【声劇台本】冷たくて暖かい飲み物

NO IMAGE

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉

〈声劇用の台本一覧へ〉

■概要
人数:2人
時間:5~8分程度

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、シリアス

■キャスト
玲奈(れな)
洋一(よういち)

■台本

家の中。

玲奈「洋兄ぃ、ピザ食べたい」

洋一「……玲奈。人の部屋に無断でやってきて、第一声がそれかよ。大体、お前、ダイエットしてるって言ってただろ」

玲奈「いいの。もう、その必要がなくなったから」

洋一「はあ……。またフラれたのか」

玲奈「フラれてないもん。諦めただけ」

洋一「ったく、何があったんだ?」

玲奈「ピザ食べながら話す」

洋一「はいはい……」

スマホで電話をかける洋一。

場面転換。

玲奈「酷いと思わない!? 彼女いたんだよ!?」

洋一「うーん。まあ、別にいないって言われたわけじゃないんだろ? お前がいないって勘違いしただけでさ」

玲奈「だって、あんなに優しくされたら、私に気があるのかなって思うじゃん!」

洋一「お前は、中学生男子かよ……」

玲奈「あー、もう、腹立つ! ダイエットして損した! ……あー、ピザ美味しい!」

洋一「けどまあ、お前が頑張った分は、ちゃんとお前の中に残るんだ。損じゃないさ」

玲奈「でも、今、ピザたくさん食べたから、戻ったかも」

洋一「じゃあ、食うの止めろよ」

玲奈「はーあ。恋したいなー」

洋一「フラれたばっかりなのにか? ある意味たくましいな」

玲奈「だーかーら! フラれてないですー! 私がフッたんですー」

洋一「いや、フッてはいないだろ」

玲奈「それより、洋兄ぃは?」

洋一「ん?」

玲奈「彼女、作んないの?」

洋一「俺が彼女作ったら、お前、ひがむだろ。それに、フラれたお前を誰が慰めるんだよ」

玲奈「ええー。そんなこと言って、作れないだけじゃないの?」

洋一「うっ! そ、そんなことないって。俺、意外と大学だとモテるんだぞ」

玲奈「うっそー。洋兄ぃがモテてるのなんか、見たことないんだけど」

洋一「うっさいな」

玲奈「あははは」

場面転換。

玲奈「ねえ、洋兄ぃ。男の人って、デートするならどこがいいの?」

洋一「……勝手に家に入って来るのはまあいいけど、部屋に入るときは、せめてノックしてくれ」

玲奈「無難に映画かなー? でも、映画だと見てる間はお話できないよね? 時間勿体ないと思うんだけど」

洋一「……デートは大体、男の方がプランを考えるんじゃないのか?」

玲奈「え? そうかな? 私に全部任せて! 凄いデートプラン練るから、って言っちゃったよ」

洋一「なんで、自分でハードル上げるんだよ?」

玲奈「だって、その方が格好いいじゃん」

洋一「格好いいか? 今どきの高校生は、よくわからんな」

玲奈「ねえ、どこがいいかな?」

洋一「んー。動物園とかでいいんじゃないのか?」

玲奈「でも、あっち、動物嫌いだって」

洋一「じゃあ、水族館は?」

玲奈「えー、つまんない」

洋一「……じゃあ、遊園地でいいだろ」

玲奈「お金ないもん」

洋一「はあ……」

財布からお札を出して渡す。

洋一「ほら」

玲奈「きゃー! 洋兄ぃ、マジ天使! 大好き!」

洋一「貸すだけだからな! ちゃんと来月返せよ!」

玲奈が携帯で電話をかける。

玲奈「あ、もしもし? 明日、遊園地にしよう! うん、10時に待ち合わせね」

洋一「……ったく」

場面転換。

風が吹く音。

玲奈「……さむっ!」

ガサガサとポケットから携帯を出す。

玲奈「あはは……遅いな」

洋一が現れる。

洋一「……もう12時だ。無理だろ」

玲奈「……」

洋一「……連絡は?」

玲奈「ない……」

洋一「そっか……」

玲奈「う、うう……。好きって言ってくれたのに。……私も、好きだったのに」

洋一「付き合う前に本性が知れてよかったじゃないか」

玲奈「……」

洋一「はあ……。ほら、これ飲め。暖まるぞ」

ポケットから缶ジュースを出して渡す洋一。

玲奈「ありがと……って、冷たっ!」

洋一「え? ちゃんとホット買ったはずだぞ」

玲奈「……何時間前に買ったの? これ?」

洋一「あー、いや、まあ、なんだ。新しいの買ってくるよ」

玲奈「ううん。これでいい」

洋一「……?」

玲奈「温かいよ」

洋一「……」

玲奈「冷たいけど……とっても温かい」

洋一「……なんだよ、そりゃ」

玲奈「えへへへ」

洋一「……さてと、帰るか」

玲奈「うん」

終わり。

〈前の10枚シナリオへ〉  〈次の10枚シナリオへ〉