【フリー台本】知らぬ間に

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■概要
人数:5人以上
時間:10分

■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ

■キャスト
水戸(みと)
高木(たかぎ)
女性×4人

■台本

大学内。休み時間。

高木「……うーん」

水戸「どうした、高木。昨日の合コンで、何か失敗でもしたのか?」

高木「なあ、水戸。あの勝負、覚えてるか?」

水戸「ん? ……ああ、どっちが先に彼女作るかってやつだろ?」

高木「そうだ。大学生活を充実させるには彼女の存在は不可欠だ」

水戸「そうだな」

高木「……だが、そうも言ってられないかもしれない」

水戸「どういうことだ?」

高木「彼女を作るなんて、俺には無理かもしれない」

水戸「なんだよ。やっぱり、昨日の合コンで何かあったのか?」

高木「……昨日の合コンというより、もっと前の話だ」

水戸「前?」

高木「なあ、水戸。俺と一緒にいるとき、俺がなんか変なことを言ったり、変な行動したりしたことなかったか?」

水戸「は? 何言ってんだ?」

高木「頼む。大事な事なんだ。正直に言ってくれ」

水戸「……んー。高木は普段から変わったところがあるけど……見てて、明らかに変ってところはなかったと思うけど」

高木「だよなぁ……。ううー。どういうことだ」

水戸「だから、何があったか、いい加減に言えって」

高木「実は、俺、一部の大学生の中で有名らしいんだ。悪い意味で」

水戸「……なんか、やらかしたのか?」

高木「いや、全くそんな記憶がないんだ。それなのに、みんなから避けられる。昨日の合コンだって、女の子と一対一で話すこともできなかったんだぞ」

水戸「マジか……」

高木「なぜだ! そんなことになるような覚えは、全く無いんだ!」

水戸「……なあ、高木。最近、お前、睡眠時間が凄い延びたって言ってたよな?」

高木「ああ。寝ても寝ても眠たくなるときがあるんだ。なんていうか、抗えないってくらいのな」

水戸「……もしかしたら」

高木「なんだよ。何か心当たりがああるのか?」

水戸「お前、二重人格なのかも」

高木「へ? 二重人格?」

水戸「ああ。お前に全く身に覚えがないのに、女の子たちに避けられるんだろ? そして、最近、妙に眠い。……つまり、人格が入れ替わっていて、その人格が女の子に何かしてるとかじゃないのか?」

高木「いや、まさか……」

水戸「あくまで可能性だよ。気を付けるに越したことはないだろ」

高木「そりゃ、そうだけど、どうやって気をつけるんだよ?」

水戸「暗号を決めておこう」

高木「暗号?」

水戸「ああ。お前とは大学からの付き合いで、人格が入れ替わっててもわからないかもしれない。だから、二人しか知らない暗号を決めておくんだよ」

高木「なるほど。定期的にその暗号を言うことで、人格が入れ替わってないかを判断するんだな?」

水戸「ああ、そうだ。お前にもう一人の人格の記憶が無いって言うなら、もう一つの人格の方だって、お前のときの記憶はないはずだ」

高木「そ、そうだな。そうしよう。すまんが、検証頼むぞ」

水戸「ああ。任せとけ」

場面転換。

町中。

高木「いやあ、可愛いね、君。よかったら、これからデートでもしない?」

女性1「あ、あの……なんですか、急に。私、これから用事があるんですけど」

高木「いいじゃんいいじゃん。ちょっとだけ。先っちょだけ。なーんてね、がははは」

水戸「……」

女性1「な、なに、この人……」

水戸「高木!」

高木「ん? なんだ、水戸」

水戸「空」

高木「へ? ……ああ、暗号か。陸」

女性1「ちょっと、変なところ、触らないでください!」

女性1が走って行く。

高木「あーあ、行っちゃった」

水戸「……」

場面転換。

大学内。

女性2「新発売なんですよ。すっごい美味しいです」

水戸「へー。俺も今度買ってみよっと。どこで売ってるの?」

女性2「コンビニでも売ってますよ」

そこに高木がやって来る。

高木「よお、水戸! ……って、なんだよ。自分だけ抜け駆けか? 可愛い子じゃん」

水戸「そんなんじゃないって」

高木「あ、そのジュース美味しそう。一口ちょうだい」

女性2「あっ!」

ゴクゴクとジュースを飲む高木。

高木「ぷはー。乾いた喉が潤う! さらに可愛い子と間接キッスで、二度美味しい。なーんてね。はい、ありがと」

女性2「……もういいです。あげます」

水戸「……」

高木「マジで? ラッキー。あ、口紅ツイてる。ペロペロ」

女性2「それじゃ、水戸さん。私、これで」

水戸「あ、ああ……」

女性2が行ってしまう。

高木「あ、行っちゃった。お話したかったのに」

水戸「空」

高木「陸」

水戸「……」

場面転換。

大学内を歩く、水戸と高木。

高木「あー、くそ、講義、ダリ―」

水戸「試験、近いし、サボるのはヤバいからなー」

ピタリと高木が止まる。

水戸「ん? どうした?」

高木「水戸、水戸! ちょっと、こっち、こっち」

水戸「なんだよ?」

高木「見ろ。サークルの奴らが着替えてる」

水戸「おい、覗きなんてやめろって」

高木「バカ言うなって。据え膳食わぬは男の恥ってな。チャンスはものにする男だぜ、俺は」

水戸「……見つかっても知らねえぞ」

高木「大丈夫大丈夫」

水戸「なあ、高木」

高木「ん?」

水戸「空」

高木「陸」

女性3「きゃー! 覗きよ!」

高木「やべ! 見つかった!」

女性4「高木だ!」

高木「逃げるぞ!」

高木が走る。

水戸「いや、俺を巻き込むなよ」

女性3「ホント、あいつ、サイテー」

水戸「……」

場面転換。

大学内。

高木「ふわー。ううー。眠い。寝ても寝ても、眠気が取れねー」

水戸「講義中、ずっと寝てたのにな」

高木「しゃーねー。今日はさすがにゲームで徹夜するのは止めるか」

水戸「え? ……お前、ゲームで徹也とかすんの?」

高木「ん? ああ。ここに三ヶ月はずっと徹也してるぞ。新作が出たからな」

水戸「なるほど。そうかそうか」

高木「何を納得してるんだ?」

水戸「高木。お前が女子から嫌われている理由がわかったぞ」

高木「ホントか!? やっぱり、別の人格が出てたのか?」

水戸「単に自業自得だ」

高木「ん? どういうことだ?」

水戸「そのままだよ。女子から嫌われるのはお前の行動が原因だ」

高木「いやいや。嫌われるような覚えがないから、困ってるって言ってるだろうが。やっぱり、俺の中に他の人格がいるんだよ」

水戸「……自覚出来てないって、怖いな」

終わり。

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