【フリー台本】誰も知らない昔話

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、童話、コメディ

■キャスト
喜助(きすけ)
正吉(まさきち)
誠一(せいいち)
その他

■台本

村でお祭りが行われている。

場面転換。

家の中。かすかにお祭りの音が聞こえてくる。

喜助「……ったくうるせーな」

コンコンと戸がノックされる。

正吉「喜助、いるか?」

喜助「おお、正吉か。……てか、村の奴ら、なに騒いでるんだ?」

正吉「ん? ああ……なんか、川からモモが流れて来たとか、なんとか言ってたな」

喜助「なんだそりゃ」

正吉「それより、熊とってきたんだけど、食べるか?」

喜助「マジか。スゲーな。この前も取って来てたもんな」

正吉「ふっふっふ。相棒がスゲーんだよ」

喜助「ちょうど腹減ってるから、食べる食べる」

すると、ガラッと再び戸が開く。

誠一「ちょっと待った! どうせなら、柔らかいウサギもどうだ?」

喜助「なんだよ、誠一。また、鷹狩り行ってたのか?」

正吉「まあ、誠一の場合、雉狩りだけどな」

誠一「どうでもいいだろ。さ、食べようぜ!」

喜助「おう!」

場面転換。

人々の悲鳴が響く。

村人1「鬼だ! 鬼が来たぞ!」

鬼「がははははは! 人間ども! 食料と酒! 金目の物も寄越せ!」

村人2「うわー! 助けてくれー!」

悲鳴が響き、鬼たちの笑い声が続く。

場面転換。

山の中を走る喜助。

喜助「はあ、はあ、はあ……。ここまで逃げれば大丈夫か」

草むらに座り込む喜助。

喜助「疲れた……」

グーっと腹が鳴る。

喜助「腹減ったな。……あ、確かどこかに干し柿が……」

服をガサガサと漁る音。

喜助「あったあった。じゃあ、いただきまーす!」

猿「ウキキ!」

バッと干し柿が取られる音。

喜助「あっ! またお前か、くそ猿! いつもいつも、人の物取りやがって!」

猿「ウキキ!」

猿が行ってしまう。

喜助「……はあ。追いかける気力もねえ」

そこにガサガサと草を搔き分ける音。

喜助「げっ! 追ってきたか?」

正吉「よお、喜助」

喜助「なんだよ、正吉かよ。驚かせるな」

正吉「……もう、鬼たちは島に戻ったぜ」

喜助「そうか。じゃあ、戻ろうかな……って、どうせ帰ったところで、食い物もねーし、家だってまた壊されてるだろうし。帰っても気が滅入るだけだよな」

正吉「まあ、な」

喜助「あー、腹減った。なあ、正吉、また熊取って来てくれよ」

正吉「……相棒は山に返したよ。鬼に捕まったら大変だし」

喜助「そっか。確か誠一も、雉を逃がしちゃったんだよな」

正吉「はあ……。鬼がやってきてから、俺たちの生活はボロボロだ」

喜助「そうだよな……」

場面転換。

喜助の家。

ごろりと寝返りを打つ喜助。

グーと腹が鳴る。

喜助「うう……腹減ったぜ」

そこに戸をノックする音とガラッと開く音。

誠一「喜助、いるか?」

喜助「おう、誠一と正吉じゃねーか。どうした?」

正吉「さっきさ、誠一ともはなしたんだけど……」

喜助「なんだ?」

正吉「……鬼を退治に行かないか?」

喜助「はあ? なんだよ、藪から棒に。無理だよ。こんな冴えない男3人で鬼を退治なんかできないって」

誠一「俺たち3人だけじゃない」

喜助「どういうことだ?」

誠一「実は、近隣の村にも回ってみたんだけど、やっぱり、鬼の被害が出てるんだよ」

喜助「まあ、そうだろうな」

正吉「つまり、俺達みたいに鬼を退治しようと思う人はたくさんいるんじゃないかって話」

喜助「……つまり、色々な村を回って、人を集めるってことか?」

誠一「そうだ。それと、今って、結構、武芸者がいるみたいなんだよ」

正吉「手柄を立てて、取り立てて貰おうって奴らだよ」

喜助「……つまり、箔をつけるために鬼退治を手伝ってくれるかもしれないってことか?」

誠一「そうそう。実は、そういう奴を何人か知ってるんだ」

喜助「……確かに、いくら鬼でも、人数を集めればなんとかなるかもな」

正吉「ああ。それに、鬼を退治すれば、村の奴らはもちろん、この辺りの村からは英雄扱いだぜ、俺達」

喜助「……よし、やろう!」

場面転換。

喜助「……というわけなんだ。一緒に来ないか?」

武芸者1「うむ。まさに、我の腕の見せ所だ! ついていこう!」

場面転換。

喜助「やられっぱなしっていうのも、悔しいだろ? だから、仕返しに行こう!」

村人2「……わかった。同じように、悔しいって思ってる村人を集めてみるよ!」

喜助「頼む!」

場面転換。

誠一「喜助! こっちは30人集めたぜ」

正吉「こっちは25人だ!」

喜助「武芸者も10人以上いる。……これなら、勝てる。よし、行くぞ!」

誠一・正吉「おう!」

場面転換。

海。船の上。

誠一「うう……緊張してきた」

喜助「おいおい、これからが本番だぞ。しっかりしろって」

正吉「それにしても、凄い数だよな。余裕で勝てるよ、これ」

誠一「これで、俺達は英雄かあ」

喜助「後世まで語り継がれるかもな」

正吉「昔話、みたいな感じでな」

喜助「喜助と仲間たちってところか」

誠一「いや、ふざけんな! 誠一と仲間たちだろ」

正吉「喧嘩になるから、正吉と喜助と誠一と仲間たちでいいんじゃない?」

喜助「長いだろ、それじゃ」

村人2「おい、そろそろ、島に着くぞ! みんな気合入れろよ!」

全員「おー!」

場面転換。

浜辺。

喜助・誠一・正吉「……」

鬼2「う、うう……」

喜助「……なんで、鬼たちが全滅してるんだ?」

誠一「さ、さあ……?」

鬼2「く、くそ……」

喜助「あ、あのー。鬼さん。何があったんですかね?」

鬼2「あいつが……」

正吉「あいつ?」

鬼2「桃太郎が来たんだ」

喜助・誠一・正吉「……桃太郎?」

終わり。

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