髪は言われたな。血は……ああ、絆創膏についてたかも」

仁「……」

隼「どうしたんだよ?」

仁「これ、呪いの儀式のものばっかりだ」

隼「……へ?」

場面転換。

学校のチャイムが鳴り響く。

バタンとドアが開き、仁が戻って来る。

隼「しょ、祥子ちゃん、なんて言ってた?」

仁「えっと……。いつも俺と話しているのを邪魔するから、目障りだったんだってさ」

隼「……」

仁「呪いの方はちゃんと止めさせたから安心していいぜ」

隼「……女って怖ぇ」

終わり。

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