【声劇台本】平和なサルカニ合戦

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■概要
人数:3人
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
カニ
さる
ナレーション

■台本

ナレーション「サルカニ合戦。……昔々、あるところに、さるとカニがおりました」

道を歩くカニ。

カニ「えっちら、おっちら、えっちら、おっちら……。ふう、家まではまだ遠いなぁ」

ナレーション「カニはとてもマジメではたらき者の……」

カニ「あー、ダルイ。もういいや。ここで暮らそうっと」

ナレーション「……少しだけ怠け者のカニでした。そんなとき、意地悪なさるが通りかかります」

さる「ん? カニ、なにやってんねん? 道の真ん中で」
カニ「あー、さるくん。なんかさー、家に帰るの面倒だから、いっそここに住もうかなって」
さる「アホか! こんなところで寝てたら危ないやろ。ほれ、ワイにおぶさりや。家まで送ってってやる」
カニ「えー。悪いよー」
さる「いいから、つべこべ言わんと、はよせえや」
カニ「ありがとー」

ナレーション「……えっと、さるは少しだけ良いさるでした」

場面転換。

さる「ほれ、着いたぞ」
カニ「ありがとう、さるくん。これでゆっくり昼寝できるよ」
さる「あのなぁ。少しは働いたら……」

ぐうっと、さるの腹が鳴る。

カニ「さるくん、お腹減ったの? おにぎりあるけど食べる?」

ナレーション「お腹が減ったさるは、美味しそうなおにぎりを持ったカニに、ズルいことを言います。それは、持っていた柿の種と交換しようというのです」

さる「え? ホンマか? 食べる食べる。……じゃあ、そうだ。この柿の種と交換しようや」
カニ「ええー。いいよいいよ。おにぎりはここまで送ってくれたお礼で」
さる「あかん! 送ってもらっただけで、おにぎり一個とか、カニの方が割りに合わんやろ」
カニ「別にいいってば」
さる「ええから、受け取っときや。種植えて、育ったら、毎年、美味い柿食えるで」
カニ「うーん」

ナレーション「カニさん? 受け取ってください。お話になりませんよ?」

さる「お前が受け取らんなら、ワイもおにぎりはいらん」
カニ「うーん。じゃあ、もらっておくよ」

ナレーション「……ほっ。よかった、受け取りましたね。それで、柿の種とおにぎりを交換し、さるは美味しそうにおにぎりを食べました。そしてカニはさっそく、庭に柿の種を植えます」

さる「美味いな! ごちそうさん!」
カニ「んー。じゃ、僕は寝るね」
さる「おいおい。柿の種、植えんのかい」
カニ「後で植えるよ」
さる「お前、そんなこと言って、やった試しないやん。しゃーない。ワイが植えとくぞ」
カニ「ありがとー」

ナレーション「……えっと、柿の種はさるが植えましたが、植えた場所はカニの家の庭なのでセーフです」

さる「じゃあ、あとの世話はお前がやれよ」
カニ「はいはーい」

場面転換。

カニ「ふわー! 良く寝た。……せっかく、さるくんがくれた柿の種だから、少しは世話をするか。えっと、水をやって、と」

水を掛ける音。

ナレーション「カニが、植えた柿に掛け声をかけます」

カニ「えっと……、早く芽を出せ、カキの種。出さねばはさみで、ほじくるぞ」

ナレーション「するとどうでしょう。みるみると柿の種から芽が出てきました」

カニ「……まあ、こんなんで、芽が出てきたら世話は無いってね。アホらし。寝よっと」

ナレーション「……いや、そこはリアルじゃなくていいと思いますよ? 空気の読めない柿の種ですね……」

場面転換。

ナレーション「柿の種を植えてから、数ヶ月後。柿は立派な木になりました」

さる「いやー。意外と育つもんやな」
カニ「悪いね、さるくん。いつも、世話しに来てくれて」
さる「お前に任せてたら枯れそうやからな」
カニ「見て見て。あそこ、柿が生ってるよ」

ナレーション「カニは柿の実を取りに行こうとしましたが、カニは木登りが出来ません」

さる「ホンマや! さっそく取ろうか」

ナレーション「するとさるが、スルスルと木に登り、自分だけ赤いカキの実を食べ始めました」

さる「ん! うまい!」
カニ「おおー。やったね、さるくん」

ナレーション「柿を食べるさるに、カニは自分も食べたいと言います」

さる「あ、すまん。ワイだけ食べて。今、お前の分も持ってくわ」
カニ「いいよいいよ。実質、さるくんが育てたんだもん。僕は余りものでいいって」

ナレーション「あまりにしつこく、柿が欲しいというカニに、イライラしたさるが、まだ青くて固い柿の実をぶつけました」

さる「何言ってんねん。こういうのは、一緒に食べた方が美味いやろ」

ナレーション「さるさーん! ダメですよー。青い柿の実をぶつけてください」

さる「ほれ、完熟した柿や」
カニ「いいの?」
さる「いいから、食ってみいって」
カニ「ありがとう」

がぶりとかぶりつくカニ。

カニ「うわー! 甘くて美味しい!」
さる「せやろ?」

ナレーション「えーっと。どうしましょう」

さる「これから毎年、美味い柿が食えるな」
カニ「そうだねー」

ナレーション「こ、こうしてさるとカニは毎年、庭に生った柿を仲良く食べて過ごすのでした。めでたしめでたし。……合戦してないけど、いいんですかね、これ?」

終わり。

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