【声劇台本】冷たくて暖かい飲み物
- 2022.02.25
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:2人
時間:5~8分程度
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス
■キャスト
玲奈(れな)
洋一(よういち)
■台本
家の中。
玲奈「洋兄ぃ、ピザ食べたい」
洋一「……玲奈。人の部屋に無断でやってきて、第一声がそれかよ。大体、お前、ダイエットしてるって言ってただろ」
玲奈「いいの。もう、その必要がなくなったから」
洋一「はあ……。またフラれたのか」
玲奈「フラれてないもん。諦めただけ」
洋一「ったく、何があったんだ?」
玲奈「ピザ食べながら話す」
洋一「はいはい……」
スマホで電話をかける洋一。
場面転換。
玲奈「酷いと思わない!? 彼女いたんだよ!?」
洋一「うーん。まあ、別にいないって言われたわけじゃないんだろ? お前がいないって勘違いしただけでさ」
玲奈「だって、あんなに優しくされたら、私に気があるのかなって思うじゃん!」
洋一「お前は、中学生男子かよ……」
玲奈「あー、もう、腹立つ! ダイエットして損した! ……あー、ピザ美味しい!」
洋一「けどまあ、お前が頑張った分は、ちゃんとお前の中に残るんだ。損じゃないさ」
玲奈「でも、今、ピザたくさん食べたから、戻ったかも」
洋一「じゃあ、食うの止めろよ」
玲奈「はーあ。恋したいなー」
洋一「フラれたばっかりなのにか? ある意味たくましいな」
玲奈「だーかーら! フラれてないですー! 私がフッたんですー」
洋一「いや、フッてはいないだろ」
玲奈「それより、洋兄ぃは?」
洋一「ん?」
玲奈「彼女、作んないの?」
洋一「俺が彼女作ったら、お前、ひがむだろ。それに、フラれたお前を誰が慰めるんだよ」
玲奈「ええー。そんなこと言って、作れないだけじゃないの?」
洋一「うっ! そ、そんなことないって。俺、意外と大学だとモテるんだぞ」
玲奈「うっそー。洋兄ぃがモテてるのなんか、見たことないんだけど」
洋一「うっさいな」
玲奈「あははは」
場面転換。
玲奈「ねえ、洋兄ぃ。男の人って、デートするならどこがいいの?」
洋一「……勝手に家に入って来るのはまあいいけど、部屋に入るときは、せめてノックしてくれ」
玲奈「無難に映画かなー? でも、映画だと見てる間はお話できないよね? 時間勿体ないと思うんだけど」
洋一「……デートは大体、男の方がプランを考えるんじゃないのか?」
玲奈「え? そうかな? 私に全部任せて! 凄いデートプラン練るから、って言っちゃったよ」
洋一「なんで、自分でハードル上げるんだよ?」
玲奈「だって、その方が格好いいじゃん」
洋一「格好いいか? 今どきの高校生は、よくわからんな」
玲奈「ねえ、どこがいいかな?」
洋一「んー。動物園とかでいいんじゃないのか?」
玲奈「でも、あっち、動物嫌いだって」
洋一「じゃあ、水族館は?」
玲奈「えー、つまんない」
洋一「……じゃあ、遊園地でいいだろ」
玲奈「お金ないもん」
洋一「はあ……」
財布からお札を出して渡す。
洋一「ほら」
玲奈「きゃー! 洋兄ぃ、マジ天使! 大好き!」
洋一「貸すだけだからな! ちゃんと来月返せよ!」
玲奈が携帯で電話をかける。
玲奈「あ、もしもし? 明日、遊園地にしよう! うん、10時に待ち合わせね」
洋一「……ったく」
場面転換。
風が吹く音。
玲奈「……さむっ!」
ガサガサとポケットから携帯を出す。
玲奈「あはは……遅いな」
洋一が現れる。
洋一「……もう12時だ。無理だろ」
玲奈「……」
洋一「……連絡は?」
玲奈「ない……」
洋一「そっか……」
玲奈「う、うう……。好きって言ってくれたのに。……私も、好きだったのに」
洋一「付き合う前に本性が知れてよかったじゃないか」
玲奈「……」
洋一「はあ……。ほら、これ飲め。暖まるぞ」
ポケットから缶ジュースを出して渡す洋一。
玲奈「ありがと……って、冷たっ!」
洋一「え? ちゃんとホット買ったはずだぞ」
玲奈「……何時間前に買ったの? これ?」
洋一「あー、いや、まあ、なんだ。新しいの買ってくるよ」
玲奈「ううん。これでいい」
洋一「……?」
玲奈「温かいよ」
洋一「……」
玲奈「冷たいけど……とっても温かい」
洋一「……なんだよ、そりゃ」
玲奈「えへへへ」
洋一「……さてと、帰るか」
玲奈「うん」
終わり。
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