友達のままで
- 2022.08.16
- ボイスドラマ(10分)
■概要
人数:5人以上
時間:10分
■ジャンル
ボイスドラマ、現代、コメディ
■キャスト
香耶(かや)
雅哉(まさや)
美幸(みゆき)
美樹(みき)
教師
男子生徒1~2
女生徒
不良
■台本
香耶「ごめん、雅哉くん。友達のままでいてほしいの」
雅哉「ガーン! ちきしょー! 俺が良い男になっても、ハーレムには入れてやらないからな―! うおおおおお!」
雅哉が泣きながら走って行く。
香耶「うーん。捨て台詞としては最低なんだよなぁ。雅哉くん、そういうところだよ」
場面転換。
教室内。
雅哉「ふはははははっ! 今日の体育は俺に任せるがいい! 俺がハットトリック決めてやるぜ」
男子生徒「体育はソフトボールだから」
ドッと笑いで包まれる。
美幸「ねえ、香耶。雅哉くん、ホントに昨日、あんたにフラれたんだよね?」
香耶「いや、友達のままでいようって言っただけだよ」
美幸「それ、フッたと同じだから」
香耶「……」
美幸「にしても、いつもと変わらず、明るいわね、雅哉くん」
香耶「3組の香田さんにフラれたときも、同じだったよね」
美幸「フラれ慣れてるのかな? けど、まあ、その方が断りやすいよね」
香耶「……まあ、ね」
美幸「後悔してる?」
香耶「は? んなわけないでしょ。あんな馬鹿でお調子者!」
美幸「……」
香耶「それにOKできるわけないでしょ」
美幸「……まあ、そうなんだけどさ」
また、クラス中で笑い声が響く。
場面転換。
学校入り口。
ザーッと雨が降っている。
香耶「やっば! 傘忘れた。どうしよう」
雅哉「ほい!」
香耶「え? これって……?」
雅哉「傘」
香耶「それは見ればわかるけど」
雅哉「貸してやるよ」
香耶「なんで?」
雅哉「なんでって、傘、忘れたんだろ?」
香耶「そうじゃなくて。……私、雅哉くんのこと、フッたんだよ?」
雅哉「ん? それが、傘忘れたことに関係あるのか?」
香耶「いや、ないけど」
雅哉「だろ? じゃあ、明日、ロッカーのとこに入れておいてくれればいいから。じゃあな」
香耶「ちょ、ちょっと! あんた、傘は?」
雅哉「ん? お前に貸したじゃん」
香耶「……濡れるよ?」
雅哉「知ってるよ」
香耶「……一緒に入ってく? 傘」
雅哉「おまっ! そんなことしたら、もう一回、告白しちまうだろうが!」
香耶「いや、それはちょっと」
雅哉「だろ? じゃあな!」
雅哉が雨の中、走っていく。
香耶「あっ! ちょっ! ……もう」
場面転換。
教室内。
女生徒1「……あっ!」
香耶「どうしたの?」
女生徒1「数2の教科書、忘れちゃった」
香耶「ええっ! どうすんの? 田岡、めっちゃキレるよ」
女生徒1「どうしよう……」
香耶「具合悪いって言って、保健室行けば?」
女生徒1「でも……」
香耶「田岡に怒れるよりはマシだって」
トンと机に教科書が置かれる。
女生徒1「え? これって……」
雅哉「数2の教科書。貸してやるよ」
香耶「いや、貸すって、あんたはどうするのよ?」
雅哉「国語の教科書で乗り切る!」
香耶「乗り切れるわけないでしょ!」
雅哉「どうせ、書いてる内容なんてわかんねーし。俺が使うより、貸した方が有意義だろ」
女生徒1「あ、ありがとう」
雅哉「その代わり……」
香耶「付き合ってっていうのは反則だよ」
雅哉「うっ! わ、わかってるよ!」
スタスタと歩き去っていく雅哉。
場面転換。
授業中。
教師「……おい、雅哉。それ、なんだ?」
雅哉「教科書です!」
教師「……なんの教科の教科書だ?」
雅哉「え? ……あっ! 国語だ!」
教師「今まで気づかなかったのか?」
雅哉「いやあ。おかしいと思ったんですよ。何ページのことやってるのかなーって」
教室内がドッと笑いに包まれる。
教師「……廊下に立ってろ!」
雅哉「いいんですか!? いやー。令和で廊下に立つなんて、俺が初めてじゃないですかねー?」
教室が笑いに包まれる。
場面転換。
町中。
香耶と美幸が歩いている。
不良「おら! 金出せって言ってんだよ!」
男子生徒2「いや、その……」
遠くから見ていて。
香耶「あ、あれってカツアゲってやつじゃない?」
美幸「ホントだ。止めた方がいいよね?」
香耶「止めなって。危ないよ」
美幸「でも……」
香耶「警察に連絡しよう」
その二人の横を通り過ぎていく雅哉。
雅哉「あーっ! ちょ、おまっ!」
不良「ああ? なんだてめえ! こいつのダチか?」
雅哉「なにカツアゲされてんだよ!」
男子生徒2「え?」
雅哉「カツアゲされる金あるなら、俺に返せよー!」
男子生徒2「……あ、あの?」
雅哉「おまっ! あの金は、欲しいエロ本買うために貯めてたんだぞ! どうしてもっていうから貸したのに!」
男子生徒2「え? あ、あの……」
雅哉「踏み倒そうったって、そうはいかなねーぞ! 返せるなら1円単位でも取り立てるからな! ってことで、すんません。俺の方が先客なんで」
不良「いや……今、俺がカツアゲしてたんだが」
雅哉「こっちはエロ本、我慢させられてるんっすよ!」
不良「お、おう……。すまん」
雅哉「おら! こっち来い!」
男子生徒2「あっ!」
雅哉が男子生徒2を連れて行く。
場面転換。
雅哉「この辺、治安悪いから気を付けた方がいいぞ」
男子生徒2「ありがとうございました」
雅哉「ん。じゃあな」
それを遠くから見ている香耶たち。
香耶「……」
場面転換。
美樹「ごめーん! 雅哉くんとは、友達のままでいてほしいんだよね」
雅哉「ガーン! ちきしょー! 俺が良い男になっても、ハーレムには入れてやらないからな―! うおおおおお!」
雅哉が泣きながら走って行く。
美樹「ふう……」
香耶がやってくる。
香耶「……危なかったでしょ?」
美樹「あははは。思わず、OKしそうになっちゃった」
香耶「その気持ち、わかるよ」
美樹「あーあ。雅哉くんはみんなのもの、協定かぁ……」
香耶「学校の暗黙の了解だからねー。抜け駆けなんてしようものなら、どうなることやら」
美樹「モテすぎるっていうのも、大変だよね」
香耶「最初はあんなお調子者なんか、頼まれても付き合うのは無理って思ってたんだけどね」
美樹「あははは。私は最初から素敵だな―って思ってたけど」
香耶「でも、まあ、あいつは学校のマスコットってことで」
美樹「うん、そうだね」
香耶「……」
終わり。
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