【声劇台本】余計な一言
- 2021.12.14
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
魁人(かいと)
さくら
幸弘(ゆきひろ)
明沢 三奈(あけざわ みな)
■台本
魁人(N)「僕は昔から一言多いと言われる。もちろん、わざとなんかじゃない。僕だってわざと他人を怒らせたりはしたくないんだ」
魁人「でも、太り過ぎだよね」
場面転換。
魁人「やっぱり、どこか抜けてるんだよね」
場面転換。
魁人「そういうところが親の七光りって感じだよね」
場面転換。
幸弘「魁人って、本当に一言多いよな」
魁人「うっ……。僕自体は気を付けてるつもりなんだけど」
幸弘「マジで? それで気を使ってんの? どんだけだよ!」
さくら「いや、幸弘も、大概だけどね」
幸弘「え? そうか?」
魁人「ねえ、さくらちゃん。僕、どうしたらいいかなぁ? なるべく、余計なことは考えないようにしてるんだけど」
さくら「んー。そうだなぁ。こういうのはさ、考えないようにするっていうのは、まず無理なのよ」
魁人「うん、うん」
さくら「魁人の悪いところは、思ったことをそのまますぐに口に出しちゃうところなのよ」
幸弘「まあ、普通は考えてしゃべるよな」
さくら「いや、関係なさそうな口ぶりだけど、あんたも大概だからね」
魁人「でもさ、考えて喋るって言っても、それじゃ、返事が遅くならない? 会話が途切れちゃうって言うか……」
さくら「あー、全部じゃなくていいのよ。例えば、魁人って会話の終わりくらいにポロっという感じでしょ? だから、話の最後に付け加えようとしたときに、一旦止めて、頭の中で、これを言ったら相手はどう思うか、っていうのを考えるのよ。で、少しでも相手が不機嫌になりそうだなーとか、気まずくなりそうだな―って思ったら、口に出さないで飲み込むの」
魁人「なるほど……。相手が嫌な気持ちになりそうだったら、止めるのか」
さくら「そうそう。簡単でしょ?」
魁人「例えばなんだけど、今日のさくらちゃん、寝ぐせ直ってないところある、とか、眉が消えかかって怖いとか、そういうのは言っていいんだよね?」
さくら「そういうところ」
魁人「え?」
さくら「そういうところだから、魁人!」
幸弘「あはははは。ダメだなぁー、魁人は。俺なんか、朝に会ったときから気づてたけど、言わずにずっと黙ってたんだぞ」
さくら「言えよ、そこは」
魁人「うー。相手が怒るかどうか、わからない……」
さくら「あー、そっからかー」
幸弘「いっそ、しゃべらなきゃいいんじゃね?」
さくら「いや、ダメでしょ!」
魁人「あー、なるほどねー」
さくら「納得すんなし!」
幸弘「けど、ま、俺達と話すときは気にすんなよ。な?」
さくら「そうそう。私たちは慣れてるから、魁人の思ったことは、言っていいよ」
魁人「ありがとう! 僕、ずっとさくらちゃんのおでこが広いって思ってたけど、言い出せなかったんだ」
さくら「……殴っていいかな?」
場面転換。
魁人「……好きな人ができた」
さくら「え? ホント?」
幸弘「マジか! 誰誰?」
魁人「えっと、隣のクラスの明沢三奈さん」
幸弘「めっちゃ、お嬢様じゃん」
さくら「そっか……。ご愁傷様。まあ、しょうがないよ。次いこう、次」
幸弘「……さくらもさ、結構、人のこと言えねーよな」
魁人「次の休みの日にデートすることになった」
さくら「えええええ!」
幸弘「マジかああああ!」
魁人「それはいいんだけどさ……」
さくら「あんた、もっと喜びなさいよ。奇跡が起きたんだから」
魁人「デート中に、余計な一言を言わないか、心配で……」
さくら「ああー」
幸弘「確かに、致命傷になりかねないな。魁人の一言は」
魁人「……どうしよう」
さくら「沈んでたってどうしようもないでしょ! 特訓するわよ、特訓!」
魁人「う、うん、ありがとう!」
場面転換。
街中。
魁人と三奈が並んで歩いている。
魁人「へー。そうなんだ」
三奈「そうなんですの。おかしですわよね」
魁人「でも……」
三奈「ん? なんですの?」
魁人「ううん。なんでもないよ。それより、あそこのペットショップ見ていかない?」
三奈「いいですわね。行きましょう!」
場面転換。
自動ドアが開き、中かから魁人と三奈が出てくる。
三奈「やっぱり、モフモフの生き物は癒されますわ」
魁人「うん、そうだね。もっと……」
三奈「……?」
魁人「あ、いや。その……大事な話があるんだけど」
三奈「なにかしら?」
魁人「その……僕と付き合ってくれないかな?」
三奈「え?」
魁人「……ダメ、かな?」
三奈「いいですわ。でも、まさか、初デートで告白されるとは思いませんでしたわ」
魁人「おっけーってこと?」
三奈「ええ。魁人さんと一緒にいると楽しいですもの。お付き合い、受けさせてください」
魁人「やったー!」
幸弘「うおおおー! やったな、魁人」
さくら「ちょ、幸弘、あんた、なにやってんのよ! 勝手に出てくんじゃないっての!」
三奈「……」
さくら「ご、ごめんなさい。すぐに退散しますのでー。ほら、幸弘行くよ」
魁人「さくらちゃん、ありがとう。おかけで上手くいったよ」
さくら「そういうのは、後でいいから、ね」
魁人「特訓がなかったら、きっと何回も悪口言ってたよ」
三奈「え?」
幸弘「いやあ、こいつってさー、いい奴なんだけど、一言多いのが玉に瑕なんだよ。だけど、今回、あんたのために、言わないように頑張ったんだから、評価してやれよな!」
さくら「二人とも、余計な一言、言い過ぎ―!」
終わり。
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