【フリー台本】負けられない戦い2
- 2022.03.18
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:4人
時間:5分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
太一(たいち)
友也(ともや)
校長
教頭
■台本
太一(N)「男には負けられない戦いがある。男と男の意地の張り合い。他の人から見たらくだらないと思うかもしれない。でも、これは僕にとっては重要なことなんだ」
場面転換。
ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。
校長「えー、今日は大変、天気に恵まれたようで、これは神様が応援してくれているということで……」
太一「……ふう」
友也「おい、太一、どうした青い顔して。もうビビッてるのか?」
太一「は? 何言ってるの、友也。なんで、僕がビビらなきゃならないのさ」
友也「俺に負けるから」
太一「ははは。暑くて夢と現実の区別がついてないんじゃない?」
友也「言っておくけど、今回、俺、めちゃめちゃ自信あるから」
太一「ふーん。でも、勝つのは僕だから」
友也「へっ! 言ってろ。あとで、ほえ面かかせてやるよ」
太一「いいの? そんなこと言って。それ、完全にフラグだよ」
友也「けっ!」
ドサッと人が倒れる音。
校長「いいですか? 今日という日は二度とこないのです。だからこそ、毎日を後悔なく過ごす必要があるのです」
太一「友也。足震えてるけど、大丈夫? 負けを認めるなら許してあげるけど」
友也「はは。そりゃお前だろ。もう限界だから、負けてくれって頼んでるんだろ?」
太一「……どうなっても知らないよ」
友也「だから、こっちの台詞だっての」
ドサっと人が倒れる音。
ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。
校長「だからして、この一瞬の勝負というのは、心の火花を散らせるということです。その火花は目に見えることはありません。ですが、ちゃんと見ている人には届くのです!」
太一「ふう……暑いな」
友也「お前さ、ちゃんと水分とったのか? 脱水症状になるぞ」
太一「……あっ!」
友也「あははは。やっぱ、お前はダメダメだな。俺なんかさ、ちゃんと準備してたもんね。始まる前に2リットルの水を飲んでたんだ」
太一「……でもさ、それって、逆にトイレに行きたくならない?」
友也「……あっ!」
太一「漏らさないでよ。さすがに引くから」
友也「だれが漏らすかよ。それより、お前、倒れて救急車とか呼ぶことになるとか勘弁しろよ。冷めるから」
太一「何言ってんの。そもそも倒れないし」
ドサっと人が倒れる音。
ミーン、ミーン、ミーンとセミの鳴く声。
校長「そうです! この猛烈な暑さの中でこそ、その人の真価が問われるのです! 暑さに負けてはいけません! 全力で尽くす、それこそが運動会の醍醐味なのです」
太一「はあ、はあ、はあ……」
友也「ギブアップしろよ。そろそろ限外だろ? 立ってるのもやっとって感じだぞ」
太一「そんなこといって、友也だって、トイレ行きたいんでしょ? そんなにモジモジしてさ」
友也「くっ! んなことねーし! 全然余裕だから」
ドサッと人が倒れる音。
校長「えー、そんな子供たちの熱い戦いを両親に見ていただくためにも……」
友也「くそ! 限界だー」
友也が小走りで走り去っていく。
太一「はあ、はあ、はあ……」
校長「で、あるからして」
教頭「校長、そろそろお話を切り上げていただかないと……。運動会が始まる前に生徒たちが全滅してしまいます」
校長「おっとそうか。ついつい、熱くなると話が長くなってしまうな。ごほん! それでは、運動会を開始いたします!」
太一「はあ、はあ、はあ……。やっと校長の話が終わった。勝ったぞ! 友也に勝った……」
どさっと太一が倒れる音。
終わり。
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