【声劇台本】三々九度の誓い
- 2021.11.15
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:3人
時間:10分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
皐(さつき)
音乃(のの)
美樹(みき)
■台本
二人の子供が走る音。
皐「音乃ちゃん、はやくはやくー」
音乃「皐くん、まってぇー」
遠くから和風の音楽が鳴る。
皐が立ち止まって。
皐「……あれ? ねえねえ、音乃ちゃん、あれってなにしてるんだろう?」
音乃「え? どれ? ……あー、結婚式だ。すごーい。きれいだなー」
皐「え? あれが結婚式? でも、なんか、ひらひらした服じゃないよ?」
音乃「えっとね、あれは日本の結婚式なんだよ」
皐「……でも、ひらひらした服の結婚式も日本でやってたよ」
音乃「でも、ドレスを着るのは外国の結婚式なんだって」
皐「……よくわからないや」
音乃「でもいいなー。きれいだなー。私も結婚式はドレスじゃなくて、日本のにしたいなー」
皐「……うん、音乃ちゃんなら、きっと似合うよ」
音乃「あはは。ありがとう」
皐「あれ? なんか、飲んでる」
音乃「えっとね、あれは結婚を誓うために、お酒を飲むんだって」
皐「お酒を?」
音乃「うん。あの、盃って入れ物にお酒を入れて、二人で飲むと、結婚できるんだって」
皐「へー……」
場面転換。
皐と音乃が高校生になっている。
廊下を走る皐。
皐「やべえ、約束の時間に遅れる」
音乃「皐、廊下走っちゃダメだよ」
皐「(立ち止まって)おお、音乃。ごめん。急いでるから、見逃して」
音乃「なんで、そんなに急いでるの?」
皐「約束があるんだよ」
音乃「約束?」
皐「ああ、だから、またな!」
美樹「ちょっと、待ちなさい!」
皐「うお、ビックリしたー」
音乃「美樹? ど、どこにいたの?」
美樹「そんなことはどうでもいいの。それより、皐くん!」
皐「な、なんだよ?」
美樹「誤解するようなこと言わないの! また、音乃が心配するでしょ?」
皐「ん? 音乃が心配? なにが?
美樹「はあー……。約束ってあれでしょ? 部活の助っ人でしょ?」
皐「うん、そうだけど……」
音乃「……あ、なんだ。部活か……」
美樹「ってことだから、音乃。心配いらないからね」
音乃「べ、別に心配とかそういうんじゃないし」
美樹「けどさー、皐くん。あんた、なんだって、そんなに色々な部活に手を出してるわけ?」
皐「だって、スポーツできる奴の方が格好いいって音乃が言うからさ」
音乃「え?」
美樹「じゃあ、音乃が格好いいっていうから、やってるってこと?」
皐「ああ、そうだけど」
音乃「……っ!」
美樹「……よくも、まあ、そんなストレートに言えるわね」
音乃「……」
美樹「はあ……。あんたは顔も運動神経もいいのに、頭だけはホント残念ね」
皐「……いくら俺でも、今のは馬鹿にされたってわかるぞ」
美樹「大体、音乃のためにって言うけど、それで音乃と一緒にいれる時間が減るなら意味ないじゃない」
皐「っと、ヤバい。試合の時間に遅れる。じゃな!」
皐が走り出す。
美樹「あっ! ちょっと、待ちなさいよー」
場面転換。
皐「あー。休みの日は暇だな―」
チャイムが鳴り響く。
皐「ん? 誰だ?」
場面転換。
ドアが開く音。
皐「はーい」
美樹「……やっぱり家にいたか」
皐「あれ? どうしたんだよ? 俺の家に来るなんて珍しいな」
美樹「あんたねー。どうして家なんかにいるのよ」
皐「いや、どうしてって……。俺の家だからいいだろ」
美樹「いや、そうじゃなくって、休みの日になんで、家に閉じこもってるのよ!」
皐「……ん? ダメなのか?」
美樹「ダメに決まってるじゃない! 予定が開いてるなら、音乃を誘いなさいよ!」
皐「けど、音乃にも予定があるだろうし」
美樹「……聞いたの? 本人に?」
皐「いや、聞いてないけど……」
美樹「あんたさー、音乃のこと、どう思ってるの?」
皐「ん? 好きだよ」
美樹「くっ、サラッと言うじゃない。……念のために聞くけど、それって友達として? それとも異性として?」
皐「え? えーっと」
美樹「ライクなの? ラブなの?」
皐「あー、ラブだな」
美樹「……聞いてるこっちが恥ずかしくなるんだけど」
皐「で、それがどうしたんだよ?」
美樹「あのさー、なんで、告白しないの?」
皐「告白? してるぞ。普段から、好きって言ってるし」
美樹「いや、そういうことじゃなくて……」
皐「ん?」
美樹「あんたさー。他の男に音乃が取られたらどうすんのよ?」
皐「え? 取られる? 音乃が? ……そんなことがあるのか?」
美樹「あるに決まってるでしょ! 音乃って結構、人気あるのよ!」
皐「……やべえ、どうしよう?」
美樹「はあ……。ホント、ノー天気なんだから」
皐「どうしたらいい?」
美樹「さっさと告白しなさいよ。付き合ってくれって」
皐「付き合う……。いや、ダメだ」
美樹「なにがよ?」
皐「付き合うだけじゃだめだ!」
美樹「……何言ってんの?」
皐「……どうする? どうすればいい?」
美樹「いや、だからさ……」
皐「そうだ!」
美樹「なに? すごい嫌な予感がするんだけど」
皐「もうすぐお正月だよな?」
美樹「え? あ、うん。そうね。あと2週間後くらいね」
皐「最大のチャンスだ」
美樹「いや、その前にクリスマスがあるでしょ……」
場面転換。
ガヤガヤと人が賑わっている。
音乃「うわー、すごい人だね。着物汚さないようにしないとね」
皐「ああ、そうだな……」
音乃「でも、皐も着物なんて、珍しいね」
皐「ああ、ちょっとな……。あ、あったあった。行こう、音乃」
音乃「え? でも、お参りするのこっちだよ?」
皐「いいから、こっちだ」
皐が音乃の手を掴んで走る。
美樹「……心配でついてきたけど、嫌な予感……」
場面転換。
皐「うっ……まずい」
音乃「珍しいね、皐がお神酒飲みたいなんて」
皐「なあ、音乃」
音乃「え? あ、うん。なに?」
皐「この酒……飲んでくれ」
音乃「でも、私は私の分を貰ったけど……」
皐「頼む! この酒を飲んでくれ!」
音乃「……う、うん。そこまで言うなら」
音乃がお酒を飲む。
皐「いやったー!」
音乃「え? なになに?」
皐「ありがとう、音乃」
音乃「えっと……?」
美樹「……ねえ、皐くん。説明してくれない?」
皐「うわ、ビックリした!」
音乃「美樹、どこにいたの?」
美樹「そんなことより、どういうことよ?」
皐「ああ。聞いてくれ。俺、音乃と結婚したんだ」
音乃「へ?」
美樹「え?」
皐「知らないのか? 着物着て、盃の酒を二人で飲むのが日本の結婚式だ」
音乃 「……これ、お猪口だよ」
皐「え?」
美樹「……いや、突っ込むの、そこ?」
皐「……し、しまったーーー!」
美樹「はあ……。疲れるわ……」
終わり。
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